こんにちは、齋藤吐夢です。
以前、こんな記事を書きました。
※『おっぱいがあってよかったことなんてない。』というタイトルのブログも1年前に書いてます。
この2本の記事で、
- 男の体になりたい
- 男性器が欲しいわけではない
- 男の人が好き
という現状を把握。
「この現状を人に説明する時、どう説明すべきか」「私に居場所はあるのか?」と思っていた矢先、この本に出会いました。
『The ABC's of LGBT+』
この動画(↑)は、この本の著者・Asley Mardell のYouTubeチャンネルです。『The ABC's of LGBT+(13歳から知っておきたいLGBT+)』は、YouTubeでLGBT+について発信し続ける彼女が書いた本。
彼女自身も「白黒はっきり割り切れない」指標、ジェンダー、アイデンティティの持ち主。この本を読めば納得なのですが、彼女がどのような人物なのかラベルを用意するのに1行では足りません(彼女は自分の説明に8行も要しています)。
そう、それだけ性とジェンダーは、複雑で、繊細で、多様なものなのよね。
居場所を探す、つくりたい人へ
この本が素敵だな、と思うのは、性・ジェンダーへの寄り添い方が丁寧なところ。
本書の使命はシンプルです−
LGBTQIA+の多くのアイデンティティと用語について、誤解されやすく、触れられることの少ないものにとくに注意を払いながら、詳しく解説すること。
そのうえ、この本は性とジェンダーの多様性について学ぶことに関心のある、全ての人へ向けた本なので、
- 自分の居場所を探す人
- 他人の居場所をつくりたい人
- 知らないから知りたい人
などに寄り添ってくれる本なのです。
この本には、様々なラベル(アイデンティティを表す用語)が登場します。
Ashleyは「他人に一方的にラベルを貼るのはNG」と書いています。ラベルはわかりやすく解説するのに便利ですが、「ラベルを貼られることで傷つく人もいる」と彼女は話します。
そう、名称を使うか否かは、個人の自由!
第1章:スペクトラムについて
「性とジェンダーは、白黒はっきりつけられない複雑で繊細なもの」ということを前提にするため、第1章では、スペクトラム(アイデンティティを分かりやすく説明するための図式)が紹介されています。
自分を説明するのに便利な図式で、様々な形(双方向矢印・円形・ジェンダーユニコーンなど)がありますが、表現しやすいものであれば、形に決まりはないです。
後述しますが、私もスペクトラムを作成してみました。相手に性とジェンダーについて話をする時、便利なアイテムだと考えます。
第2章:ジェンダーについて
第2章で描かれるのはジェンダー。
ジェンダーは文脈や特性によって定義が変わるので、「これだ!」という定義づけは難しいです。
ただ、この章の序盤「生物学的特性ですら、ヒトがつくりあげた分類方法でしかない」と書かれていて、心が軽くなります。
この章は長く、
- ジェンダーを表現するラベルについて
- 相手を呼ぶ時の代名詞について
- 表現される用語の解説
がみっちりと書かれています。
この本を読んで、どっと疲れるとしたらこの章かな笑。
ただそれだけジェンダー表現が複雑で繊細で、「たかが個性、されど個性なだけなんだ」と気づければ、まずはOKだと思ってます。
第3章:性的・恋愛アイデンティティ
あと、この章は「確かに!」と思わされることが多々あった。
- 性的魅力を感じる
- 恋愛感情を抱く
が別の人もそりゃあいるよなあ!って。
どのように人に魅力を感じるかが書かれていて、アセクシュアル(性的魅力を感じない人)についても執筆されています。相手が男か女かではなく、「男性や男性らしさに魅力を惹かれる人」「女性や女性らしさに魅力を惹かれる人」もいるわけで。
簡単に分けられる話じゃない、人間だもの!ってなる。
ワークショップ形式でやってみた
自分の居場所を探すのに、この本は非常に役立ちます。章末には、その章ごとの内容を自分に置き換えて考えることのできるワークショップ形式の質問が用意されています。
実際に私も、その質問に答えてみました!
私のスペクトラム
まず自分のアイデンティティを表現するのに便利な図式、スペクトラムから。本には著者であるAshleyが21歳の時のスペクトラムが例として挙げられているので、それを参考に書きました。
一番上の段、エースとゼッドについて。
- エース:他人に対して性的魅力をあまり感じない人(アセクシュアル)
- ゼッド:性的魅力・恋愛的魅力を感じる人
を意味します。
自分を客観視してみた時、私のセクシュアリティはものすごく人による笑。ただ両極端には全く位置しないので、ど真ん中を行ったり来たり。
性的・恋愛対象は完全に男性ですね。ただどちらの性別かわからない人にも惹かれるので、「どちらかと言えば男性より」って感じ。
一番ず〜っとモヤモヤしてるのはジェンダー。
自分のジェンダーはどちらかと言えば「男性より」のつもり。ただ本を読んで「男性になりたい」ではなく「性やジェンダーから解放されたいだけかも・・・」と思い始めてきました。
私のジェンダー
Q:あなたはどんなジェンダーを感じていますか(もし感じているとすれば?)
