本・漫画

主体的に「演じる」。平田オリザ『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』(講談社・2012年)

小学2年生、5年生の時に経験した学芸会がきっかけで演劇にハマり、高校の文化祭では自作の脚本で演劇を行い、大学生の時には演劇部で活動するなど、昔から演劇が好きである。 しかし、平田オリザが書く戯曲にはなんとなく苦手意識があった。当時の自分による…

倫理入門!倫理が学びたくなった。蔭山克秀『マンガみたいにすらすら読める哲学入門』(大和書房・2017年)

2020年〜2022年まで武蔵野美術大学通信教育課程に通っていたのだが、そこではじめて「哲学」を受講した。通信教育なので、基本的には教科書と参考書、課せられるレポートと試験のみでしか「哲学」には触れられないが、その世界があまりにも面白く、それ以来…

臨場感が半端ない。角川書店編『ビキナーズ・クラシック 日本の古典 平家物語』(KADOKAWA・2001年)

中学生だったか高校生だったかは覚えていないが、国語の授業で初めて『平家物語』に触れた時、音読した時の言葉の響きがあまりにも面白くて頭にずっと残っていた。那須与一が矢を放つ場面での「ひょうふっと」という表現、続くリズムがクセになった。 この本…

今こそ国語力を見直したい。齋藤孝『頭のよさは国語力で決まる』(大和書房・2021年)

はじめにパラっと立ち読みした際、小・中・高の国語の教科書に掲載されたなじみのある名著の解説に心惹かれ、読むことを決めた。 “国語力”とは、現代文・古文・漢文を読み解く力のことだと思っていたが、本著が扱うのは日本語の読解力や文章力、表現力ばかり…

生きていかなければ!チェーホフ著・神西清訳『かもめ・ワーニャ伯父さん』(新潮社・1967年)

この戯曲を読み終えたのは2020年より前だったかもしれない。映画『ドライブ・マイ・カー』の記事を書くことになり、その参考資料としてこの本を購入した。 きちんと目を通すのは初めてだったが、大学生時代お芝居をやっていたこともあり、「かもめ」は知って…

人生訓だと思った。森毅『数学受験術指南 一生を通じて役に立つ勉強法』(中央公論新社・2012年)

著者・森毅の激烈な言葉が心に気持ちよく(それは同時に痛みでもある!)響く本だった。印象に残った言葉をあげてみる。 「解き方」を知っていて解く、なんて癖は、受験本番にはむしろ有害だ。 量にたよるというのは「勤勉」という名の知的怠惰にすぎない。 …

ようやく光源氏の心境を理解できた。富井健二監修他『マンガで味わう源氏物語』(Gakken・2023年)

2024年の大河ドラマ「光る君へ」を鑑賞する中で、主人公・紫式部と本作についてもっと知りたいと思い、源氏物語に触れることにした。 源氏物語をマンガ化した作品は多々あるが、今回選んだ富井健二監修他『マンガで味わう源氏物語』(Gakken・2023年)は、平…

化学って身近だ!齊藤幸一『身のまわりの元素を調べよう 目で見る元素の世界』(誠文堂新光社・2009年)

化学自体は好きである。しかし好きであっても得意ではない。苦手意識が強く、なかなか理解を深められないまま、受験シーズンが到来し、残念ながら受験科目から切り離した教科である。 あまりにも理解できていないことが長年コンプレックスだった。どうにかし…

東京と地方、男と女、厚い壁。山内マリコ『あのこは貴族』(集英社・2019年)

原作より先に映画を鑑賞していた。映画がとても好きで、文章であの世界を体感したいと思った。原作は映画以上に生々しく、ものすごく楽しめた。登場する女たちは自分たちのやり方でたくましく生き抜く。清々しいラストは映画も原作も同様で、それに救われた…

大人になった今だからこそ読みたい。児玉幸多監修『少年少女 日本の歴史』(小学館・1982年)

小学校〜高校を卒業するまで、社会科が一番の苦手科目だった。というか、社会科の授業にあまりにも興味がなさすぎた。当時を振り返ると、他者の過去や経験を学ぶ社会科より、目の前でワクワクとした変化が起こる理科の方がよっぽど楽しかったのだ。 そんな私…

