こんにちは、齋藤吐夢です。
映画を好きでよく見るんだけど「ムカデ人間」とか「武器人間」みたいに、割と傑作B級ホラー映画にありがちな〇〇人間を体現して、イグ・ノーベル賞を受賞しちゃった人がいるんだけど、知ってる?
トーマス・トウェイツっていう素敵にバカバカしい、真面目に、でもやっぱりバカバカしい男が、人間やめてヤギになってみたよ!って話なんだけど。
ヤギ人間の受賞
ヤギ人間の受賞は2016年の話題だし、話題的にはもう2017年も終わるというのに遅いんだよぅっっ!って感じもするけど、でも知らない人もいるだろうし、ノーベル賞以上に受け入れやすく人気の高い賞でしょうから、彼の存在を覚えて欲しい。
彼は「生物学賞」を受賞したイギリスのデザイナーです。そう、デザイナーなんだよね。生物学者の発想じゃないってとこも、なんだか素敵だと思った。
4足歩行するために作り上げた義手をはめ、草を食べ、他のヤギ達と共にアルプスをひたすら歩く彼の姿は、滑稽でありながら「でもやろうとしなければ、誰もやらなかった」偉業(?)として鮮明に人々の目に焼き付いたわけで。
何がバカバカしいって?!
何がバカバカしいか紹介するね。
めっちゃくちゃバカバカしいのは事実なんだけど、色々な人から応援されて”ヤギになるプロジェクト”に挑戦する彼の姿に、まんまと励まされる1冊でもある・・・笑。
人間をやめるという発想
彼は20代の頃に「トースターぐらいなら自分で作れるんじゃね?」と言う発想でトースターづくりに挑戦し、その書籍がウケた過去がある。
でもその後は鳴かず飛ばずだし、定職にもついていないということが自分自身でも気になり始めた・・・ということから「人間をやめる」という発想に至ってしまう時点でもう面白い。
なんでだよ?!なんでそっちに行っちゃうんだ?!
ガチな学者を巻き込む
人間をやめるために「ヤギならあんまり考えてなさそう」・・・みたいな理由で(あと色々な諸事情から)ヤギ人間の道を選んだ彼は、ヤギに近づくために義手をつくる技師さんや解剖学の先生、また脳科学者にも協力を仰ぐ。
脳科学者のくだりは驚く。
だって脳みそいじって本格的に人間を止めようとするのだから(もちろん若干ね、若干)。
先生にも「(脳みそを)めっちゃくちゃにする気はないですよね・・・?」と恐る恐る聞かれるほど、とにかくヤギに近づこうとする。
失敗してもくじけな・・
くじけない・・・というよりは”めげない&気にしない”に近い彼の性格が、読んでいてこれまた爽快で。
プロジェクトに資金提供を受ける際、当初は違う動物への挑戦だったのに、ヤギに変更になったことをうっかり伝達し忘れ、資金提供が打ち切りになりかけた時も、「あ、ミスった。伝え忘れてた、なんで忘れちゃったんだろ」みたいなことを平気で言う笑。
ヤギのように草を消化できる体ではないから、セルロース分解酵素やヤギの消化管内にいる微生物をそのままダイレクトに飲み込もうとして注意された時も、・・・ま、そりゃそうか、ぐらいで済まして次の案に移行するあたり、素敵だと思う。
垣間見える本音
「本の内容だけ説明して」って言われたら、本を読まなくても理解できる内容かもしれない。要は人からの伝達で読んだ気になれる、ってこと。
でも私は、これをちゃんと1冊読んでほしい!って思った。
なぜかと言うと、翻訳家・村井理子さんが、プロジェクトの最中に垣間見えるトーマスの本音をしっかりそのまま訳してくれているから。
本として素直に面白い、面白すぎるのだ!
+翻訳者さん、本気のギャグ(と捉えた)がふんだん過ぎる1冊でもある。”※印”のついた脚注に、どんな重要なことが書いてあるのかとワクワクして読み進めた先に「※1 メェエエ〜」なんて書いてあった日には、本読んでるのに膝から崩れ落ちるわっ!
彼の決意を尊敬
とはいえ、ただただくだらねえと笑い飛ばすだけでは勿体無いこの本。だって彼はイグ・ノーベル賞を受賞するに値するぐらい、ヤギ人間をやり遂げた人間なのだから。
決意して実行し切るって、当たり前のようですごいことよ?!
本そのものは「くっだらね〜、バカバカしすぎるよ〜!ひい〜!!!」みたいな本だけど笑、この本から学べること結構あると思う。
国語か理科の教科書に載らないかなあ笑。
では。
◆本日の一冊◆
彼の存在を知らしめた1作目。いい感じのくだらなさ。