先日『来る』を観てきた。
『来る』の鑑賞は2回目だ。2回観て思ったけど、わたしはこの映画がビックリするほど好きだ。DVD出たら多分買っちゃう。イヤホンでヒィヒィ言いながら聞いちゃう。
ホラーエンターテイメントっていいね。
『来る』の演出が好きすぎる
オープニング映像が好きすぎる
オープニングに大興奮しちゃってヤバい。
大きな川が映し出され、そこには神職の装束に身を包んだ男性がずらりと並んでいる。川の中には1人の女性がこちらに背を向けて立っている。上半身裸のその背中には痛々しい傷が見える。
彼女たちの姿を写したあと、ぬらぬらとした映像が続く。水の中に絵の具を落としたときの、まきあがるような独特の動き。磁石で砂鉄を動かしたときの、毛が逆立つようなあの見た目。
これらのぬらぬらとした動きが大画面に映し出されると、何だか気味が悪いのだ。ガチャガチャとした音楽に合わせて映し出される気味の悪い映像。
オープニングの時点でただならぬ雰囲気が感じられて、「今からわたしはホラーエンタメを観るのだ!」と気持ちが大盛り上がりである。
お祓いシーンが好きすぎる
物語は秀樹(妻夫木聡)パート、香奈(黒木華)パート、野崎(岡田准一)パートで描かれるのだが、大好きなお祓いシーンは野崎パートで観ることができる。
霊能力者・比嘉琴子(松たか子)のお祓いは独特で、宗派等関係なく、「祓うことができるものは全部使う」といった感じである。そのため、劇中に登場するバケモノ”あれ”を祓う際、色んな神職ごっちゃ混ぜな儀式が行われる。
これは鑑賞した人でなければ伝わりにくいのだが、お祓い開始のシーンがめちゃくちゃいい。
劇中、琴子が「まず”トリ”が鳴きます」と言った直後、神職ならではの音色でお祓いが開始される。結界を張る担当と思しき彼らは、喉を響かせるような音でエーと鳴く。その直後、儀式が行われる場では、琴子を含め、それぞれがそれぞれのやり方で祓いを開始する。
これは・・・厨二病ホイホイだ。
安倍晴明とかにやけに惹かれる厨二病の姿が思い浮かぶが、すげーわかる。厨二病ホイホイだとわかっていても、このお祓いシーンはかっこいい。
「バケモノ相手にお祓いする」という設定自体、「オカルトとかwww」と言われてしまうこのご時世にかなり攻めてると思う。でも、そんなオカルトがエンタメに昇華されている。
エンタメに昇華されたことで、「悪しきものを祓う」という”文化”に興味引かれた人も多いことだろう。
バケモノの容赦なさが好きすぎる
厨二病ホイホイなお祓い描写も興奮するのだが、とにもかくにもバケモノである”あれ”が情け容赦なさすぎるのがいい。バッタバッタと人が死んでいく。無害そうな人とか「この人関係なくない・・・?!」って人までバッタバッタと死ぬ。
しかも2回目観てより怖くなったのが、虫を殺して遊ぶ無邪気な子供と同じくらい、”あれ”の殺しの描写には悪気がないということだ。殺しの描写自体は残酷でグロくて、まあ、ひどいのだけれど、”あれ”は主人公家族を無邪気に追いかけていただけなのだと思う。
子供が虫を殺して遊ぶのと同じ感覚で、人を殺しているだけなのだ。
胸熱の仰々しいお祓いシーンは、次々に神職が命を落としていくことで不穏さを増していく。結界を張る担当っぽい人が、口から血を吐き出して死ぬシーンでは「ヤバい・・・負ける・・・!」と思ってしまう。
なお1回目に観た『来る』のレビューで、柴田理恵演じる霊媒師・逢坂セツ子がかっこいいと書いたが、”あれ”と対峙する逢坂の描写は痺れるぜ。
切なさが好きすぎる
それから2回目にも関わらず、同じシーンで泣いてしまい、鑑賞後そのことに自分で笑った。
琴子は”あれ”を祓うために、”あれ”を呼び寄せたうえに”あれ”を手懐けた恐ろしい存在として、秀樹と香奈の娘・知沙までも異界に追い払おうとする。
しかし寂しい思いをしてきたがゆえに”あれ”を呼び寄せた知沙を、琴子の妹・真琴(小松菜奈)と野崎は必死に守ろうとする。「知沙は寂しかっただけなんだ」と訴えて。
野崎「そりゃバケモノとだって遊びますよ!!!」
野崎が知沙をぎゅっと抱きしめて、琴子に対して訴えるこのシーンで泣く。寂しさゆえ、”あれ”を呼び寄せた知沙を必死で守ろうとする野崎の姿に泣く。1回目で泣き、2回目でも泣き、なんなら思い出しただけで泣く。
「寂しい」という感情が生み出した闇の深さが、切なすぎて好きすぎる。
『来る』の爆音上映とかないかな
何度でも観たい。
DVD出たら買うけど、ホラーエンターテイメントなだけあって、音響効果がとにかく不気味なので、可能なら映画館で何度でも観たい。だから今わたしが望んでいるのは、爆音とか極音と名前のついた上映だ。
爆音で”あれ”が近づく音を聞いたら・・・怖すぎて、おしっこ出ちゃうな。
では。
◆本日のおすすめ◆
パンフレットは制作秘話が垣間見れて楽しい
原作で比嘉姉妹のその後を見なければ