- ジェンダー違和(出生時の性別・ジェンダーと自認が一致しないことで生じる苦痛や不快感)を感じている。
- デミ〜(1つまたはそれ以上のジェンダーに対して部分的につながりを感じる)でありノンバイナリー(男性でも女性でもない状態、それらがまざりあっている状態など)
- ジェンダー・ノンコンフォーミング(男女二元論とは違う形で自己表現する)でジェンダー・コンフュージョン(自分のジェンダー表現で相手を混乱させる、またそうした時に喜びを感じる)
羅列しすぎて訳が分からなくなりましたね笑。
私、ず〜っとブログに書いてますが、自分のおっぱいと体の丸みがとことん嫌いなんです。でも昔は、今でこそ納得している男性的ないかり肩やたくましい骨格も嫌いでした。混ざってるの。
Q:あなたは自分のジェンダーをどれくらい強く感じますか?また、複数のジェンダーを持っているとしたら、どれも同じ程度に感じますか?それとも、とくに強く感じるものがありますか?
- あまり強く感じられない(ずっと宙ぶらりんな感じ)
- ノンバイナリーやジェンダーレスでありたいって気持ちは強い
- デミガール(女性であることに部分的につながりを感じる)な部分は時々
Q:あなたのジェンダーはどれくらいよく変化しますか?または、どれくらいの強さで変化しますか?
- 変化はするけど、どんなタイミングでそれが生じるかは観察できていない
- タンクトップに半ズボンには惹かれないし、ピンクと白のフリフリ姿にも惹かれない。ノンバイナリーが基盤で、男女を行ったり来たり
Q:あなたは今、自分のジェンダーについて何か疑問を抱いていますか?
- ジェンダー違和が取り除けないのが何故か考え中
Q:本書で取りあげた言葉のなかに、自分のジェンダーに一致するか、自分のジェンダーを説明していると思うものはありますか?
- ノンバイナリーやジェンダー・ノンコンフォーミングの章で「これだ!」ってものがあった(↓)。
胸のふくらみを目立たなくして、色とりどりのマニキュアを塗り、素敵な柄の靴下を履いて、自分に似合う装いをすることができるんです。
私の性的・恋愛アイデンティティ
Q:あなたの性的魅力と恋愛的魅力は完全に一致していますか?
- 大体の部分で一致している
- 男性、デミガイ、に惹かれる
- 男性的な女性と恋に落ちたことはない
- ノンバイナリーな男性には惹かれる
ラベルを貼るとしたら、私はノウマセクシュアル(女性以外のあらゆるジェンダーに性的魅力・恋愛的魅力を感じる人)なのかも。
Q:どんなジェンダーに魅力を感じますか(もし感じるならば)?
Q:どのくらいの強さで魅力を感じますか
- 恋愛的魅力はかなりの頻度で感じる笑
- ただ性的魅力は、私の中でハマらない限り、「その人に触れたい」とは思わない
- 「触れたい」と思った時は、ひどい笑
私の夫についてですが、この本を読んで考えた結果、今まで出会った男性の中で、ダントツに恋愛的魅力が強い人かも。「一緒に過ごしたい」気持ちが強いです。
Q:あなたが感じる魅力はどのくらいの頻度で、またはどのくらいの度合いで変わりますか?
- これがもう・・・人によりけり
- 強く感じる要因がいまだによく分からない
Q:現在、自分のアイデンティティについて疑問を感じていることはありますか?
- 「トランスフェミニンが好き」という気持ちが、トランスフェミニンの人を傷つけてしまう気がする・・・という不安。
Q:これまで見てきた言葉のなかに、自分の指向と一致しているかもしれないと思うものはありましたか?
- たくさん!居場所は見つかりそう。ただ私の指向が理解してもらえるかどうかは別として。でもいいや。お気に入りのラベルはありましたが、どんなラベリングをしても、「私は私」に代わりはないので!
自分もしくは他人の居場所のために
この本は、
- 自分の居場所がない・・・と探している人
- 他人の居場所をつくろうとしている人
- 知らないを知ろうとしている人
その他、すべての人に読んでほしい1冊です。
様々な用語が飛び交い、それがほぼすべて横文字なので、読みにくいと思う人がいるのも重々承知。だけど一番後ろには用語の索引もあるし、”用語”や”意味”を完全に理解する必要はない。
どちらかと言えば、性やジェンダーに理解ができることが重要で。
この話題がいつか当たり前のものになって、「そんなん関係ないのにねー」と笑い合える日が来るといいな。
では。
◆本日の一冊◆