小学生向けってことは、誰にでも読めるってことだ。わかりやすく解説してくれるぞ!!!
はじめに
時々無性に文章が読みたくなって、ふらーっと本屋に行ったり、図書館に行ったりしている。
そんなある日、ふと仕事である本が必要になり、児童書エリアに立ち寄ることになった。そしたら、まあ、小学生向けの本が読みやすくてわかりやすくて、まあ、いい!
中でも、経済について学ぶ本がとにかく読みやすい。もちろん、今回紹介する2冊もそうだが、著者により伝えたいメッセージが異なるので、複数冊読む必要はあるが、頭でっかちになりがちな大人向けの経済本に比べたらよっぽど良質だ。
今回は、この資本主義社会を生き抜くためには必要不可欠な「お金」に関する本で、ものすごく面白かった本を2冊紹介する。
お金のやりくりを学ぶなら
齋藤孝,『小学校では学べない 一生役立つお金の勉強』,2019年2月21日,株式会社KADOKAWA
著者・齋藤孝さんは明治大学文学部教授。『だれでも書ける最高の読書感想文』(角川文庫)や『声に出して読みたい日本語』(草思社)などといった著作が有名。NHK Eテレで放送されている「にほんごであそぼ」の総合指導も担当している、いわば、日本語のエキスパートだ!
そんな彼が書いた「お金」の本は、子どもたちがお金に関心を抱けるような書き口で、お金との「つきあい方」が書かれている。
「どうやって大人がお金を稼いでいるのか」や「金銭感覚の磨き方」について書かれていて、それにより子どもたちは、
- 大人たちが普段何をやっているのか
- お金がどこから発生しているのか
- 自分たちが欲しいと思ったものをどうすれば手に入れられるか
を考えることができるはずだ。もちろん、この本を読ませる前に、子どものお金への関心をうまく引き出す必要はあるだろうが、この本とおこづかい帳を渡し、貯金やお金を使う場面を一緒に経験すれば、「お金に振り回される大人」にはならないだろう。
また大人にこそ読んでほしい項目に「特別授業 偉人の金言から学ぶ」がある。
の3人が紹介され、どんなことをした人物なのか、どんな金言を残したのかが紹介されているが、大人にこそ響く言葉がいっぱいだ(もしや齋藤孝さんはこの本を買い与えた大人に向けてもメッセージを残しているのか?!)。
わたしはこの項目を読んだとき、ここで紹介されている金言が何一つ古くなっていないことに驚いた。
時は流れるものだが、偉大な人の精神はいつの時代も変わらない。人を欺くようなことはせず、人のために信用を得て、それをお金に換える。そしてまた人のために何かをする。
恥を忍んで言うが、わたしは福沢諭吉も渋沢栄一もベンジャミン・フランクリンも、名前は知っていたが何を成し遂げた人なのかはてんでわかっていなかった。しかしこの項目を読むことで『学問のすすめ』の原文を読みたくなったし、渋沢栄一やベンジャミン・フランクリンの伝記を読んで、彼らから学びたいと思った。
この本がきっかけで、興味関心が広がったという点でも、この本の優秀さがわかると思う。
経済について学ぶなら
池上彰,『親子で学ぶ絵本 池上彰のはじめてのお金の教科書』,2018年9月5日,株式会社幻冬舎
著者・池上彰さんといえば、かつてNHKで放送されていた「週刊こどもニュース」でおなじみである。政治経済に強い興味関心を抱くようになった今は、「池上彰の〜」という冠のついた番組であれば、わかりやすく政治経済が学べるので好んで観ている(小さな頃、両親(主に母親)がそれとなーくこの番組にチャンネルを替えていたのだが、わたしはこの番組が苦手だったなー笑。大人になると、好き嫌いって変わるもんだね)。
先で紹介した『小学校では学べない 一生役立つお金の勉強』が紹介しているのは「お金との向き合い方」だ。一方、『池上彰のはじめてのお金の教科書』は
- お金を上手に使えれば、こんなことが起こる
- お金を使うことで、こんな恩恵をうけられる
といった、お金そのもの、経済そのものを説くような本である。
本は「お金とは何か」から始まる。お金がつくられた流れを紹介することで、お金の価値そのものを説く。そして
