正直言って、いつだって悔しい。
吐き気のするようなセクハラ・パワハラを直接受けたわけじゃなくても、誰かがそれを受けている事実が悔しい。わたし自身も「女だから」「夫が会社員だから」「子供がいないから」などの言葉を受けてきた。思い返すと悔しさで胸が苦しくなる。
この記事を書こうと思ったのは、アクティビスト・起業家の山本和奈さんの記事(↓)を読んで、「ホント、なんで『女』ってだけでハードル高くなるんだろうね・・・」と絶望しかけたから。
“女性にだけ課される高いハードル”は確かに「不公平」に思える。しかしわたしは、それでも高いハードルを超えるべきだと思い、行動することにした。
わたしがハードルを超えれば、「女だから」「夫が会社員だから」「子供がいないから」などの言葉で傷ついた誰かを支えられるかもしれないと思ったから。
「不公平」だから諦めては何も変わらない。
「不公平」だからこそ乗り越える。
誰かにバカにされても突き進み、バカにした誰かを圧倒できれば、その人が誰かをバカにすることを防げるかもしれない。
悔しさが蓄積して
ネガティブな記憶は残りやすい。
わたしは2016年に「記事執筆」の仕事をするようになり、2017年には「専業ライター」になった。「画家」の活動もするようになった。同年代のサラリーマンから見れば稼ぎは少ないかもしれないが、「日々精進しなければ」という緊張感と誇りを持って仕事をしている。
そんなわたしの前で、前職を辞める前の夫がいった言葉がどうしても頭から離れない。
「かほちゃんにできる(仕事)なら、僕にだってできる」
この言葉については何度か夫と話しているし、「そういう意図ではなかった」と聞いてはいるが、わたしはこの時「下に見られている」ような気持ちになり、とても悔しかった。
悔しい気持ちになった言葉は他にもある。
会社員時代、女性だけで構成された企画が発足したとき、男性の上司2人に言われた「女だけで会議するとまとまらないから、俺たちがつく」という言葉。
イベントでライターと画家の仕事を発表したときに言われた「旦那さんが会社員だから(フリーランスの仕事が)できるんですね」という言葉。
「いつもみたいに『お金がかかるから』みたいな理由で子供を産まないんでしょ」という言葉。
この言葉を発した人たちに悪気はなかったと思う。そう思ったから、そう言っただけだ。それでもわたしはこれらの言葉に、
「『わたし』が頑張ったり、何か成果を上げたところで認めてもらえないのかもしれない。それはわたしが女だから、フリーランスだから、夫の存在があるから、子供を産んでないから・・・」
と落ち込んでしまった。
言われたくないから、言われないようにした
山本和奈さんは、こう文章を締めている。
「不公平」なスタンダードや期待値により構築されている社会でどう立ち向かっていき、どう自分自身をポジショニングするのか。
〜
不公平なことを受け止めずに、「おかしい」と声を上げていくことが長期的な変化への鍵となると強く思った。
“不公平なことを受け止めずに、「おかしい」と声を上げていく”。かつてのわたしは落ち込んで、「女に生まれなければ」「結婚しなければ」「そもそもこの世に生まれなければ」と自分を責めるだけだった。声を上げるのは大事なことだ。
けれども、どんなに声を上げても、何かを言ってくる人は何かを言い続けるだろう。
夫に時々「気にしすぎじゃない?」と言われる。自分でも「気にしすぎ」だと思っている。気にせずにいれば、落ち込んだり思い悩んだりすることもなかっただろう。でもどうしても耳に届いてしまっていた。心に傷がついた。
だから「言われないようにする」努力をした。
ハードルは時に「不公平」だが、乗り越えさえすれば、黙らせることはできる。
フリーランスという働き方に苦言を呈する人を黙らせたくて、わたしは稼いだ。稼いだ金額をハッキリと口にした。そうしたら、その人はもう何も言わなくなった。結局そういうことなのだ。
「うるせえ、黙れ」と思うことがあったら、「うるせえ、黙れ」と思うようなことをその人に言わせないように努力する。そうすると、結果自分のスキルも上がるし、気持ちもラクになる。
ずっと感じてきた悔しさは糧にする
大好きなアーティスト・スプツニ子さんのイベントに参加したとき、彼女は日本の少々頭の固い、やや男尊女卑めな企業をサル山に喩え、
「サル山はボスザルがトップに君臨していて、上り詰めるのは簡単じゃない。でもサル山を飛び出して、サバンナ(研究機関や海外など、外の世界)でサバイバルを繰り広げて戻ってくると、サル山のボスザルの方から頭を下げてくる」
と話していた。当日、明るく話す姿が印象的だったが、今まで一度も悔しい思いをしてこなかったわけではないだろう。「おかしい」と思った気持ちを糧にして、行動してきた結果だと思う。
スプツニ子さんは「すべての女性が素直に夢を追い求められる未来」を目指していると話していた。「不公平」のハードルを乗り越えてきた彼女だからこそ、目指す未来に近づいていると思うし、そんな彼女に励まされて前を向く人も多いはずだ。
山本和奈さんだって、ただ「おかしい」と声を上げているだけの人ではない。活動家で起業家でもある彼女は、同じような思いを抱える人のために人を集め、先陣を斬って行動している。「不公平」のハードルを乗り越えないで言葉を発しているわけではない。
悔しさは糧にする。
糧にしてやる。
「僕にでもできる」「誰でもできる」と言われた記事執筆の仕事は、「わたしだから書ける文」に変える。
「フリーランスだから」「夫が会社員だから」と言われたが、生活費は折半しているし、ライターでも画家でも生計を立てられるように努力する。
一般教養やビジネスへの関心が低いことをさりげなく小馬鹿にされたこともあったが、ライターや画家活動で「ビジネスとしての」成功を絶対にしてみせる。
「ビジネスとしての」成功を手にしたら、「夢見がち」で「趣味と混同されがち」なアートの価値観を変えたい。変えてみせる。
心身ともに健康になって、だいぶ前向きに生きられるようになったけど、それでもいろんな悔しいがわたしを押しつぶそうとする。でもわたしは押し返す。ハードルだって乗り越える。あまりの悔しさに、悔しさの元凶を逆に押しつぶしてやりたいとまで思う。
だから、見返してやりたい気持ちで、強くなってみせる。
では。
◆本日のおすすめ◆
もちろん「気にしすぎ」を直す努力も必要なんだけど。
今後のために「メンタルが強い人」を参考にしたい。
大好きなアーティスト・スプツニ子さんの著書。