鎌田浩毅『新版 一生モノの勉強法』に学ぶ本棚整理術。集中力アップの秘訣。

 

この間読み終わった鎌田浩毅『新版 一生モノの勉強法』(筑摩書房・2020年)に、目の前の仕事(勉強)に集中するための周辺環境の整理、情報の整理のコツが書かれていて、実践したら心が落ち着いたので、そのことについて書く。

紹介されているコツはたくさんあるが、人に勧めたコツを1つだけ選ぶならば、私は迷わず本棚のくだりを推す。

 

“あふれた本はあえて整理しない”

まず明らかに読まない本が机(本棚)を占拠しているのは勉強や仕事の邪魔だと、著者からはっきり言われる。

確かに最近、私の机の上にあった本や書類を、机とは距離のある本棚に移動したのだが、それだけで集中できるようになった。それらの本は、普段、机で行うライター仕事とは関係のない本ばかりだったので、「やっぱりあれは邪魔だったんだ!あの時、気が散ってたんだ!」と腑に落ちた。

次に著者は、読んでいない本や本棚からあふれた本は、段ボール箱に詰めてクローゼットに入れてしまえ、と言う。

私は本棚の前に立ち、熟考した。私は読書が好きだが、読みたい本が多すぎる。

加えて、

  • 読み終えたけど何度でも読み返したい本
  • 読み途中の本
  • まだ読めていない本

これらを前にすると「全部読み切らねば!」という気持ちになる。その気持ちになるのはいいが、何か1冊読み始めると、他の本が気になってしまい、集中して読み進められないことがあった。あと、どの本を読もうか悩むだけで時間が過ぎてしまう、とか。

そこで段ボール箱を3つ用意し、

  • すでに1回以上読んだお気に入りの本
  • すでに読み終わっており古本屋へ持っていこうと考えている本
  • まだ読んでいないが、本棚にある本を最優先とした時、次に読もうとしている本

をそれぞれ箱にしまった。

そして本棚には、仕事に関連する本のほか、読み途中の本を並べた。こうすることで、本棚にある本から読み進めていく仕様に変更したのだ。

なお、本棚にある本から読み進めなかったら罰則がある……というわけではもちろんない。

順番待ちをしている箱の中に読みたい本があれば、箱から取り出せばよい。これを手間と感じる時もあるかもしれない。でも本棚をスッキリさせただけで、選ぶのに時間がかかりすぎることがなくなったし、第一見た目がスッキリしただけで「読まなきゃ!」みたいな妙な焦燥感が失せた。これは目から鱗だった。

この本棚のくだり以外にも、本読みたがりの私に刺さる言葉があったので最後に紹介する。

 

“「なぜ本を読むのか」を立ち止まって考える”

 本のために費やす時間はすべて他の時間から失われていっているのだという観点をもって、自分の読書を考えてみる。
(中略)
 本を読むことが本当に皆さんの人生を豊かにしていってくれるように、本が好きな人、本を読む喜びを知っている人ほど少し読書から離れ、このように自分を俯瞰して「なぜ本を読むのか」を考えてみてください。

引用元:鎌田浩毅『新版 一生モノの勉強法』p.218筑摩書房・2020年)

この文章の前にあるページに「▶️あなたは本に「読まれて」いないか?」という項目があり、ドイツの哲学者ショーペンハウエルの言葉を紹介している。

「読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない」「まる一日を多読に費やす勤勉な人は、しだいに自分でものを考える力を失って行く」

本は情報量の塊でもある。それが目の前にいっぱいあれば気が散るのも当然だ。本が好きだけど、この整理術を知るまで、私は本に飲まれていたのかもしれないな〜と思った。