映画『スターシップ・トゥルーパーズ』。悪趣味極まりない映画なのに、何度も観てしまう魔力。

スターシップ・トゥルーパーズ (吹替版)

 一部ネタバレあり。

 今作をまだ観ていない人に向けて、「あ、やっぱ観てみようかな」と思えるようなレビューを目指しているが、鑑賞後感じた魅力を伝えるために一部ネタバレがある。

 「映画鑑賞前のネタバレ絶対NG」な人は、映画鑑賞後にぜひお越しを

 

 

スターシップ・トゥルーパーズ』感想

 2018年10月に公開された映画『ザ・プレデター』を観てからというもの、「SFホラー・パニックもので何か好きなもの、人に紹介したいものあったかな〜」と考え続けている。

 で、『スターシップ・トゥルーパーズ』である。

 思うに、ザ・プレデター』鑑賞時のテンションと『スターシップ・トゥルーパーズ』のテンションはとてもよく似ている。良い意味で(悪い意味でも)「映画に全く意味がない」ということも同じだし、色々内容がてんこ盛りすぎる感じも似ている。

 本記事では、わたしが『スターシップ・トゥルーパーズ』に抱いている感情を紹介していこうと思う。

 

 先に言っておくと、胸を張って「大好き!!!」というには少々勇気がいる映画だ。

 

あらすじ

時は未来。ハイスクールを卒業したジョニー・リコ(キャスパー・ヴァン・ディーン)は地球連邦軍へ志願、機動歩兵隊に配属される。折しも、巨大昆虫型エイリアン=バグスが地球に攻撃を仕掛けてきた。反撃すべく敵の母星に上陸した彼らを待ち受けていたのは、地平線を埋め尽くすバグ軍団だった!

引用元:Amazon.co.jp:スターシップ・トゥルーパーズ

 設定も独特。

 舞台は民主主義が崩壊した後の世界。人種や男女の差別はなくなったが、軍歴の有無で「市民権」を有するかどうかが決まる世界である。兵役を得れば「市民」として市民権を有し、兵役につかなかったものは「一般人」とされる。

 そんな新しい世界で、人類は銀河全体に殖民を開始しているのだが、先住していた昆虫型宇宙生物の領域を侵してしまったがために紛争が発生。

 虫VS人類の戦いである。

 虫の導入は異なれど、今作は悪趣味全開の『テラフォーマーズだと思っていただければ(双方に失礼)。

 

悪趣味極まりないのがたまらない

映画パンフレット 「スターシップ・トゥルーパーズ」 監督 ポール・バーホーベン 出演 キャスパー・ヴァン・ディーン/マイケル・アイアンサイド/ディナ・メイヤー/デニース・リチャーズ/ジェイク・ビジー/ニール・パトリック・ハリス

 今作の魅力はとにもかくにも「悪趣味」なところだ。

 悪趣味を喜ぶなんていかにも悪趣味だが、まあ一度観てほしい。満場一致で「悪ッ趣味だな〜!!!」と大喜びしてしまうこと間違いなしである。

 まず、苦手な人がいれば申し訳ないが、結構えげつないグロ描写がぽんぽん飛び出る。つったって、これ見よがしに血がブシャー、内臓ドロ〜系の映画ではない。が、確実に人体はポイポイ分解されていくね。

 

 でも、そのテンポの良さたるや!

 

 映画冒頭も虫VS人類が描かれるが、虫の強固さに押され気味の人類の姿が、ポイポイ分解されてしまう人体破壊描写で難なく伝わる。

 ちゃんと戦争映画である。

 良い絶望感。

 

 加えて、軍歴の有無で「市民権」が得られるかが決まるという設定にも、きな臭さを感じ、「まったくも〜・・・悪趣味だなあ」と思う。

 えげつない差別描写はないけれど、軍歴の有無を重要視するような描写は幾度となく登場する。劇中何度も挿入される地球連邦軍のCMは、思わず笑ってしまうくだらなさだが、終始「軍、最高!」みたいな空気が流れるのでやはり異様である。

 

エログロ造形がたまらない

 見逃せないのが、人類の敵となるバグズの造形だ

 戦闘を仕掛けてくるメインのバグズは、虫が大きくなったというか、そこまで「ウゲ〜」と思うほどの見た目ではないのだが、問題は親玉である。

 ネタバレしたくない半分、載せたらきっとGoogle先生に勘違いされて警告を受けてしまう・・・ってなぐらい、グロい。加えて、エロい。

 この虫の親玉こそ『スターシップ・トゥルーパーズ』の目玉であり、最大の「悪趣味」である

 「悪寒が走る造形や感触を全部詰め合わせてみました!」みたいな見た目だ。

 

 造形に驚かされるが、ラストシーンで虫が浮かべる悲しげな表情に、ちょっと同情してしまうことに腹が立つ(褒めてる)。

 主人公のひとりにカールという男がいる。ラストシーンでカールはこの悪趣味全開なバグズと意思疎通をはかる。

捕らえられたバグズ

バグズの額に手を添えるカール

カール「この虫は・・・怯えています!」

群衆 「わー!!!!(拍手喝采)」

 な、ん、じゃ、そ、りゃ!!!!!

 拍手喝采の群衆の前で、怯える虫の親玉は相変わらずグロいが、なんかしょんぼりしている。その姿を見ると「あれ・・・先住を侵した我々のほうが悪いんじゃね?」と思ってしまうほどの同情心が生まれる。

 が、今作はめちゃくちゃフィクションである。

 くっだらない映画に感情をかき乱されることで、この映画のよくわかんなさがどんどん魅力と化していく

 

 恐ろしい映画である。

 

許せないのは主人公の女だけ

 『スターシップ・トゥルーパーズ』をなんだかんだ言って何度も観てしまうわたしではあるが、観るたび毎回イラっとするキャラクターがいる

 それが主人公のひとり、カルメンという女だ

 容姿端麗で超優秀な女性なのだが、正直この映画を観た女性陣は全員この女を嫌いになるんじゃないだろうかってぐらい男を振り回す。一度距離を置いた仲良しグループに、悪びれた様子もなく再び入り込むラストには「まじか!」と言いたくなる。

 お・・・お前〜!!!

 その数分前に、お前の横にいた男が〇を〇〇されてんだぞ?!しかもそいつといい感じだったじゃんかよ〜!!!〇を〇〇された男にはもう興味ないんですか!!!

 

 ほんと、

 許せないのはカルメンだけ。

 

気軽に観れる映画だよ!

 「人体がポンポン分断される」とか「虫の親玉がエログロ」と書いたので、抵抗感が高まってしまった人もいるかもしれないね。

 でも、いわゆるスプラッター映画ではないし、ワーワーギャーギャー言いながら楽しめる映画なので、パーリーナイトを楽しむにはもってこいの映画だと思うよ!

 あと今作は「プロパガンダ映画(政治的宣伝を目的にした映画)のパロディーだよ!」って映画でもあるんだけど・・・

 小難しいこと考えずに「娯楽」として楽しんでほしいな。

 では。

 

◆本日のおすすめ◆

バグズの造形が良いんだよなあ・・・