- お金のかしこい使い方
- 銀行の役割を知ろう
- お金のかせぎ方・増やし方
- ニュースに強くなろう
と続き、「お金」を通じて経済の話へと発展していく。
特に注目すべきは「お金のかしこい使い方」で書かれている「お金=信用」だ。「お金=信用」は、齋藤孝さんの本でも触れられているが、池上彰さんの本だと実体のない「仮想通貨」についても解説されている。なぜ仮想通貨がお金として機能するのか。以下に、仮想通貨が信用される理由について書かれた一節を引用する。
ビットコインがお金として信用されている理由は、「ブロックチェーン」という技術にあります。仮想通貨は、目で見ることも手でさわることもできないデジタルな情報です。ですから、そのままだと簡単にコピーしたり、ニセモノがつくられたりするおそれがあります。ブロックチェーンは、そういった“ズル”が、必ずバレるしくみです。だから多くの人は安心してビットコインをお金として使っているというわけです。
「ブロックチェーンとはなにか」という解説ではないため、その“ズル”が、必ずバレるしくみとやらがどういうしくみなのかは自分で調べなければならない。ただ、見ることも触ることも出来ないものが、信用を成り立たせることで通貨として機能していることはすぐにわかる。
わたしは今まで、仮想通貨の名前しか知らず、概要をぼんやりとしか理解していなかったため、「ようけ分からんから手を出さんとこ」と、「よく分からないから」を理由に遠のけていた。
でも、この新しい通貨の存在が、新しい稼ぎ方やお金の価値観を生み出すとわかれば、人々が注目する理由も分からなくはない。
「手を出さんとこ」の部分は今でも変わっていないが、仮想通貨の存在を理解しそれに歩み寄ったうえでの選択は、「よく分からないから」を理由にした選択よりも、よっぽど価値あるものだろう。
また「お金のかせぎ方・増やし方」「ニュースに強くなろう」のおかげで、子供たちがお金を稼ぐこと・増やすことに前向きになるのではないかと考えた。お金に関わるニュースに関心を抱くようになれば、社会に対する目の向け方も自ずと変わっていくことだろう。
世の中、遮断したくなるようなくだらない情報も蔓延しているが、政治経済への関心を失ったら、それこそ「美味しいとこどりをしている人たち」の思うツボだと思う。
小学生向けコーナーをなめちゃいけない
恥ずかしい話だが、わたしは本当に「お金」や「政治経済」について、つい最近まで無知も無知だった。箱入り娘ならまだ可愛らしいものだが、わたしはただの世間知らずだた。
そんなわたしが政治経済に興味を抱き始めたのは、明らかにお金大好きな夫のおかげなのだが、「学ばなければならない!」という意思に駆られたとき、もっとも理解しやすかったのが「子供向け」の本だった。
子供向け・小学生向け・中学生向けをなめちゃいけない。
「応用・発展問題を解きたければ、基礎をゴリゴリやるしかない」である。しかも基礎はとてつもなくわかりやすい。わかりやすくなければ基礎は解けない。
もちろん噛み砕いて噛み砕いて噛み砕いて書かれた本も多いので、それですべてがわかった気になってはいけない。
でも、噛み砕いて噛み砕いて噛み砕いて書かれた本で理解できれば、次は「噛み砕いて噛み砕いて書かれた本→噛み砕いて書かれた本→本→ちょっと難しい本→専門書」と進めるものである。
何事も基礎をしっかり、コツコツと、が大事である。
もしあなたが「実はお金についてよくわかってないけど、人にいうのは憚られるし・・・」と悩んでいるのであれば、すぐに図書館に行って、小学生向けコーナーの本をいくつかピックアップしてほしい。小学生向けの本を大人が読めないわけないのだ。
わからないことは、わかりやすい本から学べばいい。
「お金」に興味がわいたら、ぜひに。
では。
◆本日のおすすめ◆
中学生向け。初見では若干わかりにくかったので、上記2冊では生ぬるいって人におすすめ。
大人向け。会社員なりたての時に読んで「生活に役立つ!」と思った。
次に読む予定。若干古い本になっちゃったけど。