『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』は不器用な家族の物語。映画好きな人に必ずおすすめする映画

ウェス・アンダーソン監督作品は、ハマる人はハマる。ダメな人はダメ。わたしはこの映画が好きで、「映画が好き」と話す人には1度は必ずおすすめする。

 

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ


ザ・ロイヤル・テネンバウムズ 予告編2種 (TheRoyalTenenbaums Trailers)

あらすじ

テネンバウム家の3人の子供たちは、長男はビジネスマンとして、長女は作家として、次男はテニス・プレイヤーとして10代のうちに成功し、天才児と呼ばれていた。しかしそれから20年後、彼等はそれぞれ問題を抱えていた。そんな時、死期が近いという父親の呼びかけで一緒に暮らすことになる。

出典元:ザ・ロイヤル・テネンバウムズ - Wikipedia

 

不器用すぎる家族映画の魅力

登場人物のキャラが濃すぎる 

「不器用な家族の物語」を描くのに必要不可欠な登場人物達。彼らのキャラクターが予想以上に濃いのが、この映画の面白さのひとつでもある。

登場する主要なキャラクターの数は多い。ロイヤルテネンバウムズ家だけでも、

  • お父さん
  • お母さん
  • 長男
  • 長女
  • 次男

と5人構成でまあまあ多いのに、そこから更に

  • お母さんの新しい恋人
  • 長女の夫
  • 長男の息子2人
  • 兄弟の幼馴染

と増える。が、この全員のキャラ立ちが濃いおかげで、話に置いてきぼりになる心配もないし、キャラクター全員に「感情移入できる隙間」が用意されていて、映画として観やすいのだ

キャラが濃すぎるのに、どこか親近感のあるキャラクターばかりで、彼らの不器用っぷりが愛おしくなってくるのだ。

 

マーゴ・テネンバウムズの存在

個人的におすすめのキャラクター、マーゴ・テネンバウムズ

テネンバウムズ家の養女であり、

  • 12歳で喫煙
  • 14歳で家出
  • 19歳で結婚

という破天荒なキャラクター。グウィネス・パルトロウ(「アイアンマン」の彼女・ポッツ役)が演じ、めちゃくちゃ美人なのに不機嫌顔&ボソボソ喋る根暗キャラクターがインパクト大である。

 

それぞれのキャラクターの思いが入り乱れる作品ではあるものの、マーゴを取り巻くストーリーが物語の要となっていることには間違いない。彼女の喫煙癖や異性との関係、次男との複雑な関係性が「不器用な家族」の現状を色濃く指し示す。

なお物語だけでなく、「憂いに満ちたグウィネス・パルトロウの喫煙シーン」を観るだけでもかなり価値がある、と伝えておく。

 

無神経な父親の愛がたまらない

主人公・ロイヤルの自由気まますぎる人生は、その妻や兄弟達を振り回し続けた。

その結果「死期が近い」という理由で家族を招集したにも関わらず、かなり無下に扱われる。が、映画を鑑賞している側は、振り回されてしまった兄弟達に同情しながらも、なぜだかロイヤルを否定できないのだ

 

彼がとことん不器用なのが伝わるから。

 

自由というか無神経な父親ではあるものの、その根元にはどこか「家族に喜んでほしい」という想いがあるように見える。「良かれと思って」やる行動がことごとく裏目に出るだけで、彼が家族を愛しているのは伝わってくる

それがなかなか伝わらないのがもどかしく、コメディとして面白いのだ。

 

ウェス・アンダーソン特有の演出が心に残る

最後に、監督特有の演出が印象に残る。

スローモーションやズームを活用する演出が、少し昔懐かしい映画を思い出させたりしてユニークである。

特に長回しのカットが美しく、映画終盤の「消防車が映し出されるシーン」は、まるで生の舞台を観ているかのような感動がある

 

使われている音楽の印象もかっこよく、音楽の効果的な使い方からウェス・アンダーソンが好きになる人もいるようだ。

 

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ハマる人にはハマる、優しい映画

ウェス・アンダーソン監督作品は、どれもゆるやかに物語が進む。そのゆるさにハマる人はハマるし、ダメな人はダメだ。

 

しかしわたしは今作を強くすすめたい。

いわゆる家族映画、「お涙頂戴の家族映画」では全くなく、むしろわたしは「家族再生の物語なら、ザ・ロイヤル・テネンバウムズは観なきゃダメだ!」と思うほど、これこそが真の家族映画だと思っている。

では。

 

◆本日のおすすめ◆

この映画を好きになってくれた人におすすめしている、もう1本のウェス・アンダーソン作品。

お題「何回も見た映画」