2024-01-01から1年間の記事一覧

ミニマリストしぶ『手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択』(KADOKAWA・2022年)

精神的にまいってしまった時にこの本を手に取った。この本のおかげでいさぎよくモノを捨てることができ、少し生活や心に余白ができたように感じる。 手放す「方法」だけを知りたい人にとっては、この本の前半部分は長く(ダレて)感じられるかもしれない。 …

冷蔵庫のスペースに困った我が家にやってきた、便利な横置きできる水出しボトル

オススメしたい!というとちょっと押し付けがましくなる気がするから、感動を伝えたい、と言い換える。言い換えても同じか。 で、それは無印良品の横倒しにできる水筒のこと。 www.muji.com 商品名が「横置きできるストレーナー付き冷水筒」とあるから水筒と…

境界にたゆたう感覚を得る。朝吹真理子『TIMELESS』(新潮文庫・2024年)

朝吹真理子さんの『きことわ』が好きで、繰り返し読んでいる。 www.tomutomu-corp.com そんな彼女の新刊ということで『TIMELESS』を読んだ。朝吹さんらしい(『きことわ』を描いた人らしい)夢か現か分からない感覚が『TIMELESS』でも度々味わうことができる…

「不条理」について考える。カミュ著 窪田啓作訳『異邦人』(新潮社・初版1954年)

はじめて読んだのは中学生の時だった。 “きょう、ママンが死んだ。”という冒頭にものすごく心が痺れたことを覚えている。太宰治の『斜陽』の冒頭の言葉の美しさにも衝撃を受けたが、カミュの『異邦人』の冒頭もまた、日常的で、普遍的な声色に響くものであり…

ジャーナリング×書く瞑想をやってみて得た気づき。

私の大好きな作家さんであり、英会話の先生でもあったSakuracoさんから教えていただいた「ジャーナリング」と、その日本語版というか、少しアプローチが異なる「書く瞑想」を合体させたようなものを6月上旬に始めた。 バレットジャーナル 人生を変えるノート…

一生大切にする、この本。國分功一郎『暇と退屈の倫理学』(新潮社・初版2011年)

私はこの本を一生大切にすると思う。 暇と退屈について、人類史、歴史、経済史的な観点から検討し、後半では哲学的にその問題を扱いながらも生物学的視点からも暇と退屈を紐解く。あらゆる学問とのつながりを感じる多角的な視点に、読んでいてとてもワクワク…

不思議と涙が込み上げてくる。恩田陸『光の帝国 常野物語』(集英社・2000年)

高校生の時、本好きの友人から借りて読んだ思い出の小説を、久しぶりに読んだ。 この小説の好きなところは、物語の主軸となる常野の人々がなぜ不思議な力を持っているのかが具体的に明かされないところだ。彼らには不思議な力がある。ただ、それだけを説明し…

ルールにもっと関心を。青木高夫『ずるい!?なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン・2009年)

父から借りた本のうちの1冊。 義父から、義父が読み終えた文藝春秋を譲り受けているので、自分の父の視点で選ばれた本を読んでみたいなと思い、父が私に勧めたい本があれば貸してくれと頼んでみた。そうして選ばれたうちの1つである。 スポーツやビジネスの…

教育に興味のあるすべての人へ。草野絵美『親子で知的好奇心を伸ばす ネオ子育て』(CCCメディアハウス・2022年)

自分には子どもはいないが、教育分野には興味があるし(大学時代、中学理科の教員免許を取得した)、結婚をきっかけに甥っ子と姪っ子が8人でき、彼らの教育事情も目にしていたから読んでみた。 あと純粋に、コロナ禍のSNSで見かけた草野絵美さんのツイートが…

「利他」超面白い。未来の人類研究センター編『RITA MAGAZINE テクノロジーに利他はあるのか?』(ミシマ社 ・2024年)

「利他」の概念は、生産性や合理化を進める際、ある種の障壁となるかもしれない。 けれどそんな少し間の抜けた概念であり、一歩間違えば悪用されたり、善行の押し付けとなったりする空恐ろしさもある「利他」を、一見相反しそうなテクノロジーや法や社会の世…

