※今までのデザフェス出展時の写真が掲載されているので、実際の展示例を参考にしたい人は、目次にある失敗例1)〜お世話になった参考文献を見てほしい。
そしていきなりだが、デザフェスに4回出展した私からのアドバイスがある。「デザフェス ブース レイアウト」で検索すると画像がたくさん出てくる。自分のテイストに似ているものを見つけ出し「守破離」
- 師匠の型を真似
- その型を破る
- 自分のものにする
を実践しよう。
「まずはやってみなっせ」ってことである。
はじめに
アジア最大級のアートイベント「デザインフェスタ」は、プロ・アマ問わず参加できる「アートならなんでもあり」のイベント。
そんなデザインフェスタに出会ったのは大学1年生の頃。来場者として通い、アートならなんでもありのごちゃまぜ感に惹かれるうちに、「出展者になりたい」という夢ができた。そして2017年5月に、その夢を叶えた。
「出展者になりたい」という夢は叶えたが、出展者側ならではの苦悩も見えてきた。
「作品を見てもらえない悲しさ」である。
嗜好品なので、作品に対する感想に「好き・嫌い」はあると思う。が、「そもそも目に留まらない」というのは大問題!「どうすれば人の目に留まり、足を止めてもらえるだろう」と考えながら出展を繰り返すうちに気がついた。
ブースレイアウトがいかに重要か。
ブースレイアウトのコツ
これ(↑)は2018年5月に行われるデザインフェスタvol.47に向けて描きなぐったブースレイアウト案。今回はわたしの作品だけでなく、父と夫の作品も展示するため、前回より展示エリアが広い。
紹介する失敗経験やブースレイアウト例は、デザインフェスタの「Sブース」を対象にしている。が、集客に効果的か否かにブースのサイズは関係ないだろう。
AIDMAの法則
ブースレイアウトに行き詰まった時、参考にしたのが「AIDMAの法則」。これは「消費者が商品やサービスを知る→購入する」までの流れを示したもの。
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
の頭文字を表していて、デザフェスに展示している作品が人の手に渡るためには(もっとはっきり言おう。購入されるためには)、まず注意をひく必要があるのだ。
Attentionがなければ、まず見向きもされない。
お客さんの目線に合わせた展示
注意を引くためには、通りがかるお客さんの目に止まる「高さ」が必要である。
実際、自分が来場者側だった時、はじめから自分の好きなジャンルでない限り、「お!」と思わないと近づかなかった。そして「お!」と思うものは、壁面展示や、立体的なブースが多かった。
デザフェスで借りることのできる机の高さは75cmほど。目線の高さに持っていくには、もう30〜40cm上乗せしたいところ。
「高さ」を意識するだけで随分変わる。
何を展示しているかわかる展示
後述する失敗例を見ていただけると一目瞭然なのだが、高さがあっても「何を展示・販売しているか分からない」というのはNG。
デザインフェスタの会場は広い。全てをじっくり見るには体力がいる。何を展示しているかよく分からないところにいちいち足を運んでいては、絶対に見たい展示に近づく前に疲れてしまう。
「なんだろう、あれは・・・」で近づいてくれる人ももちろんいるが、人を確実に呼び寄せたいなら「何を展示・販売しているかが分かる」統一感が重要だ。
予算も考慮したレイアウトを
高さや統一感を出すのに便利なレンタルアイテム「壁面パネル」。展示の仕方によっては非常に目を引くので愛用し続けたいアイテムなのだが、値段が高い!