悪用禁止な「人たらし」の手口。佐藤優『悪の処世術』(宝島社・2023年)

恥を忍んで言うと、歴史の教科書や近代史で度々目にする各国の権力者、独裁者のことを、私はよく知らない。覚えているのは名前ばかりで、どこの誰か、何をしたのか、なぜ「悪」とされるのか、それを知らなかった。だから、それを知るために読んだ。 加えて、…

ノウハウ本ではないことに注意。森博嗣『小説家という職業』(集英社・2010年)

まず読書前にすべきだった反省点を述べる。 私は実は、森博嗣作品をまだ読んだことがない。 代表作として名高い『すべてがFになる』のタイトルやドラマ化したことなどは知っていたが、未読である。『スカイ・クロラ』が押井守監督によってアニメ映画化された…

私の反論は反論ではなかった。紀藤正樹『議論の極意 どんな相手にも言い負かされない30の鉄則』(SBクリエイティブ・2023年)

この本を購入したきっかけは、夫の存在である。 夫は人と議論するのが好きだ。時折、議論というより火種を生むのを楽しんでいる時もあるが、基本的に夫は理性的に話す。一方の私は、彼と話している時にどうしても感情的になってしまうことがある。だから私は…

人類学、地政学好きに勧めたい小説。上橋菜穂子『鹿の王 1』(KADOKAWA・2017年)

友人がおすすめしてくれた小説で、私が読み終えたのは文庫版全5巻のうちの1巻のみだが、物語序盤でもう面白い。 人類学や文化人類学、地政学といった学問への興味関心が高い人、あるいは知識がある人ならば確実に楽しめる小説だと考える。 私はこの本を読む…

見る・見られるの面白さ。『美術手帖 2024年1月号 目[mé]「ただの世界をつくる」』(美術出版社・2023年)

目[mé]の存在は、友人が教えてくれた。目[mé]の作品を実際に見たことがなかったので、目[mé]が何者であるかを知るために『美術手帖』を購入した。 <美術手帖について> 美術手帖を読んで思ったことは、今回の特集である目[mé]を例にすると、目[mé…

書評というよりライター心得。印南敦史『書評の仕事』(ワニブックス・2020年)

この本は1日で読み終えることができる。なぜなら、著者が本の中で語っていることが文字通り表現されているからである。 書きたいことを書いているからこそ、著者の人柄が内容から伝わってくる。伝わるように書いているからこそ、書評を書くうえで真に大切な…

スマホと少しのお別れ。カル・ニューポート『デジタル・ミニマリスト スマホに依存しない生き方』(早川書房・2021年)

冒頭から衝撃的だった。 かつてエンジニアとしてグーグルに勤務していたトリスタン・ハリス氏の言葉だ。 「(テクノロジーは)中立ではありません。ユーザーに一定の方法で長時間使わせることを目的としています。企業はそこから利益を得ているわけですから…

現代にも続く闇。NHK「フランケンシュタインの誘惑」制作班『闇に魅入られた科学者たち』(宝島社・2023年)

「フランケンシュタインの誘惑」(NHK総合)で、“積極的安楽死”の回を見た事がある。ジャック・キボキアン、通称「ドクター・デス」は生涯に130人余の患者の自殺ほう助を行った人物だ。 読んでいる最中だが宮下洋一『安楽死を遂げた日本人』(小学館、2019年…

モノを手放す手引き書として。佐々木典士『ぼくたちに、もうモノは必要ない。増補版』(ちくま文庫・2019年)

定期的に、ミニマリストにあこがれ、モノを手放そうと心がける時がある。そんな時にこの本を手に取った。 ミニマリストの事例集というよりは、著者自身のミニマリストになる前後の体験談と、モノを手放すためのルール、モノを手放すことで得られることのリス…

今はまだSFだが、いつか現実になるかもしれない。成田悠輔『22世紀の民主主義』(SBクリエイティブ・2022年)

成田悠輔という人物を知ったのはいつだったか。 欠かさず見ているテレビ番組、なんてものはなく、YouTubeもX(旧Twitter)も見たり見なかったりしていたものだから、いつ、どこで、どんな風に彼の存在を知ったのか全く覚えていない。 左右で違うフレームの眼…

