『シャザム!』DCコミックス映画のふんばりと、詰めの甘さを感じる映画だった。

映画ポスター シャザム Shazam DC US版 hi2 [並行輸入品]

 DCコミックス映画の中では一番好きな映画だけど、やっぱりマーベルコミックスのほうが観ていて面白いよな〜と思ってしまう。

 

※若干ストーリー展開に関するネタバレあり。ネタバレ完全NGな方は、鑑賞後に読んでいただけると幸い。また唐突に『ジャスティス・リーグ』のネタバレもぶちこみますので要注意。

 

 

シャザム!

ポスター/スチール写真 アクリルフォトスタンド入り A4 パターン5 シャザム!(原題) 光沢プリント

あらすじ

 主人公ビリーは幼い頃に母親とはぐれたことで身寄りがなくなった少年。里親に引き取られては逃げ出すを繰り返す問題児だった。そんなある日、とある里親に引き取られたビリーはヒーローオタクのフレディと出会う。

 ある日突然、魔術師からスーパーパワーを引き継がれるビリー。「シャザム!」と唱えると筋肉バッキバキ(ただし顔はおっさん)のスーパーヒーローに変身出来るようになる。

 はじめは困惑していたビリーも、ヒーローオタクのフレディとともに「シャザム」の力を使ってスーパーパワーをムダづかい。悪ノリ全開に。

 ところがそんなビリーの前に、見るからに悪役っぽいDr.シヴァナが現れる。

 

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テンポのいい映画!

 正直な話、DCコミックス映画はあまり好きではない。過去にいくつかの作品を観ているが、観に行くたび「なんか・・・違うんだよな」「テンポ悪いよな」「キャラ立ちしないよな」とネガティブな感想を抱くことが多かった。

 

www.tomutomu-corp.com

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 が、『シャザム!』はそんなDCコミックス映画の中でも、だいぶテンポが良い。比較的ポンポンポーンと物語が進むので見やすい。キャラクターの葛藤が長すぎないのが良い。

 アメコミ映画は世界観やキャラクターを説明するのが難しいのだと思う。はしょりすぎると初見のお客さんを置いてけぼりにしてしまうし、説明しすぎるとくどくなる。

 『シャザム!』は説明が絶妙だ。

 冒頭、今作の悪役となるDr.シヴァナの幼少期が描かれる。このシーンでは、どのような人物が「シャザム」の力を得ることができるのか説明される。ビリーが力を授けられるシーンでは、魔術師の過去が明かされ、スーパーパワーVS悪の構図がすんなりと理解できる。

 説明台詞になりすぎず、かといってはしょりすぎない。絶妙なバランスで物語が進んでいくので、とても見やすい。

 しかも、みんなが見たいのはスーパーパワーが「ムダづかい」される瞬間だ。そのシーンのテンポがとても大事に描かれているため、今作はかっこいいヒーロー映画でありながら、コメディ映画としても成り立っている

 

シャザム/ビリーがいい

 特にシャザムを演じるザッカリー・リーヴァイと変身前、つまりビリーを演じるアッシャー・エンジェルの演技がいい。

 『シャザム!』はその設定上、全く別の見た目になるのだが、心はビリーのままである。なのでこの2人は「2人1役」を演じているのだが、ザッカリーの言動がアッシャー演じるビリーそのものだからスゴイ

 ザッカリーの「見た目」は筋肉バッキバキのおっさんだが、ちょっとした表情や仕草が14才のビリー(劇中「もうすぐで15才」とちょっと大人びようとするマセた少年)にしか見えないのだ。おっさんな見た目に、未熟な14才の青年が見え隠れするのが面白い

 2人1役の演技を見るだけでも価値がある。

 

悪役の魅力が薄い

 “2人1役の演技を見るだけでも価値がある。”と思うものの、「悪役」でDCコミックスの詰めの甘さを感じてしまった

 Dr.シヴァナ。

 設定はものすごく好き。

 父や兄に虐げられながらも魔法の力を信じる純粋な心の持ち主で、かつて魔術師のもとへ導かれた人物。でも虐げられていた恨みのほうが強すぎて、「七つの大罪」に心揺さぶられてスーパーパワーの引き継ぎに失敗する。

 そのあと彼は父にも兄にも自分に起こった出来事を信じてもらえなかったばかりか、その直後に起きた事故の原因にされ(兄に「お前のせいだ」と言われる)、性格がねじ曲がりまくりである。

 この設定とか「七つの大罪」のバケモノを引き連れて歩く姿とかはね、別にいいんですよ。

 ED後にさあ・・・逮捕されたDr.シヴァナが独房に呪文を書き殴りながら癇癪を起こしてるシーンが導入されるんだけど

 ・・・ダサい

 散々冷静沈着に子供を追い詰めていった悪役とは思えないほどのダサさ。

 例えばさ、「魔法を奪われたDr.シヴァナは独房でじっと1点を見つめている。虎視眈々と復讐する方法を考えながら・・・」みたいな設定のほうがかっこよかったと思うんだよね。

 相手が子供だと分かった後も容赦ない攻撃を加えていたDr.シヴァナとは思えないほどのダサさ。最後に気を抜かないでよ、DCコミックス!!! 

 

 DCコミックスに登場する悪役は本当に魅力がない。

 というか、個人的にはスーパーマンがチートすぎるのが原因だと思っている。ほんと『ジャスティス・リーグ』でスーパーマンが嫌いになったね!ワンダーウーマン、アクアマンが苦戦してた敵をワンパンで倒すとか、お前は『ワンパンマン』かよ。

 スーパーマンがチートすぎる設定のせいで、悪役が登場しても「まあ、多分こいつら負けるんだろうな」と思ってしまう。『スーサイド・スクワット』も『ジャスティス・リーグ』も『ワンダーウーマン』も・・・悪役が全然「絶望」をもたらしてくれない

 

 ヒーローがかっこいいのは、悪役が圧倒的に恐ろしくて魅力的だからだ。悪役が魅力的だと物語が映える。

とかさあ・・・。Dr.シヴァナはここには絶対並べない。

 

詰めが甘い気がするんだよな〜

 楽しめなかったわけではない。観終わった後「あー楽しかった」と声に出してしまうぐらいには楽しんだ。これって十分楽しんでるよね。

 でも、やっぱり詰めが甘い気がするんだよな〜。

 DCコミックスも、マーベルの『アベンジャーズ』シリーズのように連続して映画を発表し続けたいのかなあ。だとしたら、やっぱりもう少し悪役に絶望感がないとマズいと思うんだ。だってスーパーマン、チートだもの。

 わたしのスーパーマン嫌いも原因だとは思うが、『シャザム!』はDCコミックス映画のふんばりと、詰めの甘さを感じる映画であった。

 では。

 

◆本日のおすすめ◆

予告編で使われていた曲がかっこよすぎ。

HUMBLE.

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