そもそもSブースは、1日借りるのに12,600円。2日借りるのに22,000円かかる。それに加えて「壁面パネル」は
- 背面のみ:14,500円
- L字型:21,000円
- コの字型:25,000円
もするのだ。1回目と2回目に壁面パネルを借りたことがあるが、「ひゃー、費用がかかりすぎるー!」と3回目からは借りるのをやめた。
他の仕事で生計をたててブース代を補うってのもありなのだが、どうせなら絵で収益を得て、次の絵につなげたい。「赤字続きは回避したいじゃない・・・」という思いから、予算を考慮したレイアウトをおすすめする。
失敗例1)はじめてのレイアウト
結論から言うと、何やってるかわからないブースの典型である。
- 隙間が多く、さみしい
- 何を展示しているか分からない
- 作品に近づきづらい
- 作品が見づらい
- 販売物があるのか分からない
- テーマが分からない
何を描きたいのか、何が評価されるのか迷いまくっていた時期である。
「両隣がものすごく混んでいるのに、私のブースだけはガラガラ」という悲しい体験もした。
個人的には「ギャラリーっぽさ」もあって気に入っていたが、それは私の感想である。デザインフェスタというお祭りに来る人にとって「何を展示・販売しているのかわからない」展示は見る気が起きない。
失敗例2)2回目のレイアウト
2回目は統一感をもたせようとしたが、悲しい結果が待っていた。
- 販売しているのか分からない
(展示しているだけのように見える) - 統一感がまだまだない
- 何を伝えたいのか分からない
- 作品に近づきにくい
今思い返すと、ポストカードではなく原画を買ってほしいという私の思いを全面に押し出しすぎたように思える。
「原画を見て、買ってほしい」という気持ちまではよかったのだが、見てほしいという自分の気持ちを優先しすぎて、手に取りやすいレイアウトを置いてきぼりにしてしまったと感じている。
そもそもアクリル画があって、鉛筆画があって、写真があると、何がメインなのか分からなくなってしまう。どれも私の作品であることに変わりないのだが、集客のためには引き算も必要なのだ。
修正案1)統一感を意識
高さと統一感の重要性に気がついた私は
- 展示内容
- 展示方法
を変えることにした。
「壁面パネル」は使わず、アクリル画をメインに展開することに決めた。鉛筆画や人物画も思い入れがあったが、作品を統一するために手放すことにした。
原画は机の上にミニイーゼルで飾ることで、作品に近づきやすくした。ポストカードはディッシュスタンドを利用し、手に取りやすさを意識。缶バッチやミニ原画も用意して、作品の拡散を目的にした。
当日は青い布を敷き、絵のポップさをひきたたせることにした。
3回目から原画の価格設定を高くしたのだが、「値札の価格を見て人が遠ざかる」ということも知った。そのためデザフェス出展中に「原画を買いたい」と言ってくれる人にだけ値段を伝える方式に変えた。
3回目で得られた変化は客足だ。圧倒的に客足が伸びた。
悲しい思いをした2回目の出展、2日間で出会うことができたお客さんは10人程だった。お金の話をすると、売上は原画2枚、ポストカード1枚のみ。しかし3回目は「AIDMAの法則」のAction(行動)に進んでくれたお客さんが20人以上も来てくださったのだ。
修正案2)高さを意識
今回予定しているレイアウトは、よりシンプルな展示である。展示内容を厳選し、シリーズごとにまとめようと考えた。
高さと統一感を意識して、レイアウトを組んでいる。
そして当日展示したレイアウトがこれ(↓)である。
1日目(写真上)と2日目(写真下)で若干配置は違うが、まずどんな作品を展示しているか主張するために、F20号(727×676mm)の作品を看板代わりにした。 そしてビビッドな色調が目印なので、それが映えるよう下に敷く布に濃い青色を選んでいる。
ただし今回も反省点が発生した。ポストカードは1日目のように種類があったほうが「選ぶ楽しみ」があるようだ。ミニ原画は手に取りやすいよう、2日目から平面に並べてみたのだが、インパクトとしては1日目のほうが良かった様子。
などなど、反省を繰り返すことで学べる点も多い。
※なお今回のデザフェスvol.47からおかげさまで黒字である(正直に言うと「ちょい赤」なのだが、はじめてブース代を取り戻すことができた)。
作品制作も大切だけど
魅力ある作品をつくることも大切だが、たくさんの人に観てもらう以上ブースレイアウトを考えることも大切だ。
が、結局一番大事なのは「やってみる」ことである。デザフェスに出展してみたいなら「出展する」から始めるべきだし、失敗しても成功するまで試行錯誤を繰り返すことをおすすめする。
ここまで書いといてあれだが、
まずはやってみなっせ。
では。
お世話になった参考文献
◆本日の一冊◆
グッズレイアウトについて学びたいならこれがおすすめ。