出会ってしまった。
凹むけど優しい気持ちになれる漫画に出会ってしまった。
ダルちゃん
あらすじ
あらすじというか、『ダルちゃん』の設定を引用する。
ダルダル星人の姿を隠して、一生懸命に「働く24歳女性」に「擬態」するダルちゃん。
ダルちゃんは「普通」じゃない。そのままの姿だと気持ち悪がられます。
だから社会のルールを一生懸命覚えて、居場所を探します。誰かに合わせて生きていると、自分が本当は何を考えているのかわからなくなるけれど、
それで相手が喜んでくれているのなら、人に合わせることの、何がいけないのだろう――。引用元:ダルちゃん 1 | 小学館
少し凹む理由
あらすじだけで、胸がクッと苦しくなった人もいるのではないだろうか。
ダルちゃんは居場所を探している女性である。誰かに合わせて生きることで居場所を得ている女性だ。相手の喜びを第一に行動してしまうダルちゃんは、時に見ていて痛々しい。でも痛々しいダルちゃんをバカにすることなんてできない。
「普通であれ」と言われたことが、思ったことが、感じたことがある人であれば、誰もが一度はダルちゃんのような道を歩んだはずだ。
連載時より「しんどいけれど、読む手がとまらない」「ダルちゃんは、私だ」と大反響の声が集まった傑作コミック
引用元:ダルちゃん 1 | 小学館
とあるが、まさにその通りの漫画だ。読み進めるほどにつらい、凹む。
ダルちゃん第1巻で描かれるある男との出来事は、見ていてとてもむしゃくしゃする。むしゃくしゃするけど、ダルちゃんは居場所を探して必死に生きているのだ。
どうすればいいのかわからない。
そんな感情がダダ漏れるストーリー展開に胸がくしゃくしゃになる。
凹むけど人に優しくなれそうな理由
ただ、ダルちゃんの周りには、ダルちゃんの心を支える人物もたくさん登場する。
ネタバレしてしまっては、『ダルちゃん』の凹み体験と優しくなれる体験が半減すると思っているので、ストーリーは明かせない。でも、経理のサトウさんとのやりとりが優しくなれる理由のひとつということは明かしたい。
経理のサトウさんにも、胸をえぐられるようなエピソードがある。ダルちゃん以外のキャラクターにも、悲しさや虚しさなどのネガティブなものがあることが分かると、この漫画がただの凹む漫画ではないことが伝わってくる。
ネガティブな出来事を受け入れて、人に優しくできる人の姿はすごいと思った。
ダルちゃんの「擬態」はつらい。つらいけど、そのつらさを受け入れて起こる何かもあるんだろうなと期待できる。
正直第1巻の終わりはまあまあ不穏だ。
しかし「つらい」を「つらい」で終わらせない漫画だと思った。
普通ってなんだろう
『ダルちゃん』を読むと、普通ってなんだろうと思う。
「普通であれ」という言葉が呪詛に感じる人にとっては、まあまあキツい漫画だと思うが、「擬態」するダルちゃんの姿を介して、「普通」から解放される人がいるといいななんて思ってしまう。
「普通ってなに?」という問いに『ダルちゃん』が答えてくれるかどうかは、読む人によりけりだとも思うが、生々しいダルちゃんの感情に触れて、少しでも導き出せるといいな。
では。
◆本日のおすすめ◆
ダルちゃんは現在2巻まで出てる。