先に言っておく。
どうか、どうか『アベンジャーズ/エンドゲーム』をまだ観ていない人は読まないで。語るのにネタバレ不可避なの。でも、ネタバレした状態で観て欲しくない。
もしレビューを読んでくださるのであれば、鑑賞後に当ブログに遊びに来てほしい。
そしてぜひ一緒に語らいましょう。
読んでくださる人へ。
ネタバレしないよう、見出しを用意しなかった。やや長文だがお付き合いいただけると嬉しい。
※DCコミックスの映画『ジャスティス・リーグ』のネタバレもあるので要注意。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』
『アベンジャーズ』シリーズが苦手だった。
「ヒーローがてんこ盛り過ぎて、観ていて疲れる」というのが理由だ。
が、前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の悪役・サノスの圧倒的な強さ、指パッチンで全ての生命の半分が消滅という凄まじい絶望に、心をドギャンとやられてしまった。わたしは今、とんでもないスケールのエンタメ映画を観とる・・・と。
※『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で味わった絶望がすごすぎて、記事を2本も書いてしまった。
だからわたしは『アベンジャーズ/エンドゲーム』の公開初日が楽しみすぎて仕方なかった。
結論から言おう。
泣いた。
もう、めっちゃくちゃ泣いた。ポロポロポロポロ涙が出てきて、自分でも驚いた。
ここからは名シーンをかいつまんで語らせていただく。
<オープニング>
牧歌的なシーンから物語が始まる。アベンジャーズの一員・ホークアイとその家族が楽しそうに過ごしている。ホークアイの妻と息子たちは食事の準備をしていて、ホークアイは娘に射手としての手ほどきをしている。みんな、笑顔だ。
だが、ホークアイがふと目を離すと、娘、そして妻と息子たちが消え去っている。
ホークアイには特殊能力がない。だが、優秀な射手として活動してきた。ホークアイには大切な自分の家族がいて、そんな彼のパパとしての顔をアベンジャーズメンバーは知っている。そんな彼の日常が壊される。
言い方が悪いが、ホークアイはアベンジャーズメンバーの中で一番「普通」の人に見える。ユーモアたっぷりで、素顔はパパさんな彼。そんな彼の大切なものが、なんの予告もなしに消える。
それだけで、サノスの指パッチンの脅威が伝わる。
「普通」に暮らしていただけなのに、半分が消されるのだから。
<キャプテン・マーべルが無双しないのがいい>
『アベンジャーズ/エンドゲーム』の前に公開された『キャプテン・マーべル』。このキャラクターは超人になった「人間」だ。確かに人間なのだが、凄まじく強い。
なので、今作で登場したとき少し不安を感じた。
引合いに出して申し訳ないのだが、わたしは『ジャスティス・リーグ』が苦手だ。『ジャスティス・リーグ』のレビューでも書いたのだが、スーパーマンがいかんせん強すぎる。
他のジャスティス・リーグメンバーが手こずる敵を軽くあしらうほどの強さをもつスーパーマン。でも、あまりに強すぎると映画として面白くない。だって「めっちゃ強い人を1人用意すれば、世界が救える」なんて面白くないでしょ?!
だから「キャプテン・マーベル無双になるんじゃないか」と不安に思ったのだ。
しかし彼女は言った。「わたしが救わなくちゃいけないのは地球だけじゃない」と。
彼女は確かに凄まじく強い。実際、あのサノスにまあまあ対抗できる。しかし地球以外の世界も守るのが彼女の使命だ。ずっと地球にいるわけにはいかない。その設定が『ジャスティス・リーグ』で感じた「最強」のキャラクターへの不安を拭ってくれた。
今作を魅力的にするのは「最強の1人」ではなく、「最強のチーム」なのだ。
※もちろんキャプテン・マーベルは、映画終盤にその強さを存分に発揮してくれるのでご安心を。お時間あれば、『キャプテン・マーベル』のレビューもぜひ読んでね!