加害者も人間。『関心領域 The Zone of Interest』(2024年)

さまざまな媒体で語られていることだと思うが、本作は直接的な加害シーンが映し出されることはない。暴力や殺戮が行われている「音」はする。何なら、この「音」に関しては、自然豊かな環境でごく当たり前のように耳に届く鳥のさえずりと同じくらい、主人公…

瞑想、悪くない。

「最近、初めて〇〇しました」というお題にピッタリなことを、つい1日前に始めたばかりである。 それが瞑想。 瞑想、あるいはマインドフルネスと呼ばれるものに対して、これまでの私はなんとなく「スピリチュアル感が強いな……」という軽度の忌避感を抱いてい…

3.5%のひとりになりたい。斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社・2020年)

ある人から見れば、やっぱり過激に捉えられてしまうのかもしれないが、私は今、読んでおいて良かったと思えた。薄らぼんやりと「これって結構変じゃない?」と思っていた現代社会の現状をビシバシ突きつけてくる本である。 そして今ある世界を根本的から覆そ…

主体的に「演じる」。平田オリザ『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』(講談社・2012年)

小学2年生、5年生の時に経験した学芸会がきっかけで演劇にハマり、高校の文化祭では自作の脚本で演劇を行い、大学生の時には演劇部で活動するなど、昔から演劇が好きである。 しかし、平田オリザが書く戯曲にはなんとなく苦手意識があった。当時の自分による…

倫理入門!倫理が学びたくなった。蔭山克秀『マンガみたいにすらすら読める哲学入門』(大和書房・2017年)

2020年〜2022年まで武蔵野美術大学通信教育課程に通っていたのだが、そこではじめて「哲学」を受講した。通信教育なので、基本的には教科書と参考書、課せられるレポートと試験のみでしか「哲学」には触れられないが、その世界があまりにも面白く、それ以来…

臨場感が半端ない。角川書店編『ビキナーズ・クラシック 日本の古典 平家物語』(KADOKAWA・2001年)

中学生だったか高校生だったかは覚えていないが、国語の授業で初めて『平家物語』に触れた時、音読した時の言葉の響きがあまりにも面白くて頭にずっと残っていた。那須与一が矢を放つ場面での「ひょうふっと」という表現、続くリズムがクセになった。 この本…

国立新美術館にて『遠距離現在 Universal / Remote』を鑑賞する

先日、国立新美術館で開催されていた、企画展『遠距離現在 Universal / Remote』を観に行った。とんでもなく心にグッとくる展示だった。 後述する鑑賞ミニガイド「◯才のためのミニガイド」に記載された『遠距離現在 Universal / Remote』のコンセプトが非常…

今こそ国語力を見直したい。齋藤孝『頭のよさは国語力で決まる』(大和書房・2021年)

はじめにパラっと立ち読みした際、小・中・高の国語の教科書に掲載されたなじみのある名著の解説に心惹かれ、読むことを決めた。 “国語力”とは、現代文・古文・漢文を読み解く力のことだと思っていたが、本著が扱うのは日本語の読解力や文章力、表現力ばかり…

生きていかなければ!チェーホフ著・神西清訳『かもめ・ワーニャ伯父さん』(新潮社・1967年)

この戯曲を読み終えたのは2020年より前だったかもしれない。映画『ドライブ・マイ・カー』の記事を書くことになり、その参考資料としてこの本を購入した。 きちんと目を通すのは初めてだったが、大学生時代お芝居をやっていたこともあり、「かもめ」は知って…

人生訓だと思った。森毅『数学受験術指南 一生を通じて役に立つ勉強法』(中央公論新社・2012年)

著者・森毅の激烈な言葉が心に気持ちよく(それは同時に痛みでもある!)響く本だった。印象に残った言葉をあげてみる。 「解き方」を知っていて解く、なんて癖は、受験本番にはむしろ有害だ。 量にたよるというのは「勤勉」という名の知的怠惰にすぎない。 …

