【一部ネタバレ】映画『ザ・プレデター』は”楽しかった”が、面白い映画ではない。

【映画パンフレット】ザ・プレデター

 一部ネタバレあり。

 今作をまだ観ていない人に向けて、「あ、やっぱ観てみようかな」と思えるようなレビューを目指しているが、鑑賞後感じた魅力を伝えるために一部ネタバレがある。

 「映画鑑賞前のネタバレ絶対NG」な人は、映画鑑賞後にぜひお越しを

 

 

ザ・プレデター』の鑑賞は”楽しかった”

あらすじ

 アメリカ軍特殊部隊のスナイパー・クイン=マッケナは、南米にて麻薬組織の暗殺作戦に従事していた。そこへ正体不明の宇宙船が墜落し、クインの仲間や暗殺対象が宇宙人プレデターによって殺されてしまう。

 クインは1人生き残るが、その際証拠品として宇宙船からヘルメットとガントレットを回収する。回収した装備品は、クインの自宅へ送られるが、発達障害を抱える息子ローリーがその装備を手にしてしまう。

 プレデターと遭遇したクインは、政府に取り合ってもらえず「気がふれて仲間を殺した」として逮捕され、軍刑務所行きになる。護送車には退役軍人受刑者である5人の退役軍人と出会う。

 

 映画は終始、

が、プレデターを追いつ追われつ・・・という流れで繰り広げられる。

 

プレデター好きによるお祭り騒ぎだった

 感想は「楽しかった」。が、映画として面白いかというとそうではない

 むしろある程度『プレデター』ファンでない限り、「なんだ・・・なんだったんだ、この映画」と唖然としてしまうことだろう。

 映画開始直後からプレデターが姿を表した時点で、この映画を鑑賞する人が「プレデターを知っている前提」だと感じた(「パシフィック・リム」も開始数十秒で主役級の「怪獣」が登場するが、そのときに得られた興奮とは全くの別物だ)

 プレデターどんちゃん騒ぎ、プレデターと対峙した人間がどんちゃん騒ぎ、ちょっと静まったかと思えばプレデターが起き上がってまたどんちゃん騒ぎ・・・といった、終始プレデターが動き回っている印象だ。

 なおそこに、モンスター映画特有の「いつ襲いかかってくるかわからない不安感」は皆無である。

 だってもう姿出ちゃってるもの!!!

 だから、この映画は、監督やプロデューサーが大・大・大好きなプレデターが大立ち回りを見せる、映画制作者側大興奮の映画だったように思える

 

ラストを撮るために映画を1本撮った!?

 映画制作者大興奮の映画であることに関しては・・・映画としてはどうかと思うが、ある程度わたしが映画好きなのでまだ許容できる(偉そう)。

 ただラストシーンに関しては物申したいと思った。

 

 お前、これ・・・ラストシーンが撮りたかっただけじゃないか!!!

 

 ラストシーンでは、最初に飛来したプレデターが落とした”あるもの”の解明が進んでいる。

 劇中現れたプレデター史上最強のプレデター、通称アルティメット・プレデターによってコテンパンされたプレデターが、地球託した”贈り物”だという。

 もちろんサンタクロースのそれのような”贈り物”ではなく、アルティメット・プレデターから、地球を守るための道具だというのだが・・・

 (最初に飛来してきたプレデターがアルティメット・プレデターから地球を守ろうとする設定なら、なんであんなに研究所でめちゃくちゃに人を殺したんだ・・・と鑑賞後に思った)

 その”贈り物”が作動するシーンと、昇進したクインがドヤ顔で発する台詞を観たとき、「さては監督、この胸熱続編のためにこの映画を撮ったな・・・!」と思った。そのぐらい、それまでの2時間弱が本当にお祭り騒ぎにしか感じないオチである

 

 この映画に意味なんてないのだ。

 

 その意味のなさを楽しむことはできても、他者に今作をおすすめするとき「この映画”面白かった”よ〜」というのは違う気がしてしまう。だから「映画」としては決して面白くないと評価した。

 ただし映画が好きで、モンスター映画が好きなのであれば、ザ・プレデター』は色々てんこ盛りなので、きちんと楽しめるはずだ

 

映画としては難あり

 映画冒頭でいきなりプレデターのお祭り騒ぎが楽しめる分、キャラクター紹介的な場面や説明台詞の多いシーン、「その台詞・・・いる?」みたいなシーンで、どうしても映画が停滞してしまう。

 また軍人映画慣れしていないわたしにとって、予想以上に男同士のコミュニケーションが密なことに驚いてしまった(語弊を生みそう)。

 映画終盤、退役軍人受刑者たちがアルティメット・プレデターになす術なしな状態になったとき、手負いの彼らが互いに下す決断のシーンなんかは「あれ・・・これ、BL(ボーイズ・ラブ)なの?」と勘違いしたほどである。

 のちに夫に「軍人映画だったね〜」と言われて、ようやく「あれはBLではない」と認識した。

 

 万人ウケする映画ではないことは、映画ジャケットから察しがつくだろう。ただ、少しでも『プレデター』関連作を鑑賞したことがあり、嫌いではないのであれば、観る価値はある

 久しぶりに、意味を持たない映画を観た。

 映画鑑賞が楽しかったと思える素敵な映画ではあるので、「ああ、楽しかった」と言いたい人は観てほしい

 では。

 

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