こんにちは、齋藤吐夢です。
▲公式ビジュアルブックだそうです。
『君の名は。』を観てきました。
アニメは元々得意ではありません。幼い頃にはアニメや漫画に触れ合う機会が少なく、今では旦那さんよりはアニメ作品を好いてはいるものの、オープニングやエンディングに対して体がかゆくなるような反応をしてしまったり、展開に冷めてしまうこともあります。
好きなアニメ映画には偏りがあり、どちらかというと『君の名は。』は観にいくまで苦手なアニメ映画のジャンルにありました。しかしながら、批判をするのなら観てからにせよ!という信念のもと、教養のために朝8時半から『君の名は。』を鑑賞するに至ったのです。
とむ的作品評価
58点/100点
声優さんの技量 ★★★★☆
脚本の丁寧さ ★★★☆☆
歯がゆさ ★★★★★
良かった点
1.神木隆之介さんの器用さ
『君の名は。』は夢の中で入れ替わりを繰り返すというストーリー展開なのですが、体が入れ替わるのは、これまた王道で同じ年代の男女なわけです。ということは、体は男だけど中身は女だったり、その逆が生じるわけです。
神木隆之介さんは俳優としてもかなり演技派ですし、人気ですよね。声優経験もなかなか豊富ですし、期待していたんですが、期待を超えてきました。この人、すごすぎます。
というのも、女真似をしているわけでもないのに、中身が女の子だと分かるんです。極端に女声になるわけでもなく、神木隆之介さん演じる少年の声のままで、雰囲気は女の子になるんですよね。
もちろん女の子を演じていた声優さんの演技も素晴らしかったです。声だけで入れ替わりを感じさせるというのはなかなか高度なんじゃないかと思います。
中に女の子が入っている状態で、叫ぶ神木隆之介さんの声は本当に特徴をついていて、声優さんの演技の素晴らしさだけで涙が出そうになるほどでした笑。
2.脚本がかなり丁寧
後記で述べる悪い点も含まれているとはいえ、脚本は非常に丁寧だなと感じました。
途中でちりばめられた伏線や、話の進行が分かってしまったとしても、がっかりしない話の続け方なので、集中して物語を追っていくことができました。青春SFアニメとはいえ、きちんと「この後どうなるのかな」と思えたのはすごく心地が良い体験でした。
適度に加えられたワクワク感、アドベンチャー感、悲しみに暮れるシーンも不安も恐怖も、一つ一つが丁寧に描かれていたので、観やすい作品だったと感じています。娯楽映画の一つとして、観終えた後の「面白かった」という感想は本物です。
悪かった点
1.距離感などつっこみどころ満載
悪かった点としては、どうしても普段このようなアニメ映画を観ておらず、また現実的な話をしがちな私達だからこその視点だとは思いますが、距離感などつっこみどころが豊富にあったのが、少し残念でした。
例えば遠くに見えた山へ自転車で駆け上がるシーンや、東京へ向かうシーンなど、随所随所に移動するのですが、時間を一切感じさせないのが不自然だったように思えます。あまりにも距離が近すぎるように思えたのです。
映画上映時間の制限もあったのかもしれませんが、物理的な距離間をあまりにもあっという間につないでしまうので、遠さを感じることができませんでした。
また山を登るシーンも、まあ、これもまた現実感を望みすぎな私ながらのつっこみなのですが、「そんな軽装でそんな山を登るんじゃねえ!」と思ってしまうシーンがありました笑。「山なめんな!」ってなっちゃった笑。
後は一緒に観に行った旦那さんが、この映画の設定上、夢から覚めると男女の記憶はあいまいになるのですが、しきりに「住所だよ、住所教えれば忘れないし、もっと楽に会えるよ!」と言っていたのが面白かったです笑。
2.安直な都会と田舎の描写
私は都会っ子でもなければ、ド田舎っ子でもありません。地元は青梅ですが、青梅もかなり都市部には出やすい位置にあるので、この映画に出てくる雰囲気の全てを捉えることはできません。
けれども、やはり都会と田舎の描写が少し安直に感じてしまいました。都会に関しては身近な場所がいくつも出てくるので、あ!あそこだ!と思える楽しみはあるのですが、この場所が果たして都会の象徴でいいのだろうか、という疑問を抱いてしまったり。
都会なら、こんな風景に描けばいいかな。
田舎なら、こんな風景に描けばいいかな。
そんな風に思えてしまった。私達が都会と田舎の違いを全く知らないことも要因かもしれませんが、どこか安直さを感じてしまったのです。
3.RADWIMPSの長編MVに感じてしまった
今回もっとも悪い部分のように思えたのは、曲の導入の仕方です。RADWIMPSの楽曲自体は、歌詞も素晴らしかったし、『君の名は。』のイメージに合った楽曲だったとは思いました。
ただ曲が導入され、その歌詞が印象的であればあるほど、『君の名は。』のストーリーが一瞬にして途切れ、RADWIMPSの楽曲で頭が覆われてしまうのです。その回数がかなり多く感じたため、『君の名は。』がRADWIMPSの長編MVのように思えてしまいました。
アニメ映画ではなく、RADWIMPSのために書き下ろされたアニメMVかのような。
本来であれば、RADWIMPSの楽曲がアニメの世界観を表現するだけのある種道具でなければならなかったところが、主役の座を時折奪うくらいのインパクトだったので、一つの映画として見づらかったのも確かです。
それでも面白い映画だった
悪い点も書きましたが、それでも面白い映画でした。
素直に面白いと思えたアニメ映画だったので、今後ももう少し偏見なくアニメ映画を楽しめるようになるといいな、と思っています。
観る価値はあります!
話題の作品ですので、まだ観ていない方はぜひ。
では。
◆本日の一冊◆