ようやく光源氏の心境を理解できた。富井健二監修他『マンガで味わう源氏物語』(Gakken・2023年)

2024年の大河ドラマ「光る君へ」を鑑賞する中で、主人公・紫式部と本作についてもっと知りたいと思い、源氏物語に触れることにした。 源氏物語をマンガ化した作品は多々あるが、今回選んだ富井健二監修他『マンガで味わう源氏物語』(Gakken・2023年)は、平…

化学って身近だ!齊藤幸一『身のまわりの元素を調べよう 目で見る元素の世界』(誠文堂新光社・2009年)

化学自体は好きである。しかし好きであっても得意ではない。苦手意識が強く、なかなか理解を深められないまま、受験シーズンが到来し、残念ながら受験科目から切り離した教科である。 あまりにも理解できていないことが長年コンプレックスだった。どうにかし…

東京と地方、男と女、厚い壁。山内マリコ『あのこは貴族』(集英社・2019年)

原作より先に映画を鑑賞していた。映画がとても好きで、文章であの世界を体感したいと思った。原作は映画以上に生々しく、ものすごく楽しめた。登場する女たちは自分たちのやり方でたくましく生き抜く。清々しいラストは映画も原作も同様で、それに救われた…

大人になった今だからこそ読みたい。児玉幸多監修『少年少女 日本の歴史』(小学館・1982年)

小学校〜高校を卒業するまで、社会科が一番の苦手科目だった。というか、社会科の授業にあまりにも興味がなさすぎた。当時を振り返ると、他者の過去や経験を学ぶ社会科より、目の前でワクワクとした変化が起こる理科の方がよっぽど楽しかったのだ。 そんな私…

悪用禁止な「人たらし」の手口。佐藤優『悪の処世術』(宝島社・2023年)

恥を忍んで言うと、歴史の教科書や近代史で度々目にする各国の権力者、独裁者のことを、私はよく知らない。覚えているのは名前ばかりで、どこの誰か、何をしたのか、なぜ「悪」とされるのか、それを知らなかった。だから、それを知るために読んだ。 加えて、…

ノウハウ本ではないことに注意。森博嗣『小説家という職業』(集英社・2010年)

まず読書前にすべきだった反省点を述べる。 私は実は、森博嗣作品をまだ読んだことがない。 代表作として名高い『すべてがFになる』のタイトルやドラマ化したことなどは知っていたが、未読である。『スカイ・クロラ』が押井守監督によってアニメ映画化された…

私の反論は反論ではなかった。紀藤正樹『議論の極意 どんな相手にも言い負かされない30の鉄則』(SBクリエイティブ・2023年)

この本を購入したきっかけは、夫の存在である。 夫は人と議論するのが好きだ。時折、議論というより火種を生むのを楽しんでいる時もあるが、基本的に夫は理性的に話す。一方の私は、彼と話している時にどうしても感情的になってしまうことがある。だから私は…

人類学、地政学好きに勧めたい小説。上橋菜穂子『鹿の王 1』(KADOKAWA・2017年)

友人がおすすめしてくれた小説で、私が読み終えたのは文庫版全5巻のうちの1巻のみだが、物語序盤でもう面白い。 人類学や文化人類学、地政学といった学問への興味関心が高い人、あるいは知識がある人ならば確実に楽しめる小説だと考える。 私はこの本を読む…

森美術館にて『私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』を鑑賞する

先日、森美術館で開催されていた、森美術館開館20周年記念展「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」を観に行った。2度訪れている。1度目は1人で、2度目は友人と夫とともに観た。 1度目に行った時、私が自分自身にメモを残しているので、それ…

見る・見られるの面白さ。『美術手帖 2024年1月号 目[mé]「ただの世界をつくる」』(美術出版社・2023年)

目[mé]の存在は、友人が教えてくれた。目[mé]の作品を実際に見たことがなかったので、目[mé]が何者であるかを知るために『美術手帖』を購入した。 <美術手帖について> 美術手帖を読んで思ったことは、今回の特集である目[mé]を例にすると、目[mé…