夢と現が交錯する。朝吹真理子『きことわ』(新潮社・2011年)

これまで何十冊もの小説を読んできたが、繰り返し読んでも飽きることのないお気に入りの作品の中に『きことわ』がある。読む度に夢か現か分からなくなるのが面白く、何度も何度も読んでいる。 主人公は貴子と永遠子。葉山の別荘で同じ時間を過ごした貴子と永…

『EUPHORIA FASHION』大好きなドラマのアートブック、大金はたいて買っちゃったぜ。

皆様にとってどこからが大金か分かりませんが、1冊60ドル(2023年7月5日現在、約8,660円)、シッピングコストに52ドル(約7,500円)、日本円にして大体16,000円かかる分厚いアートブックというのは、私にとっては高級品で。 でも、でも、でも、買っちゃった…

【読書録】遠藤周作『海と毒薬』(新潮文庫、1960年)

私は医療従事者ではないから、手術や生体実験の場に立ったことはもちろんない。けれど、この物語の主軸となるある人に施された手術と生体実験の描写があまりにも生々しくて、グロテスクな描写の多いホラー映画なんかを見るよりずっと具合が悪くなった。 遠藤…

【読書録】有島武郎『生れ出づる悩み』(新潮文庫、2003年)

ずっと昔から、生活と芸術の両立への困難や不安、虚しさが描かれ続けていることに気づかされた作品。 有島武郎の名と『生れ出づる悩み』という作品名に出会ったのは中学生の頃。国語の授業に限らず、ずっと眺めていた国語便覧にその名があったはずだ。けれど…

【読書感想文】『ローカル仕事図鑑 新天地のハローワーク』/働き方の精神を教えてくれる職種図鑑だった。

定期的に、働き方を考える本を読みたくなる時期が来る。今回手に取ったのは『ローカル仕事図鑑 新天地のハローワーク』だった。 この本のプロローグには、 気に入った土地に住みたい、ゴミゴミした都会を離れたい、地元に戻りたい……。地方に暮らしたいと考え…

【読書感想文】『ゼロから始める西洋絵画入門』/西洋絵画の歴史と巨匠の生涯にハマる。

きっかけは、4月から始めた通信教育課程の課題。「比較鑑賞」についての課題を調べるため、まずは一般書から読みはじめようと思い立ち、手に取ったのが『ゼロから始める西洋絵画入門』だった。 私は学生時代、「歴史」が何よりも苦手だった。 でも、ルネサン…

『図解 はじめて学ぶ みんなの政治』/大人になってからでも構わない。政治入門書を1冊は読んでおけ。

恥ずかしながら、私は小学校〜大学院を修了するまで政治への関心がかなり低かった。20歳になり選挙権を得たときも「選挙に行く」が目的になっていて、「誰を選ぶ」の意識がすっぽ抜けていた。 しかし夫と出会い、政治経済の話題が大好きな夫が私の関心のなさ…

【読書感想文】『やり抜く力』/「自己啓発本<子育て本」な印象はあるけど、大人のやり抜く力も伸ばせます。

この本は夫の本棚にあったもの。 手に取った理由は、タイトルが『やり抜く力』なのに読み進めている痕跡がなかったから(本の前半部分にしおりが挟まったまま本棚にしまわれていた)。「夫の心を捉えられなかった本ってどんな感じなんだろう〜」という興味か…

『エル・ジャポン』の特集に考えさせられる。できることからコツコツと、サステナブル生活を始めてみる。

環境問題に関心が高いのは、身近に山と川がある環境で育ったからだと思う。それからごく自然に、地域の子供会や学校行事で「川の清掃」が組み込まれていて、遊びに来た人の一部が残していく大量のゴミを目にして「なんだこれは」「汚いなあ」と怒りを感じて…

【忘備録】『東大の先生! 文系の私に超わかりやすく数学を教えてください! 』/数学と向き合えそう。

数学の授業が嫌いだったわけではない。 ただ、問題の意味や「なぜこの数式を使わなければならないのか」などを考え込んでしまい、全然問題が解けなかった。まあ、単純に理解できてなかったともいうが。 塾の先生からは「なぜそうなるかは先(高校・大学)に…