この間足を運んだアートイベントで、わたしは自分が思っている以上に「声かけ」に対する意識が強いことを知った。あえて口の悪い表現をするが、”死んでいる”会場ほどクソつまらないものはない。
せめて挨拶ぐらいしてくれ。
人が来たら、スマホから目を外してくれ。
イベントの声かけについて思うこと
先に伝えさせてほしい。そのイベントに在廊していたすべてのアーティストがそうだったわけではない。全員が全員そうだというわけではない。
でも、ある一角は死んでいた。
うつむき加減でスマホをいじり、来場者が訪れても一言も発さない人がいた。
平日、人が来ないこともある。わたしも一度、在廊していてまったく人が来ないときがあった。でも、この間そこへ足を運んだわたしは、人が来ないその空間に訪れた”来場者”だった。
来場者を前にしても、その人は一言も発しなかった。
せめて挨拶してほしい
せめて挨拶ぐらいはしてほしい。
来場者が作品をサラリとしか見やらなかったとしても、その一瞬だけでもあなたの作品を見た”来場者”だ。あなたとの接点は生まれている。
もしその人があなたの作品を全く見なかったとしても、あなたが一言「こんにちは」と声をかけるだけで、その人の意識はあなたの声に向くはずだ。
もしかしたらその人はあなたの作品に”気づいていない”だけかもしれない。あなたの声かけで、あなたの作品を知るかもしれない。
せめて挨拶してほしかった。
スマホから顔をあげて、無言でその場で座ってるだけじゃなくて、誰も来ない一角だからこそ、来場者をもてなしてほしかった。
その空間は広い部屋に何人もの人がいる空間だった。誰か1人が声を出せば、その広い空間の空気は変わったかもしれない。だけどその日、そこにいた人たちは積極的に声を出そうとはしなかった。
わたしは悲しかった。
ステキな作品が並んでいたはずなのに、うつむいた顔が並ぶその空間に耐えられなかった。
来場者側の立場で考えたい
こういうとき、来場者側の立場で考えたいと思う。
もし自分が来場者側だったら、全員がうつむき顔でスマホをいじる空間にやってきて居心地がいいと思うだろうか。
作品を良いと思うかどうかは、来場者が決める。自分の作品に自信があっても、まったく評価してくれない人だっている。でも「こんにちは」と言われるだけで、あなたの作品への関心が0から0.1ぐらいに変化する人だっている。
何も働きかけなかったら、0は0のままだ。
もちろん声をかけられることに抵抗を感じる来場者も0ではない。でも挨拶なら、そういう人に対しても抵抗感を与えることはないと思う。
本当の本当に関心がない人の場合には、挨拶しても0は0のままかもしれないが、その人がそうじゃない人だとしたら?挨拶することで0が0.1になる人だとしたら?気づいてなくて0なだけで、声をかけた瞬間に10になる人だっているのだ。
挨拶だけでいい。
足を運んでくれた来場者に、意識を向けてほしかった。
声かけしないのはもったいない
ブースづくりの参考に人のブログを読んでいたら「ブースに人が立っていると声かけられそうで作品を見に行きづらい」という来場者の意見を見つけた。来場者の全員が全員、積極的な声かけを望んでいるわけではない。
それでもわたしは、デザインフェスタに出展するとき
- ブースに立って通りかかる人に声をかけまくる
- 作品をチラッと見てくれた人に目ざとく声をかけまくる
の2種類を実践している。
デザフェスは出展者数も来場者数も多い。そのため一生懸命声をかけても、来場者からの反応はほとんど返してもらえない。が、それは仕方ない。全部に反応していては、見たい作品すべてを楽しむ前に疲れてしまう。
でも、まったく声をかけないより、声をかけたほうが来場者の関心を引くことができる。
最終的に作品を評価するのは来場者だ。話を聞いてくれそうな来場者さんには作品の魅力をバンバン話す。じっくり熟考したそうな来場者さんにはプレッシャーを与えないよう接させていただく。
その結果、作品を見てもらえると嬉しい。
気に入ってもらえると嬉しい。
買ってもらえると嬉しい。
この結果を導き出すには、作品の質や価格にこだわるだけでなく、自分の作品に関心をもってもらうことも重要だ。そのための声かけだ。
来場者との接点を生み出すための「声かけ」だ。
自分にも言い聞かせるために、口悪く〆る。
何の働きかけもなしに、見てもらえるなんて思うなよ。
では。
◆本日のおすすめ◆
販売が目的じゃなくても、読んで損はないと思う。