わたしの中で「KILL BILL vol.1」は、
な映画。
観れば観るほど観客そっちのけに感じてくるけど、だからと言って観客を突き放すほどクソな映画ではない。90年代に生まれたわたしにとって「元祖・映画オタクがつくった映画」はこれだ。
でね、そのラストシーンが異様に好きなのよ。
※ネタバレあり
ラストシーンを語りたい
出典元:[閲覧注意]ほとんどスプラッターな映画「キル・ビル」の壮絶な殺陣シーンの撮影舞台裏写真10枚 - DNA
この写真見れば勝負の決着が丸分かりなんだけど、わたしが好きなラストシーンはザ・ブライド(写真左)とオーレン・石井(写真右)の一騎打ち。
バイオレンス描写が好きなわたしにしては、あまり血生臭さのない決闘シーンなんだけど、なんだか心に沁み入るのよね・・・。
KILL BILL vol.1あらすじ
ひとりの女が長い昏睡状態から奇跡的に目覚める。女の名は“ザ・ブライド”。かつて、世界中を震撼させた暗殺集団の中にあって最強と謳われたエージェント。5年前、彼女は自分の結婚式の真っ只中に、かつてのボス“ビル”の襲撃に遭い、愛する夫とお腹の子どもを殺された上、自らも撃たれて死の淵をさまよった。いま、目覚めた彼女の頭の中はビルに対する激しい怒りに満たされていた。復讐の鬼と化したザ・ブライドは、自分の幸せを奪った者すべてを血祭りに上げるため、たったひとりで闘いの旅へと向かうのだった…。
公開が2003年。当時のわたしは12歳ぐらいだったはず。
英語を習って間もない頃の刺激的な英単語「KILL(殺す)」。この映画はR15指定だったにも関わらず、家電屋さんで「KILL BILL vol.1」のスプラッターシーンがガンガン流れていて「うわあ・・・」となっていたのが良い思い出である。
オーレン・イシイとザ・ブライドの対峙が良い
「KILL BILL vol.1」のスプラッター描写から、わたしのスプラッター描写好きはスタートしたのだが、それ以上にオーレン・イシイとザ・ブライドの対峙が好きだった。
正直、オーレン・イシイのやり口は汚いと思っている。
大量の手下にザ・ブライドを片付けさせようとし、最後の最後に一騎打ちになる。決して魅力ある一騎打ちではない。なんせザ・ブライドは、クレイジー88やゴーゴー夕張との死闘を終え、体力を消耗しているのだから。
それでも、ザ・ブライドは自身の目的である「復讐」を果たすべく、オーレン・イシイと対峙する。
決着がつきそうになるギリギリまで、オーレン・イシイはザ・ブライドをなめてかかっている。ザ・ブライドが最初に殺したヴァニータ・グリーンもそうだけど、決着がつくまでみんなザ・ブライドをなめている。そのうえ、まあまあ強い。それは事実。
でも、ザ・ブライドの強い信念には勝てない。
その結末を感じさせる、前半の余裕と後半の敬意。この対比がたまらなくいいのだ。この映画のラストシーンに関しては、どうしても早送りにできない。
オーレン・イシイの払う敬意が好き
ザ・ブライドの背中を斬り捨てるオーレン・イシイ。ザ・ブライドは雪の中に倒れこみ、しばらく痛みで動けない。倒れ込んだ相手にすぐトドメを刺さないあたりが、これまた渋い演出だなあ・・・と思う。
ザ・ブライドは立ち上がり、満身創痍の体で再び斬りかかる。真っ白な雪の上に鮮血が飛び、オーレン・イシイがびっこをひく。足を斬られたのだ。刀を構え直すオーレン・イシイ。ザ・ブライドの表情を見つめながら一言。
「・・・見くびって悪かったよ」
っっっカー!!!最高だよ、この台詞。さっきまで散々なめとった相手に斬られた後、相手の攻撃に対してこの姿勢だよ?!渋いよ、渋すぎるよ。自分が油断したことを認めるってかっこよくない??!!
ザ・ブライドの流す涙が好き
そしてここからは、ほぼほぼわたしの妄想の中で、映画で描かれなかった回想シーンが展開される伝説のシーン(?)なのだが、オーレン・イシイと後一振りで決着がつくって時に、ザ・ブライドは一筋の涙を流すのよね。
ザ・ブライド「・・・行くよ」
オーレン・イシイ「・・・来な」
このシーンでそれぞれの表情がアップで映し出されるんだけど、なんでか知らんがザ・ブライド泣いてるんよね。
わたしは毎回このシーンで「彼女たちの関係は『毒蛇暗殺団』の中でもまあまあ尊敬しあってた仲なのかな」なんて妄想する。
出生が似ているとか、暗殺の極意が似ているとか・・・どこかしら共通点をもつ人同士であり、ザ・ブライド襲撃事件さえなければ、まあまあ良い関係を保てていたのかしらん、なんて思ったりする。
なんつったって、ザ・ブライドが復讐相手にこんな感情を見せるのは、オーレン・イシイだけだからね!エル・ドライバーとの戦いはただのキャットファイトだし、ヴァニータ・グリーンは結構冷静に殺すよ!!!
オーレン・イシイの台詞が好き
んで最後に、冒頭で載っけた写真のようにオーレン・イシイはザ・ブライドの愛刀で頭をぶった切られて死亡するんだけど、
「本当に、服部半蔵の・・・刀だったんだ」
と言って事切れるの。
「”伝説”と言われる服部半蔵の刀なんて嘘だろ」とみくびりまくっていたオーレンが、頭ぶった切られて呟くこの台詞。服部半蔵の刀そのものにも、それを使ってオーレンを斬ったザ・ブライドにも敬意を感じられる。やだ、超・武士道(?)っぽい。
オーレン・イシイの台詞といえば、
「やっちまいなー!!!」
とか
「胸にイチモツおありのご様子」
ばっかりがフィーチャーされているように感じるけど、彼女の台詞の魅力は完全にラストシーンに詰まってんだぞ!!!って言いたい。
とにもかくにも、服部半蔵の刀を認める台詞を呟いた後、静かに事切れる背中も良い。勝負に勝ったものの、息も絶え絶えなザ・ブライドの背中より、説得力が半端ではない死に方だと感じている。
バイオレンス描写も良いけど、ラストシーンがたまらないのだ
まあ、もっと正直なことを話すと、こんな風にクソ真面目にラストシーンを語るほど「名作」ってわけではないと思う。
本気すぎるB級映画だと思うし、万人ウケはしない。絶対にしない。
それでもわたしは、オーレン・イシイとザ・ブライドの過去を自分で勝手に妄想しちゃうほどこのラストシーンが好きだし、「映画としては云々」と言いながら、観てない人みんなに共有したいと思っている。
誰にも話聞いてもらえないんで、ブログで書いたってこったね。
では。
◆本日のおすすめ◆
ちなみにvol.2はそんなに好きじゃない。