文字通り、一生モノの内容。鎌田浩毅『新版 一生モノの勉強法』(筑摩書房・2020年)

新版 一生モノの勉強法 ―理系的「知的生産戦略」のすべて (ちくま文庫)

まず感動したのが読みやすさだ。

テレビや講演会など、人前で話し、伝える経験が豊富な著書だからこそ、その文体が非常に読みやすかった。とにもかくにも、言っていることが分かりやすく、頭にスラスラ入ってくる。文章を読み進めるのが苦手な人にも読みやすいのではないだろうか。

 

この本は「勉強法」とタイトルについているが、仕事や生き方にも関連する内容ばかりだから、いわゆる勉強のためのノウハウ本というよりは人生訓だと感じる。

もし、勉強法、しかも試験に合格するためのコツを求めているのであれば、「第6章 知的生産の「システム作り」のコツ」から読み始めることをおすすめしたい。

 

本書で私がハッとさせられたキーワードは2つ。

1つは「武器」。仕事力をアップさせるための勉強で、他の追随を許さない「武器」を持つことが大事だという。そしてこの「武器」は「得意なこと」「人よりできること」を意味する。

薄々思っていたことではあるが、「好きなこと」だけでうまくいくことは難しい。そんな現実的な一面を本書にバシーっと示されて、私は心を打たれた。

世間においてうまくいく、成功することを目指すのであれば、「人よりできること」という「武器」を磨く必要がある。それが好きなこととは限らないという点にやるせなさを覚えることもあるかもしれないが、著者の書き口には説得力があり、腑に落ちた。

もう1つは「ギブアンドギブ」。私はどうしても「ギブアンドテイク」のテイクを強く意識してしまうことがある。「こんなに与えているのに〜」みたいな。けれど著者はこう記している。

・テイクするためには、その前に必ずギブが必要なのです。

・ギブを意識したコミュニケーションを繰り返すことによって、しだいに人間関係が良好なものへと変わっていきます。

テイクを自ずから求めているようではいかんのだ、と反省した。

 

そのほか、勉強や仕事に集中するためのコツも非常に役立った。ここら辺の内容は、過去に読んだミニマリスト関連の本に近いところがある。

 

www.tomutomu-corp.com

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いずれにせよ、仕事や勉強の向き合い方や生き方にモヤモヤするものを抱えているのであれば、読んでみて損はない。