ピザが食べたい。1階にピザ屋のあるマンションで過ごした日々は楽しかった。

f:id:tomu_saito:20181209184943j:plain

 Pizza Hut×はてなブログ特別お題キャンペーン「ピザが食べたい」で思い出した、数年前の思い出。

 数年前、1階にピザ屋があるマンションに住んでいた。

 正確には、1階にピザ屋があるマンションの”奥”にある2棟目のマンションに住んでいた。ピザ屋があるマンションを通り過ぎ「〇〇マンション パート2」などと名がついているほうに住んでいた。

 引っ越してきた当初は「1階に食べ物屋さんがある」ということから、失礼ながら「Gが頻繁に出そう」と不安に思っていたが、結局そのマンションに住んでいる間、Gに遭遇することはほぼなかった。

 そんなマンションで過ごした日々は楽しかった。

 

 家へ帰るたび、1階のピザ屋の脇を通らなければならない。

 ピザ屋からは食欲をそそる香りがいつも漂っている。「今日はピザじゃない」と分かっていても、あの香りを嗅ぐと頭が一瞬ピザでいっぱいになる。ピザを食べたくなる欲望を抑えながら、家まで帰った。

 とはいえ、あの家に住んでいる間、結構な量のピザを食べたと思う。

 そのピザ屋では「お持ち帰りならもう1枚無料」というサービスがあった。ピザ屋が1階にあるのだから「お持ち帰り」に苦労はない。せいぜい階段を2階分上がるぐらいだ。「もう1枚無料」が気軽にできるのなら、買わないほうが、食べないほうが損な気がする。

 そんなサービスに便乗して、ことあるごとにピザを食べた。

 ピザが食べたいなと思ったとき、なんだか仕事で疲れてしまったとき、家で映画を観る約束をしたとき等々、「ピザを食べたくなる理由」をつくってはピザを食べた。

 

 まだ結婚する前の夫とともに暮らしたそのマンションは、広いとは決して言えなかった。ピザを食べるときは、リビング兼ベッドルームにある、決して寝やすくないソファベッドに2人して座り、プロジェクターで壁に投影した映画を見ながら食べた。

 ベッドの前にテーブルがあるわけではなかったから、段ボールやダイニングにある椅子を机代わりにしてピザを置いた。置ききれないときは、お酒の入ったコップなどを床に直に置いたりもした。

 食べる風景は決してお行儀がよくないが、あのときのピザは美味しかった。

 ピザを食べ、お酒を飲み、机がわりにした椅子に時々具材をこぼしたりして。「体に悪いことしてる」と言いながら、お酒やコーラと一緒にピザを食べる。食べ終わったらそのままベッドに寝転んで映画の続きを見る。

 今でもあのときの楽しかった空気が思い出せる。

 

 つい先日引っ越しを終えたとき、今まで住んできた家を思い出していた。1階にピザ屋があるマンションで過ごした日々は楽しかった。手軽にお持ち帰りできたピザは美味しかった。お持ち帰りするまでの待ち時間すら、ちょっと楽しかったぐらいだ。

 またあんな風にお行儀悪く、ピザが食べたい。