第18回世界絵画大賞展で気になった作品について気ままに書く。

2022年7月2日〜8日まで東京都美術館で開催されていた第18回世界絵画大賞展。気になる(心動かされる)作品がいくつもあったので、気ままに書き留める。なお作品画像は掲載せず、タイトルのみで書き散らかすので、正直記事を読んだだけでは「なんのこっちゃ」と思われるだろうが、そこのところはご堪忍を。一応、第18回世界絵画大賞の入賞・入選作品図録の掲載順に沿って書いていく(図録は世界堂で販売されている)。

 

優秀賞『新しい季節』について

この方の光と影の表現が美しかった。描写がすごく繊細で、色合いは色鉛筆とかパステルとか水彩絵の具を思わせる淡さだったので「画材、アクリル絵の具なのか……」と驚愕する。写実的ではない、抽象的な「目」の表現が、作品の印象を強めている気がする。

カール事務器賞『命器』について

命とか食べるとか死ぬとか、そういう事象についてしょっちゅう考えている私にとってドンピシャの作品だった。

モノトーンで描かれたシンと静まり返った雰囲気の中に、豚の顔だけがカラーで描かれているのだが、その豚の顔はフックで吊られている。おそらく、多分、屠殺され、顔だけとなった部分だけがカラーになっているのだと思う。

生きていたはずの体がモノトーンで、すでに殺された部位がカラーで描かれている。その感覚にものすごく惹かれた。

墨運堂賞「彩り猫」について

実際にはいない毛色の猫を含め、何匹もの猫が描かれている作品。猫が描かれている「だけ」にも見えるが、実際の作品は、言葉に言い表せないかっこよさがあった。もしかしたら、この「だけ」という部分が「潔さ」につながっているのかもしれない。

いつかこの作家さんの作品を購入して、自宅に飾りたい、という夢ができるほどのかっこよさだった。

入選作品「社会的孤立=透明人間」について

無数の蝉の抜け殻、折り鶴、体の半分が透明になり、蝉の抜け殻が透けて見える人1人、壁には手、それから髑髏……となかなか怖い。“社会的孤立”というタイトルが胸に刺さるような、ゾッとするような。部屋に飾るには怖い絵だと感じたが、多分、もう、忘れられない。そういう作品。

 

以前も書いた気がするが、世界絵画大賞展の入賞・入選作品は、全体的に少し怖い印象がある。ゾッとする、ギョッとする、そういう作品に遭遇する確率は高い。でも、その分、絵を通して訴える力が強い作品が多いともいえる。世の中のあらゆる出来事を受け止め、感じたことをありのまま表現する作家さんが多いんじゃないだろうか。

 

第18回は、初入賞を果たした思い出深い回となったが、図録に掲載された自分の作品(ブログ冒頭の写真)を見て「弱いな」と感じた。表現力がまだまだ全然弱い。まだ描ける。だって、みんな、もっと怖いし、強いし、楽しそうだもん。と、授賞式会場ですこ〜しだけ落ち込んでいたことをここでさらす。入賞はめちゃくちゃ嬉しいし、『まどろみ』という作品のことは大好きだし、展示されているのを見て感慨深かったけど、欲が溢れた。もっともっともっともっと描きたい。

そういう回であった。

 

審査員の1人、佐々木豊氏の書籍。読み物としてめちゃくちゃ面白いし、「絵描きを続けるぞ!」ってうえでめちゃくちゃ励みになる。