<ネビュラがいるから物語が面白くなる>
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で登場したネビュラ。
サノスに育てられた娘の1人で、ガモーラの妹。彼女の身体はめちゃくちゃ改造されている。サノスはソウルストーンを手にするためにガモーラを殺す。姉が殺されたことを知ったネビュラはアベンジャーズ側につくのだが問題が発生する。
アベンジャーズはサノスの指パッチンで失われた人々を取り戻すため、タイムトラベルを行い、先に6つの石を奪う作戦に出る。
が、改造されまくりのネビュラの身体(未来)とネビュラの身体(過去)が連動してしまい、指パッチン前のサノスに情報が漏れるのだ!
この設定が物語をややこしくする。
でも、それが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の面白さだ。一筋縄ではいかない物語が、次から次へとハラハラをもたらしてくれた。
<ソウルストーンの残酷さ>
ネタバレを前置きしてあるので言う。
ナターシャ/ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)が死ぬ。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、指パッチンで消えた人々を取り戻す旅が描かれるが、「何かを犠牲にしてでも救う」という姿勢が徹底されている。
サノスはソウルストーンを手にするために、愛する娘・ガモーラを殺した。ソウルストーンは魂を司る石だ。「魂」を得るためには「魂」が必要。そのルールに例外はない。ソウルストーンを得るためにやってきたホークアイ、ブラック・ウィドウの前にも同じ。
「ソウルストーンを得るための手段が絶対に揺らがない」というのが絶望的すぎてとてもキツかった。
S.H.I.E.L.D.で同僚として働いていた2人は、互いに「世界を救うためなら命を捨てても構わない」という姿勢で臨む。が、同時に「互いを生かしたい」という思いも強い。
2人が互いの命を守るために攻撃し合うシーンは少しコミカルだった。だが、互いの命を守るために大真面目に戦う2人を見ていると感極まる。
ホークアイが崖を飛び降りようとしたのをナターシャは無理やり止め、自分が落ちようとする。ホークアイは当然ナターシャの手を掴み、落とさまいとするがギリギリの状態だ。そんなとき、彼女が言う「行かせて」の一言が重い。
ホークアイには家族がいる。ナターシャには「アベンジャーズ」という家族がいる。暗殺者として鍛え上げられ過去のないナターシャにとって、「アベンジャーズ」という家族を守るためなら何でもできる覚悟だったのだろう。
その後、ホークアイの手にソウルストーンが握られているのがキツい。地面に叩きつけられ絶命したナターシャの姿は、本当にキツい。
<エンシェント・ワンの判断がいい>
出典元:エンシェント・ワン、『ドクター・ストレンジ』の魔術の師の謎を紐解く! | ciatr[シアター]
『ドクター・ストレンジ』に登場する、師・エンシェント・ワン。偉大な魔術師で、時間を司る石・タイムストーンを守っている。
タイムトラベルしたブルース・バナー/ハルクがエンシェント・ワンのもとへ行き「未来を救うために石を渡してくれ」と説得を試みるがうまくいかない(挙句、力づくで奪い取ろうとしたら魂を抜かれる始末である)。
説得に一切応じないエンシェント・ワンに困り果てるバナーだが「ドクター・ストレンジがサノスに石を渡したんだぞ!」と言うと、彼女の顔色が変わる。
彼女は未来も見えているので、ドクター・ストレンジが石の保護者であることを知っている。「死んでも守れ」と伝えたはずの石を渡したストレンジ。だが彼女はそれを恥じたり、怒ったりすることはない。静かにその事実を受け止めると、バナーに石を渡す。
このシーンがものすごくよかった。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の絶望シーンについて語ったときも書いたが、ドクター・ストレンジは「勝算がある」と考えたからこそ、石を渡して、指パッチンで消滅したはずだ。それが確信に変わるシーンだった。
しかも、だ。
映画全体から見ればエンシェント・ワンの登場シーンはほんのわずかなのだが、「ドクター・ストレンジが石を渡した」と聞いてから石を渡すまでの流れで、彼女がどれだけ彼を信頼していたのかが伝わる。
魔術師としての彼の素質を、ものすごく信頼していたのだ。
もう、この師弟愛、泣ける。
※お時間あれば、『ドクター・ストレンジ』の記事もぜひ読んでね!
