映画『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』異文化と家族について考えさせられる。

こんにちは、齋藤吐夢です。

「可愛らしい映画なのかな」なんて思っていたら、異文化と家族について、思っていた以上に考えさせられる映画だった。

 

 

コメディアンと昏睡状態の彼女の話

見つめ合って笑い合う2人の姿に惹かれ、この映画を観ました。ジャンルとしては多分コメディで合ってる。ジョークも効いていて観やすい映画。終始ニコニコしながら観たね。

ただ思い返してみると、差別や偏見の話、人とのつながり、家族の話など、「誰もが直面する可能性のある”壁”」が脚本にうまく練りこまれている

 

あるカップルに訪れる悲劇

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物語をざっと説明する。

主人公クメイル(本人)はパキスタン出身のスタンダップコメディアン。彼はライブで野次を飛ばしてきた女性・エミリーと恋に落ちる

ただ彼は、パキスタン文化に保守的な母の「同郷の花嫁をもらいなさい」と言う言葉に従い、嫌々ながらも母が連れてくるパキスタン女性とお見合いを続けていた。それがエミリーにバレてしまい、2人は破局する。

破局後、エミリーが原因不明の病にかかり昏睡状態になってしまう。エミリーを見舞うクメイルだが、2人の破局を知っているエミリーの両親からは邪険にされ・・・

 

パキスタンの文化を知る

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映画は、

  • クメイルとエミリーの両親の交流
  • クメイルと彼の両親との対峙
  • 昏睡状態のエミリーの状態

が交互に描かれる。クメイルとコメディアン仲間の物語もあるが、それは映画のスパイス的要素だ。

 

この映画で何より「へ〜」と思ったのがパキスタンの文化。もちろんパキスタンの人が全て同じような状況に置かれているとは思わないのだが・・・「同郷の嫁でなきゃNG」というネタ(あえてネタと呼ばせてもらう)はよく見る

私の大好きな『ビッグバン★セオリー』という海外ドラマでも、パキスタンではないがインド出身のラージが両親と電話するたび「こっち(インド)でお嫁を見つけなさい」と言われているシーンがある。そういう”文化”なんだろうな。

 

日本で生まれ、日本に育ち、かなり自由奔放に育てられた人間としては、この文化は新鮮だった

 

異文化同士の偏見を知る

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ただ前述したパキスタン文化のシーンで、「差別や偏見は、”違う”ってだけで生まれる相対的なものなんだな」と思い知らされる

 

クメイルがコメディを披露している最中「ISSへ帰れ!」となかなかシビアな野次を飛ばす男が登場する。当然周りはざわつく。立派な差別と偏見に思える。

一方で、クメイルの家族は、従兄弟で白人女性と結婚した人を勘当するし、クメイルが兄に「エミリーと付き合ってる」というと「白人女と?!」と返事をするのだ。

 

差別や偏見は、「相手のことを知らない・知ろうとしない・よくわからない」が原因だと思っている

差別や偏見は「誰々が悪い」という明確にできる問題じゃない。相対的なもので、知らないと、分からないと、伝えようとしないと、なくならないんじゃないか。

 

家族の物語だと知る

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この映画は「異文化同士の偏見がある」と、私たち観客が理解できたうえで、物語が進む。見事な構成力だ。そのうえで、この映画の最終到達地点は”家族”だ

 

細かな内容は伝えないものの、クメイルとエミリーの両親が打ち解けていくほど、クメイルと彼の両親との溝が深まっていくのが印象的だ。どちらも”家族”で大事な存在だ。起承転結の転の部分で、クメイルは激しく苦悩する。

 

家族は、どんなに関係を断とうとしても”家族”である。そこに血の繋がりの有無は関係ないと考えているが、”家族”という枠組みにいる以上は、切っても切れない関係であることに気づかされる。

映画を観終えた後、「それでも家族にげんなりする」のか「家族にたまには会いに行くか」と思えるのかは分からない。

 

ただ確実に、映画を観終えた後、”家族”の2文字は浮かぶはずだ。そのぐらい、この映画は家族の物語なのだ。

 

丁寧に描かれたヒューマンドラマ

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映画『ビッグ・シック』は、コメディとして楽しく鑑賞できる。ただその本質は、丁寧に描かれたヒューマンドラマですね。

 

ちなみに、この映画では国同士の”異文化”が描かれているが、文化って社内とか学校で広がっているものも指せるよね

もし社内とか学校に広がる文化に悩んでいるならば、映画で描かれている異文化をそれに置き換えてみると、解決の糸口が見つかるかもしれない・・・なんてことも思った。

では。

 

◆本日の一本◆

 家族映画なら絶対に外せない映画がこれ!

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