はじめに
結論から申し上げると、映画としては面白かったが前作よりは好きではない、というのが率直な感想。
私の特技は「作品の良いところを見つけ、褒めること」なので、今作「パシフィックリム アップライジング」にも良いところを見つけた。
が、それでもやっぱり、前作よりは好きではない。
パシフィックリム アップライジング
あらすじ
前作「パシフィック・リム」で、地球を侵略しようと目論む異星人が送り込んだ怪獣と人類による対怪獣兵器・イェーガーとの戦いは終わった。今回の物語は、その数年後の話である。
自ら犠牲となって世界を救った司令官・ペントコスト。その息子・ジェイクは、怪獣の亡骸やイェーガー部品を盗みながら生きていた。そんな彼は自作のイェーガーを乗りこなす少女と出会う。
ひょんなことから、その少女とともに、かつて怪獣と戦った防衛軍の軍隊に引き戻される彼。世界では、再び現れるかもしれない脅威に備え、無人のイェーガーが導入されようとしている。
そんなとき、導入された無人イェーガーが暴走をはじめ…
「ドラマ」部分が重視された作品
前作では、映画開始早々怪獣が姿を現し街を破壊するという胸アツ展開から始まった。一方今作は、イェーガーに乗り込む乗組員のドラマが中心に物語が進む。
父を見返せなかった息子と、怪獣に家族を奪われた少女。防衛軍を統括する前作のヒロイン・森マコや、無人イェーガーを推進する敏腕な女性社長。彼らの成長がメインストーリーとなる。
怪獣とイェーガーのドンパチをみたかった人にとっては肩すかしかもしれないが、だからといってドラマがつまらないわけではない。むしろ、見入ることのできる展開だ。
今作のパシフィックリムは「人間ドラマを描いたもの」と説明すると分かりやすいかもしれない。
いい意味でオタク感が増強された
とはいえ前作同様、オタク感が満載なのが最高だ。
今回4体のイェーガーが登場するが、彼らが戦闘配置につくシーンは、完全に日本ロボアニメのそれである。それぞれの決めポーズにあわせてカメラが彼らに焦点を合わせる。最後に引きの画を撮って完了だ。
ロボアニメやSF映画のドンパチ好きには「おおおおお!!」と胸の高まるカメラワークが多く、イェーガーが怪獣に攻撃を加え、時に攻撃される画では「パシフィックリムといえばこれだよ、これ!」と声に出したくなる。
オタクを悪い意味で捉えられてしまってはおしまいだが、アニメのカメラワークから感じ取ったとてつもないオタク臭、私は好きだよ。
速さが増したイェーガーが残念
ただし前作のファンである私にとって、イェーガーの動作スピードが早くなったことが残念に思えた。
ロボアニメ感が強まった演出、イェーガー技術が進んだという設定がゆえ、前作にあった「動作の重み」が減ってしまったイェーガー。イェーガーVS怪獣に欠かせない、巨大すぎるがゆえの遅さが全然足りないのだ!
前作に登場したストライカー・エウレカは、前作登場イェーガーの中でも最速という設定だった。
それでも走り出しはかなり重たく、それが心をワクワクさせた。今作には、重さゆえのワクワクが足りないのだ。「そんなに早く操縦できては、イェーガーじゃない!!!」
とはいえ、前作と全く同じ設定では続編の意味がないし、ドラマ部分が多かったとはいえ映画としては面白かった。だから上記の台詞は、上映終了後あえて口にしなかった。
前作の続きのようで違う
そもそも前作とは登場人物も時代背景も違うのだ。前作の続きを描いた作品であるのは事実だが、映画のつくりとしては同じようで違う。
公開後、賛否両論だと噂で聞いていたが、ストーリーじゃなくてイェーガーVS怪獣ドンパチを期待していた人にとっては「なんか違う」映画になってしまっただろう。分からなくはない。
「映画としては面白い。前作よりは好きじゃない」が映画を見た感想で、それでもやっぱり、シリーズ化するのであれば3作目も私は観てしまうんだろうな。
あ、でも私の大好きなキャラクター、生物学者・ニュートンと数理学者・ハーマンがそのままのキャラで登場したのは最高によかった。あれは安心。
では。
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