<アベンジャーズ集結で泣き死ぬ>
なんとか石を集め終わった彼らは、指パッチンができるグローブを作り出す。指パッチンすれば、消滅した人々を取り戻すことができるのだ。
指パッチンには代償がある。石が凄まじい力を発揮するので、そのエネルギーに耐えなければならない。「耐えられるはずだ」と名乗りをあげたバナーが、体をボロボロにしながらもなんとか指パッチンし、束の間の平穏が訪れる。
でもほんと束の間。
次の瞬間、サノス率いるタイタン星人の軍がアベンジャーズを攻撃。ネビュラの情報を通じて未来を知った「石を集める前の」サノスが、石が揃っている未来のアベンジャーズのもとへやってくる。また指パッチンする気である。
過去のネビュラが執拗に石を狙ってくる。ネビュラが石を持ち帰るのを待つサノスの前に、ソー、アイアンマン、キャプテン・アメリカが立ちはだかり、彼を制止しようとするが、やっぱりサノス強い。めちゃくちゃ強い。
ボッコボコにされるアベンジャーズ。「人間」でありながらサノスが驚くほどの力を発揮したキャプテン・アメリカも、さすがにボッコボコにされすぎてなかなか立ち上がれない。絶望的状況。
すると、その空間にオレンジ色の光を放ちながら円が現れる。
中から出てきたのは前作で消滅したはずのブラックパンサーだ。次から次へと生じるオレンジ色の円。サノス襲来前の指パッチンは成功していたのだ。消滅したアベンジャーズが次々に現れる。・・・だめだー書くだけで泣けてくる。
アベンジャーズ集結。
「ヒーローてんこ盛り映画すぎて疲れる」なんて言った自分を恥じた。消えたはずのヒーローが全員戻ってくる、これだけでもうボロ泣きである。
ほんと・・・このシーンに関してはうまく言語化できない。こう、ね、胸にグワッとくる感じ。分かる?!
もうねえ、全員が「サノスを迎え撃つ」っちゅー姿勢で円から登場するの。ものすごい数の人々が迎え撃つんだけど、誰一人意志がブレていないあの感じは胸が熱くなる。
<ワンダの戦闘シーンが切ない>
出典元:スカーレット・ウィッチ/ワンダ・マキシモフ(アース199999) | マーベル・データベース wiki | FANDOM powered by Wikia
ワンダ/スカーレット・ウィッチが良い戦いをする。ワンダのパワーが凄まじいことを思い出した。前作でヴィジョンの額にあるマインドストーンをしっかり破壊して見せたワンダ。
しかしサノスはタイムストーンの力でヴィジョンを元に戻し、マインドストーンを奪い取ってヴィジョンを殺した。目の前で二度も愛する人が死ぬのを見たワンダの怒りは凄まじい。
ワンダはサノスと1対1の勝負に挑み、サノスをまあまあボコボコにする。さまざまなものを操れるパワーでサノスをタコ殴りにするシーンはかっこよかった。
でも、彼女の表情を見ていると切なくなる。今作でワンダはまったく笑わない。
彼女の愛する人はもう戻ってこないから。
<アベンジャーズ女性軍団に胸アツ>
(↑)大好きオコエ。
サノスとの戦いの最中、アベンジャーズの女性陣が集結する1シーンがある。
あんなに凛々しくて、かっこよくて、敵に回したら絶対にヤバい感のある女性陣ははじめて観た。もう、めっちゃくちゃかっこよかった。あの集結シーンがGIF画像かなんかに加工されたら永久保存する。めっちゃ痺れる。これはねえ、もう観て笑!!!
