こんにちは、齋藤吐夢です。
お酒が大好きです。
私はお酒を飲むことが大好きです。お酒に弱いのが玉にキズですが、調子に乗って何杯も飲んでしまう時が月に一度は必ずあります。酔いがおさまるまでの動悸は苦しいですが、あの特有の幸せを感じることをやめることができません。
私がお酒で感じる幸せというのは、酔っぱらった気分のことももちろん指しますが、どちらかというと、その豊富すぎる酒の種類、味わい、香りを存分に楽しむ飲み会が好きです。なのであまり飲み放題には惹かれません。
可能であれば互いに好きなお酒を頼んで、酒をゆっくり味わいながら語らい合いたいタイプです。まあ、酔いが回りすぎると議論が勃発してお酒の味を味わう会からは脱線しがちですが・・・笑。
さて、そんなお酒好きな私がキュンとくる本を見つけました。それが『コの字酒場はワンダーランド』という本です。
『コの字酒場はワンダーランド』
サブタイトルが印象的だったので、手に取りました。
「呑めば極楽 語れば天国」
まあ、なんて素敵な響きなのでしょう。本を開いてみて、その品の良さに驚きました。
決して、コの字酒場の見た目がきらっきらでぴかっぴかの高級店のような品の良さを指しているわけではないのですが、どう説明したらいいのでしょう。この本の著者である加藤ジャンプさんの語り口が酔いの幸せを象徴するかのようで・・・。
酒場へのときめきを感じる
この本を読み進めていくうちに、私の心がキュンとしていることに気づきました。キュンとする、という感情は一般的には少女漫画のような甘酸っぱい世界観だけだと思い込んでいたのですが、『コの字酒場はワンダーランド』にはそんなシーンがたくさんつまっていたのです!
日本にあるコの字酒場を厳選し、紹介するこの本の中には、その取材の中で出会ったコの字酒場の常連さんや店主との会話が生々しく掲載されています。
生々しいという表現を使いましたが、その言葉のぬめぬめとした語感は感じさせません。
とにかくリアルなのです。
本を読み進めていくうちに、まるで自分がコの字酒場の端の席に座っているかのような、加藤ジャンプさんと常連さん、店主の会話や呼吸を真横で感じているかのような感覚に襲われるんです。
そのうち、香りまで感じるようになるんです。老舗のコの字酒場にありそうな匂い、少し年季の入ったコンロの匂いや隣のおじさまが吸っている煙草の煙、飲みかけのビール、揚げたてのハムカツ、うなぎや少しむあっとした外気・・・。
お酒を愛す人が好きだ
私はお酒を飲みに行く度、自分自身に感じられる酔いだけでなく、他人の酔いの姿を見ていても幸せを感じます。
もちろん大声を張り上げたり、はしゃぎすぎて食器をひっくり返すような酔いは、「げ、元気だなあ・・・」と若干引きますが笑、遠くの方で嬉しそうにお酒を飲むお姉さんや最初のうちは硬い表情で語り合っていたのに、後で見やるとにひにひ笑ってお酒を飲むおじさま方が本当に大好きです。
お酒をつくる授業を受けていたこともあって、造り手が嬉しそうに自分のお酒を語るところも好き。百貨店などで試飲会をやっていると、造り手の表情が見たくて試飲するような私です。
『コの字酒場はワンダーランド』には、お酒を愛していない人なんて登場しないのです。有高唯之さんという方が写真を撮っているのですが、ノスタルジックなコの字酒場で酒を飲む方々の笑顔が印象に残ります。
ママや店主は、しっかりポーズをとったり目線をこちらに見やった写真が多いけれど、なんだか見つめていると、「やだ、恥ずかしい」と写真を撮り終えた後の様子を見ることができるんじゃないか、と思うほど生きた写真なんです。
お酒を愛す人がお酒を愛す人と組んで、お酒を愛す人がやっているお店に集まるお酒のを愛す人を映し出した一冊です。
実はコの字酒場未経験者
こんなにときめきを感じ、お酒がもともと大好きな癖に、コの字酒場は未経験者なんです。白状します。未経験です。
大学に在籍中、教授に連れられていった店もかなりノスタルジーな酒場でしたが、コの字酒場体験はまだしたことがありません。
ただこの本を読んでいると、常連客や店主が「この若輩者が!」と言いつつも、あたたかく迎え入れてくれるのではないかな、と期待してしまいます。
まずは、赤羽にでも出向いて、コの字体験しようかな。
では。
◆本日の一冊◆