わたしがクラウドファンディングやpolcaをやるうえで、自分の中で決めたこと、「美学」について話す。
最後に、支援してくださった方にもう一度お礼を。
はじめに
クラウドファンディングやpolcaについて知っている人は、「はじめに」をかっ飛ばそう。
「クラウドファンディング」は、群衆(Crowd)と 資金調達(Funding)を組み合わせた造語であり、不特定多数の人に、インターネットを介して呼びかけ、共感してもらった人から資金を受け取る方法のこと。
有名クラウドファンディングサイトには「CAMPFIRE」がある。資金援助を受けるためには、その内容や資金提供者へのお礼(リターン)に対する「審査」がある。「困ってるからお金ちょ〜だい」だけでは、資金援助計画を始めることもできない。
そして「polca」は「CAMPFIRE」を運営している会社が始めた、より身近な友人や知人で簡単に資金援助ができるアプリであり、「審査」もなく資金援助額も300円と低額である(「CAMPFIRE」は最低支援額3000円〜)。
リターン内容も割と自由なものが多く、絶対に「プロダクト」でなければならないわけではないので、「熱いお礼をします!!!」「手紙を書きます!!!」系も多く見られる。
気軽に資金援助ができるので、やったことがない人は手を出しやすいかもしれない。
リターンについて思うこと
CAMPFIRE&polcaに挑戦した
わたしは2018年5月までの間に、「CAMPFIRE」によるクラウドファンディングを2回、「polca」を1回経験している。おかげさまで多大なご支援をいただき、ありがたさを感じると共に、画家活動に対して身が引き締まる思いである。
リターン設定が難しい
いずれの資金調達計画においても、難しさを感じるのはリターンの設定である。
わたしの信念として「自分がう〜ん・・・と思うものはやらない」がある。そして「CAMPFIRE」の最低支援金額は3,000円、「polca」は300円。その金額を考えると、リターンに
- ポストカードセット
※1枚100円→5枚セットなので500円 - 缶バッジのみ
※1つ100円
”だけ”を用意することはできない、「しちゃいけない」と思っている。
支援金額に見合うリターンを
そこでわたしは支援金額に見合うよう、原画を贈ることにしている。原画に価値を感じるのはわたしだけかもしれないが、定価と違う額でポストカード”だけ”や缶バッジ”だけ”を提供したくない。
そのため、ポストカード5枚セット(定価500円)が「最低支援額3000円」に見合う価値になるよう、2500円分の原画と同等の時間をかけて、リターン用の原画を描いている。
リターンは絶対に「プロダクト」を用意したい
ここから、わたしが自分で決めたこと、「美学」の話になるのだが、リターンは「プロダクト」と決めている。
とはいえ、支援者側になったときには、「面白そう」「応援したい」と思えば「プロダクト」なしのプロジェクトに支援することもある。
しかしわたしが支援を受ける際には「プロダクト」を用意したい。「作品」で資金を集めたい気持ちが強い。
※と言いつつ「プロダクト」以外のリターンにも挑戦した。7月の個展に向けたクラウドファンディングでは、「個展の一角を提供し、アーティストさんの展示スペースを用意する」というリターンを用意した。このリターンを選んでくれたアーティストさんのために、「スペシャルサンクスエリア」ができます。乞うご期待。
「支援額<リターンにかかる費用」な気持ちでお礼したい
そして、自己満足と言われてしまうかもしれないが、わたしは出来るだけ「支援額<リターンにかかる費用」なリターンを用意している。
デザフェスなどのイベントで購入してもらったときは、少々しつこいぐらいお礼を伝えることができるが、クラウドファンディングでは対面でしつこいお礼をすることができない。だからこそ、「ちょい赤字」ぐらいの気持ちでお礼がしたい。
今回polcaで、こんなお願いをした。
大きな絵を時間をかけて描くぞー【アクリル絵の具を買う資金を調達します】2018年の代表作を2019年のはじめに上野で展示するため、polca始めました。アクリル絵の具の鮮やかな色で、ポップ&ちょいグロな内臓アート描きます! #polca https://t.co/rHoRTcetwN
— Kaho Katayama (@Kho_TOKYO) 2018年4月13日
「最低支援額300円」で提示したリターンは
- 心臓人間ちゃん缶バッジ
- ありがとうメッセージカード
である。
缶バッジは定価100円。にも関わらず、支援額は300円スタートである。「メッセージカードにお礼を書くだけでは足りない」そう思って1枚1枚絵を描き、裏面にメッセージを書くことにした。
人数分描きあげ、1人1人にメッセージを書き、梱包し、2時間ぐらいの時間をかけて用意した。
思いと時間が比例するわけでもないし、時間をかけずにクオリティの高いものをつくれればもっと良いが、言いたいのはそこじゃない。
お礼の気持ちが伝わっているか分からなくても、妥協せず、満足してもらえるようなリターンを用意したいのだ。
もちろん、ご支援いただいた人が価値を決めるので、この考え方が「正しい」わけではない。
だけど、それでもわたしは「自分がう〜ん・・・と思うものはやらない」、やりたくない。
支援金を何に使うか明示したい
そして、わたしは「支援金を何に使うかを明示」することを意識している。クラウドファンディングでは
- 海外公募展用資金
→必要金額98,000円/支援額57,000円 - 7月個展用資金
→ギャラリーレンタル代43,200円/支援額17,500円
だった。公募展や個展の資金については、先に支払いを済ませたうえで始めた。自分の作品を出展代にあてるために、プロジェクトを始めたのだ。
一方「polca」で集まったお金は、聞こえが悪いが、まだ使い道が決まっていないとも言える。
今回、来年2月に展示する絵のために、たくさんのアクリル絵の具が必要になることから「polca」を始めた。おかげさまで、4,300円もの支援をいただくことができた。
使い道が決まっていないとも言えるからこそ、わたしはこのブログで、「4,300円を使ってアクリル絵の具を買う一部始終」をお送りしようと考えている。
なぜか。
資金援助後のお金の動きの不透明さにモヤついたからである。
時々、人のリターンに思うこと
わたしが支援側にまわる時には、その人について「面白いな〜」とか「応援したいな〜」という気持ちで支援したわけだから、「プロダクト」がなくても構わないっちゃ構わないし、使い道に文句を言う筋合いはない。
それでも時々、本当に「そのために」資金が使われているのかと不安になってしまうことがある。
わかっている。支援した後のお金は相手のものになるし、自分が「こう使え」と命じるためのものでもない。
でも「〇〇のために、って集められたお金が本当に〇〇のために使われてるのかなあ・・・」という要らんことを思ったりする。
しつこいようだが、だからこそわたしは、支援していただいた額の使い道を明記する。
リターンに思うことあれど
クラウドファンディングに挑戦している最中に、ブロガー界隈で「クラウドファンディング」や「polca」に関する言及記事がたくさん目に入った。
「やったことないから、やってみる、ってのは大事だけど、人からお金を集める時にはやっぱり説得力のある内容がいいな・・・」がたくさんの記事を見て思ったわたしの感想である。
だからこそ「自分の用意したリターンが支援してくれた人に満足いただけているだろうか・・・」という不安が常にある。でもこの不安は、もし今後も資金調達をするのであれば常に持ち続けなければならない不安だとも思う。
驕るな、謙虚であれ。
最後に。
リターンに思うことあれど、クラウドファンディングを計3回も経験できたのは楽しかったし、さまざまな人からの温かいご支援をいただけたのは、本当に感謝してもしきれない。
ご支援いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
では。
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