『プロメア』松山ケンイチの声が素敵&超がつくほど劇団☆新感線だった

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出典元:映画『プロメア』大ヒット上映中! (@promare_movie) | Twitter

 

 夫に「観てみよ?」と勧められて観た『プロメア』。

 映画好きを自称している身でありながら大変お恥ずかしい話なのだが、わたしはアニメ映画に苦手意識がある。

 だが、ツイッターでフォローしている大好きな映画ライターさんたちが興奮した様子で『プロメア』について語るのを読んで興味は湧いていた(特にあらゆるライターさんが口にする「堺雅人が」という言葉が気になっていた)。

 鑑賞した率直な感想は「面白かった」

 松山ケンイチの声は素敵だし、ストーリー展開や演出がものすごく劇団☆新感線だったことに驚いた。大学時代、演劇に明け暮れていた身としては「アニメ映画を観に行ったはずなのに、劇団☆新感線の芝居が観れるとは・・・」ってなぐらい劇団☆新感線で驚いた。

 本来は(?)「キルラキル」や「リトルウィッチアカデミア」等を送り出したアニメーションスタジオ・TRIGGERの話から熱く語るべきなのかもしれないが、わたしはアニメの話題にとても疎い。そのため、声優陣と劇団☆新感線についてのみ語る。ご了承ください。

 

 

プロメア

promare-movie.com

 

あらすじ

全世界の半分が焼失したその未曽有の事態の引き金となったのは、
突然変異で誕生した炎を操る人種〈バーニッシュ〉の出現だった。
あれから30年――攻撃的な一部の面々が〈マッドバーニッシュ〉を名乗り、再び世界に襲いかかる。
対バーニッシュ用の高機動救命消防隊〈バーニングレスキュー〉の燃える火消し魂を持つ新人隊員・ガロと
〈マッドバーニッシュ〉のリーダー・リオ。

 

熱き魂がぶつかりあう、二人の戦いの結末は――。

引用元:ABOUT | 映画『プロメア』公式サイト 5/24(金)全国ロードショー

 

松山ケンイチィィってなる

 『プロメア』を観て「面白かった」となったのは、物語や演出ももちろんだが、声優陣がとてもよかった。

 特に松山ケンイチには驚かされた

 わたしは今作を、ほとんど事前情報なしで観た。監督も脚本も知らず、唯一知っていたのは「堺雅人が声優で参加する」ということだけだった。そのため鑑賞が終わり、エンドロールが流れるまで、誰がガロを演じていたのか知らなかった。

 が、鑑賞中、「誰がガロを演じていたのか」なんて野暮なことを考える暇もないくらい、『プロメア』の世界にハマってしまった

 アニメ映画を鑑賞するとき、時々、プロの声優だろうが、俳優が声を当てようが、アニメーションと声に違和感があって、映画に集中できないときが、ホントーに時々、ある。物語に集中できなくなり、違和感にばかり関心が向いてしまう。

 ところが、今作では松山ケンイチは「松山ケンイチ」という姿を一切感じさせない。それどころか彼は「ガロ」でしかなかった。「アニメだから」「映画だから」なんて野暮な感情は、映画鑑賞中一切現れなかった。

 そのおかげで、わたしはどっぷり『プロメア』の世界に入り込むことができた

 ガロが見栄を切ったり、大声で叫んだり、『プロメア』の世界を駆け回っているとき、わたしはそれに見入っていた。

 もちろん、後ほどでも語る内容だが、「堺雅人堺雅人すぎんか!」「めちゃくちゃ劇団☆新感線やんけ!」などの感想は鑑賞中頭を巡っていたけれど、とにかくガロの立ち位置がガロ。「これ、声当ててんだよな〜」とか「声優誰だ?」みたいな感想は0。

 「ガロ」が「ガロ」でしかない。

 これってなかなかすごいことだと思う。演劇をやっていたとき、一番憧れていた演技である。体現するってやつかな、もっと言うと「憑依」ってやつかな。松山ケンイチは「カメレオン俳優」と称されることが多いけど、声優でもそれが成立するってホントすごい。

 松山ケンイチファンになりましたね。

 

堺雅人すぎる!でも、いい!

 一方、堺雅人演じる司政官・クレイは、司政官・クレイではなく「堺雅人」そのものすぎて、それはそれで驚いたが、それがまたよくて、さらに驚く。なんだこの映画。すごすぎんか。

 ドラマ『リーガル・ハイ』や『半沢直樹』でみせた熱演・怪演をそのままクレイにもってきた感じなのに、浮かない。正直な話、違和感は少しあった。堺雅人すぎたから。でも物語の中で浮いちゃいない。それがすごい。

 それはまた、後述する、中島かずきの脚本による「劇団☆新感線」パワーによるものだと思うんだけど、クレイが本性を表して暴走するシーンなんかは「荒ぶる堺雅人」のおかげで、クレイの脅威がまじまじと伝わってくる。

 

中島かずきィィ(劇団☆新感線ンン)ってなる

 確か、オープニングの時点で「中島かずき」ってクレジットがあって、そこでわたしは「おお、中島かずき」ってなった。

 大学生のとき、演劇に明け暮れていたわたし(演劇漬けの人生のスタートは、明確には幼稚園からなんだけど)。部室にある「劇団☆新感線」のDVDや「劇団☆新感線」が好きな先輩のおかげで、その存在を知り、そのパワフルさを知っていた。だからこそ「おお、中島かずき」ってなったわけだ。

 多分、「天元突破グレンラガン」や「キルラキル」からきている人は「おお、今石洋之×中島かずき」ってなるんだろうな。

 でね、劇団☆新感線」知ってると、今作がものすごく「劇団☆新感線」に見えるんだよ。もうストーリ展開のテンポの良さ、見せ方、見栄を切るシーン、登場人物の心情、背景、全てが「劇団☆新感線」でよく描かれるストーリー。とてもわかりやすい

 でも、そのおかげで物語の中にものすごく入りやすいのね。

 むしろ、演劇の魅力が伝わったんじゃないかとも思っている。中島かずきの脚本である今作がスタートで、演劇沼に入る人がいたら嬉しいなと思っている、うん、勝手に。

 言わなくても、ファンは見逃さないんだろうけど、「劇団☆新感線」ファンは『プロメア』観てほしいな。めちゃくちゃ楽しめるから。

 

アニメだからできること

 「超・劇団☆新感線だった」んだけど、「アニメでしかできない」表現だったのがまたよかったな

 今作で炎は幾何学模様で描かれた。でも、その幾何学模様の炎だからこそできる表現がある。炎を操る人種〈バーニッシュ〉と対バーニッシュ用の高機動救命消防隊〈バーニングレスキュー〉の操るメカ、これはアニメでしか表現できない

 アニメじゃなきゃかっこよくない

 数多くの小説や漫画が実写化される世の中だけど、「アニメでしかできない」表現があることはものすごく感動だった。

 「アニメじゃなきゃ!」

 この興奮、『プロメア』だからこそ感じれた。

 

いいアニメ映画を観た

 多分わたしは相変わらず、アニメ映画には苦手意識を持ち続けると思う。もちろん、その理由をきちんと考察したいな〜と思ってるけど。映画好きを自称するなら「アニメ映画苦手」なんて言わないほうがかっこいいんだろうなって思ってるから。

 にしても『プロメア』はいい映画だった。

 わたしが好きなアニメ映画は「アニメでしかできない」「アニメじゃなきゃ!」っていう映画なんだな〜。

 とっても胸が熱くなる素敵な映画だった。

 では。

 

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