<勝利の代償がキツい>
「勝算がある」とふんだドクター・ストレンジの予測通りの未来が待っている。サノスに指パッチンされる寸前に指パッチングローブを奪うアイアンマン。彼が代わりに指パッチンを行い、サノス含むタイタン人の軍勢が消滅することになる。
が、勝利の代償がキツい。
6つの石のエネルギーは凄まじい。石によって力を得ることもできるが、石によって自らが破壊されることもある。サノス消滅後、画面に映し出されるのは息も絶え絶えのアイアンマンの姿だ。
勝利の代償は、アイアンマンの死。
戦いの場にはアイアンマンことトニー・スタークの妻、ペッパー・ポッツもかけつけていた。彼のキャラクターをよく知っているから、満面の笑顔で「終わったから、ゆっくり眠って」と声をかける彼女。彼女の手を握りながら静かに息を引き取るスターク。
スタークに笑顔を見せていたペッパーの顔が悲しみに覆われた瞬間、スタークが本当に死んだのだと分かった。最後まで気丈に振る舞いスタークを安心させた彼女の優しさがキツかった。
<キャプテン・アメリカの選択にぼろ泣き>
ちょっと失礼・・・
レビューを書いていると涙が込み上げてくる。『アベンジャーズ/エンドゲーム』本当にキツい。良い終わり方なんだけど、そのせいでめっちゃ、ずっと、泣ける。なんだこれ。
話を戻そう。
世界に平穏が戻った。トニー・スタークの葬儀にはアベンジャーズが参列した。しかし彼らの仕事はまだ終わりではない。6つの石を、元あった時空に戻し、パラレルワールドが生じないようにしなければならない。
その仕事をキャプテン・アメリカが引き受ける。
キャプテン・アメリカは石を持ってタイムトラベルを行い、石を置いて戻ってくるはずだった。が、タイムトラベル後、彼は戻ってこなかった。タイムトラベルの様子を見守っていた彼の親友・バッキー、ファルコン、バナーは焦るが、ある男の背中を見つける。
バッキーに背中を押され、ファルコンが男に近づくと、そこにいたのは年を重ねたキャプテン・アメリカの姿だった。
彼は「自分の人生」を歩んで、ここに帰ってきたのだ。
キャプテン・アメリカではなく、スティーブ・ロジャーズとしての人生を生きて、アベンジャーズの元へと帰ってきたのだ。老いた彼の表情の穏やかさが、彼の人生を物語る。彼はキャプテン・アメリカの盾をファルコンに託す。物語は受け継がれる。
「ペギーとはどうなったんだ」と問われると、キャプテン・アメリカははぐらかす。彼が愛していた女性だ。2人の関係は、ラストシーンで明かされる。
ある家にカメラが近づく。そこにはペギーとともにダンスを踊るスティーブの姿がある。ペギーに想いを伝える前に氷漬けになり、70年もの間眠り続けていたスティーブ。
「彼女をダンスに誘う」という夢がようやく叶ったのだと思うと、涙が止まらない。
アベンジャーズが、終わった
『アベンジャーズ』シリーズが、見事に終わった。こんなに泣くとは思ってなかった。こんなに涙が出っ放しのフィナーレだなんて聞いてないよ!!!
特に今作が素晴らしかったのは「戻らない命もある」という点だ。
前作でマインドストーンを破壊されたヴィジョンは戻ってこない。ソウルストーンを得るために命を落としたナターシャ/スカーレット・ヨハンソンは戻ってこない。世界を救った代償として、命を失ったトニー・スターク/アイアンマンは戻ってこない。
世界を救うために戦い、死んでいった命もたくさんある。
命を落としてはいないものの、キャプテン・アメリカも自分の人生を生き、老いて死んでいくだろう。
命を懸けて戦ってきたアベンジャーズの終わりを、「死」の存在をしっかり知らしめながら描いている。
本当に終わったのだ。
マーベルコミックスの映画は今後も続いていく。でも、「アベンジャーズ」の終わりがひしひしと感じられる良作だった。
もう3回、いや、5回観よう。
で、めっちゃ泣こう。
彼らの終わりを噛みしめたい。
では。
・・・書きながら泣くわ、こんなん!うわーん、ツラいー!終わり方が壮絶すぎてツラいよ、わーん!!!
◆本日のおすすめ◆
もう1回観よ。