ミニマリストしぶ『手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択』(KADOKAWA・2022年)

手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択

精神的にまいってしまった時にこの本を手に取った。この本のおかげでいさぎよくモノを捨てることができ、少し生活や心に余白ができたように感じる。

 

手放す「方法」だけを知りたい人にとっては、この本の前半部分は長く(ダレて)感じられるかもしれない。

けれど、著者のような、驚くほど部屋に何もない状態を求めていない人にとっても、前半部分に出てくるミニマリストの定義やシンプルな暮らしであることの利点には学びが多いと私は思う。

私はもともと、手放す「方法」だけを知るために購入した層だが、印象に残っているのは「方法」ではなく「目的」を説く前半部分だ。

思想や哲学めいた話題が苦手な人にとっては、前半部分を読むのが苦痛に感じられることもあるかもしれない。だが「方法」を知る前にそれを行う「意義」や「背景」を知ることは重要だと考える。

とはいえ、「方法」が書かれた第5章あたりから読んでも、手放す練習はできる。

ただ、やっぱり序章〜第4章までを読んでから第5章を読み進めたほうが「方法」の理解は深まるのではないだろうか。

 

私がこの本に感謝しているのは、以下の文章でものすごく反省したから。

売るでも譲るでもなく「ゴミとして捨てる」がいちばん早く、エコなのだ。

 

片付け初心者の持ち物はガラクタだらけ(中略)あなたにとってのガラクタは、他人にとってもガラクタなのだ。

引用元:ミニマリストしぶ『手放す練習 ムダに消耗しない取捨選択』p.187〜(KADOKAWA・2022年)

「ゴミとして捨てる」のがいちばん早くエコって本当だなと。お前にとってのガラクタは他人にとってもガラクタだぞって本当だなと。どうせ捨ててしまうのだから、買う、手に入れる前から後始末について考えるべきなのだ。猛烈に反省した。

その後私は、罪悪感を伴いながらいくつかのものをゴミとして捨てた。

私は、いつかミニマリスト生活(いわゆるがらんとした部屋のミニマリスト)をしてみたいと思いつつ、今は大好きな読書や書く・描く仕事のための道具などをしっかり保有しておきたい人間である。

なので、いくつかのものはゴミとして捨てずにメルカリで販売したり、本などは古本買取を利用したりと、捨てる以外の選択肢をとってはいるのだが、それでもやっぱり、この本のおかげで、手放せるもの以外は持つもんじゃねえな……と思わされたのであった。