先日『スパイダーマン:スパイダーバース』を観てきた。映画そのものは面白かったのだが・・・ちょっと疲れた。
映画について語る
吹き替え版鑑賞について
わたしは普段、海外映画は字幕で観る。が、今回の鑑賞は日本語吹き替え版だった。自宅に一番近い映画館では本作が上映されていなかったこと、少し距離があり専用駐車場のない映画館でしか字幕版が見れなかったことから、日本語吹き替え版を選んだ。
が、それがあまりハマらなかった。
なお、声優さんに一切汚点はない。わたしの
- アニメ映画への苦手意識
- 吹き替え版の台詞への苦手意識
が想像以上に色濃かっただけだ。
「そんな言い回しする〜?」という台詞が耳に入った瞬間から違和感で映画に集中できなかった。言語ってさ、文法とか発音だけじゃなく文化的背景も関係するじゃない。だから翻訳したときの言い回しに違和感を感じてしまうのだ。
例えばiPhoneのCMで「そう、iPhoneならね」って有名な台詞があるじゃない。日本の文化圏で「そう、〇〇ならね」っていう言い回しが登場する場面って少ないじゃない。洋画ドラマを吹き替えすると特徴的になっちゃう感じ。あれです。
ただまあ、これについては、苦手意識が色濃いのに吹き替え版で観たのがいかんだけじゃ。ほんと、声優さんに罪はない。一切。
主人公が苦手と気づく
あと、わたしはどうやら主人公の成長物語が苦手らしい。スパイダーマンの主人公ピーター・パーカーや本作の主人公の「自分に自信がない描写」に苛立つのだ。同様の理由で碇シンジ君も苦手。『エヴァンゲリオン』の物語は好きだけど。
各々のスパイダーマンの描写そのものは大好きだったのだが、どうしても映画の都合上、主人公マイルス・モラレスの成長物語に焦点が絞られてしまう。
「わたしは主人公の成長物語じゃなくて、わたしはスパイダー・グウェンとかスパイダーマン・ノワールとかのバトル描写が観たいんじゃ〜!!!」となってしまい、彼の物語に感情移入できなかった。
アニメだからできる描写に感動と疲れ
ただ本作の映像美は圧巻だった。アニメだからこそできる複雑なパラレルワールド描写。さまざまな視点からスパイダーマンたちのバトルを鑑賞できるような演出にはものすごく興奮した。臨場感がすごい。
TOHOシネマズにあるIMAX 3Dなどで鑑賞したら、めちゃくちゃ没入感のある映像に感じられただろう。
それからコミックの世界そのままな演出も面白かった。映像作品でありながら、時々画の中に吹き出しが挿入されるのだ。漫画のコマ割りのような演出もあり、パラレルワールドが広がる展開に違和感を感じさせなかった。
・・・が、アニメにしかできないバトル描写にわたしは疲れてしまった。あまりにも激しい映像に、映像を追うわたしの目と脳みそが追いつけなくなってしまったのだ。これもきっと、わたしがアニメ慣れしていないことが原因な気もするけど。
TK from 凛として時雨について語る
と、日本語吹き替え版特有の台詞回しやらアニメ映画慣れしていないことが災いし、いまいち映画にハマることができなかったのだが、日本語吹き替え版を観にいけてよかったことが1つある。
日本版主題歌が聞けてよかった。
わたしは「凛として時雨」が好きなので、ファン目線から見たフィルターがかかっているのは否めない。
とはいえ、1つの世界に複数のスパイダーマンが現れてしまった混沌が感じられる楽曲がめちゃくちゃかっこよかったのだ。
TKの声はかなり高音なので苦手な人は苦手だろう。
だが彼のつくりだす音楽には、人の心をかき乱す魅力がある。「凛として時雨」はスリーピースバンドにも関わらず、音が重厚で力強い。「TK from 凛として時雨」は発狂しそうな爆音や切ない旋律の緩急が激しくて、気づくと中毒になっている。
そんな彼らは、「PSYCHO-PASS」や「東京喰種」といったアニメ作品の主題歌を担当していた。彼らのすごいところは、作品の世界観を活かしたまま、彼らの音で楽曲をつくりだすところだ。毎回圧倒される。
で今回は海外のアニメーション作品なわけだが、まあ、混沌。イントロのギターの入り方が物語の始まりを強く感じさせるんで驚く。映画館ではTKの歌声よりも複雑な音が際立って聞こえる仕様だったのだが、それがまあ良い。
パラレルワールドという本来開けちゃいけない扉を開けてしまった感じというか、重ならないはずだった世界が1箇所から溢れ出てしまっている興奮と恐怖がかきたてられるような音で圧巻。
これはぜひとも、映画とともに味わってほしい。
ちなみにわたしは、
- P.S. RED Iを聴く
- 本作を鑑賞
- EDでP.S. RED Iを聴く
で完全にやられた。で、YouTubeのコメント欄を見たら「歌詞を読むともっとやばい」的なことがたくさん書いてあった。彼の楽曲なら、何度でもやられることができるってわけだ。
主題歌まで含めて最高だ
わたしは『スパイダーマン:スパイダーバース』に関して、アニメ映画への苦手意識や吹き替え版に感じる違和感によって「面白かった、けど・・・」的な感想を書いた。
が、TK from 凛として時雨について語って気づいた。わたしの本作に関する真の感想は「面白かった、けど疲れた」ではなく「疲れた、けど面白かった」なのかもしれない。
本作は主題歌まで含めて、きちんと面白かったんだ。
もしあなたが「凛として時雨」「TK from 凛として時雨」がお嫌いでなければ、また「エンディングを観終えるまでが1本の映画だ!」という価値観の持ち主なのであれば、本作は面白いはず。
わたしが疲労したアニメ映画ならではの映像も、主題歌を含めて思い返すと心地よい疲労へと変化していった。本編での激しい映像と音楽、エンディングや主題歌でボッコボコにされたいなら、本作はハマる。
でも、まあ・・・
百聞は一件にしかずって言うじゃない。
気になる人はぜひ映画館で鑑賞を。
では。
◆本日のおすすめ◆
TK from 凛として時雨は凛として時雨とは違う世界観がかっこいい。
わたしが凛として時雨にハマったきっかけ。
凛として時雨レビューもぜひ。