この本は、失敗をどのように捉え、そこからどのように学習していくかについて、様々な事例を交えながら解説する本である。
私がまだAmazon Primeのサブスクに登録していた時、Prime Readingではじめてこの本を読んだ。その時は第1章しか読みきれなかったが、その第1章が非常に面白かったので紙の書籍を購入することにした。結論、全章とっても有意義な内容だった。
当時なぜ、この本を手に取ったかというと、私自身がこれまでの人生において失敗することを過度に恐れてきたからである。
ただ、夫と出会い、「失敗=悪いこと」では決してないこと、むしろ失敗を避けるべきものではなく、そこから学び、成長するための機会として捉えることが重要であることを教えられたことで、「失敗」そのものに興味を抱くようになった。
それで、この本を手に取ったわけだ。
この本の帯には「組織の話なのに小説のように面白い!」とある。この本で取り上げられている失敗事例は確かに面白い。面白いといっても、当事者を思えば心苦しくなるような事例も多いので、ここでいう面白いは決して「ファニー」という意味ではないことをお忘れなく。
しかし、医療、航空、ビジネス、スポーツなど、さまざまな分野における失敗事例が、私たちに人間が陥りやすい認知バイアスや失敗を隠蔽しようとする心理、失敗から学習するための組織文化の重要性や失敗が起きた際に迅速に対応できる体制の重要性を教えてくれる。
その学びの深さが面白いのである。
まず、読んでほしいのが、私に「紙の書籍を購入して全章読まなければ!」と思わせてくれた第1章の医療ミスの事例と、失敗に対する医療業界と航空業界の対応の違いである。
医療ミスの事例は、本当に読んでいて苦しい気持ちになる。だが、失敗した人の心理(医療ミスを起こした側の心理)を想像してみると、彼らの失敗への向き合い方をそう簡単に批判できないことが分かる。一度も失敗したことがない人などいないし、失敗に直面した時、そのことを認めにくいものなのだから。
この本を読んで、人がいかに自分の失敗を認められないかを知った。
とはいえ、この本の良いところは、失敗から学習するための具体的な方法論が提示されているところだ。人は失敗するし、その失敗を簡単には認められない生き物なのだよ、という絶望で締めくくられるわけでは決してない。
「第3章『単純化の罠』から脱出せよ」と「第4章 難問はまず切り刻め」「第6章 究極の成果をもたらすマインドセット」はこの本の中でも比較的明るい話題なので、失敗事例や人の過ちへの対応に落ち込みそうになったら、第1章から順に読むのではなく、交互に読んでいくのもいいかもしれない。
この本は、かつての私のように、失敗を過度に恐れがちな人にも読んでほしいし、失敗する人を過度に責めてしまう人にも読んでほしい。なんなら、「自分は失敗を恐れていません」という自信満々な人も読むべきだと思う。
なお、この本で取り上げられている失敗事例に触れて、私の頭の中に浮かんだ言葉は「人のふり見て我がふり直せ」だった。 他人の行いの善悪を見て、自分の行いを反省し、改めよ、という意味ですね(出典元:小学館 デジタル大辞泉)。
自分の行いを改めようと心がけたいのであれば、読んで損はないと思います。
