2018年8月にこんなツイートをしている(↓)。
けいろー(@Y_Yoshimune )さんがレビューしているのを読んだら、行かざるを得ない。
— Kho_K@Writer&Painter (@Kho_TOKYO) 2018年8月1日
映画『カメラを止めるな!』感想 https://t.co/S8x4M2ThyU
そこからおよそ1ヶ月半ほど経ってようやく観ることができた念願の映画。
レビューを書く時点で、どんなにネタバレを防ごうたって「面白い」の一言がもうネタバレである。そのため、完全に事前情報なしで観たい人は即座に離脱し、映画館へ行ってほしい。
ということで、ネタバレありです。
カメラを止めるな!
概要(イントロダクション)
監督&俳優養成スクール・ENBUゼミナールの《シネマプロジェクト》第7弾作品。短編映画で各地の映画祭を騒がせた上田慎一郎監督待望の長編は、オーディションで選ばれた無名の俳優達と共に創られた渾身の一作だ。
脚本は、数か月に渡るリハーサルを経て、俳優たちに当て書きで執筆。他に類を見ない構造と緻密な脚本、37分に渡るワンカット・ゾンビサバイバルをはじめ、挑戦に満ちた野心作となっている。
また公式サイトによると、はじめはたった6日間限定の先行上映、しかもレイトショーだったにも関わらず、口コミによりチケットが売切&チケットを求める人の長蛇の列が生じるほどの話題となった。
公開を望む声にお答えして”都内2館同発”での上映が開始されたが、現在では全国上映となっている。わたしが観に行ったのはTOHOシネマズ新宿。あのTOHOシネマズ新宿で、土曜20:30ほぼ満席。すごい影響力である。
カメラを×××?!
映画鑑賞後、思わずパンフレット(↑)を買ってしまったのだが内容とても良かった。映画からも感じとれたけれど、愛しか詰まってなかった。 鑑賞後はぜひ。
ワンカット・ゾンビサバイバル
まず、映画冒頭に上映される37分ワンカット・ソンビサバイバル「ONE CUT OF THE DEAD」について。
これがクソしょーもないゾンビ映画(注:めっちゃ褒めてる)で、37分ワンカットという技術の素晴らしさを一旦脇に置いてしまうぐらい笑える。ワンカットの苦労を脇に置けてしまうぐらい、しょうもない笑いがてんこ盛りだ。
否、本来はしょうもなさを生じてはいけないゾンビ映画なんだろうなってのは伝わってくるのだが、ところどころに生じている”違和感”が「自主制作映画特有のしょうもなさ(注:褒めてる)」となって襲い来るから、やっぱり笑ってしまう。
「謎な映し方多いな」
「変な間が多いな」
「なんなんだ、あのゾンビの動き」
「ちょっとこのシーン長すぎない?」
などなど、感じる”違和感”すべてが笑いに変わってしまうから面白い。
が、ここで注目すべきは、周りで一緒に観ている観客の空気である。
実際には、この時点で特記するほどの笑いは起きない。自主制作映画にありがちの”違和感”にムフフと笑う人はそんなにいない(みんながみんな、めっちゃ映画好きとは限らない)。
ここの空気、覚えておいてほしい。
良い意味で嫌な予感しかしない”裏”
ここからが物語のネタバレを望まない人にとってのネタバレだが、37分のワンカット・ゾンビサバイバル終了後、時間が1ヶ月前に遡る。
”裏”、すなわち舞台裏の物語が始まるのだ。
ワンカット映画で、狂気の監督役を務めていた男性が、実はワンカット映画そのものの監督だったことから「?」となる。「めちゃくちゃ狂気な演技してたのに、あ、監督そのものでしたか・・・」。
そんな「?」を筆頭に、「あれ?この人〇〇役じゃなかったっけ」「あ、舞台裏にはこんなに人がいたのね〜」「ああ、きっかけはこういう話だったのね〜」と終始、ここまではほんわかムードで物語が進む。
ここまでは、である。
何を隠そう(?)「ONE CUT OF THE DEAD」本番までの様子が前途多難すぎる。”表”で監督役、”裏”で監督を務めている男性の困り顔が愛おしく見えるほど、この映画制作の舞台裏は、問題が山積みなのだ。
”裏”の物語が進めば進むほど、
- 映画鑑賞者にとっては良い意味の
- 物語の中の人物にとっては悪い意味の
嫌な予感が的中しまくる。
カメラを止めるな!ではなく×××だった
”違和感”を感じる”表”、「ONE CUT OF THE DEAD」を思い出してほしい。周りで一緒に観ている観客の、特記するほどの笑いは起きなかった空気を思い出してほしい。
ここからが本番だ。
とうとう”裏”でも「ONE CUT OF THE DEAD」本番の様子が描かれる。
しかし直前まで観客が感じとっていた嫌な予感が的中しまくり、撮影は難航する。なんと本番が始まる前、始まった直後、始まっている最中、ず〜っと難航する。トラブル起きっぱなし。もう、びっくりするほどトラブル起きっぱなし。
それはすなわち”表”で感じていた”違和感”の正体が明かされることにつながる。
「なんだったんだ、あのシーン」と感じていた裏側では、まあ、とんでもないトラブルが起き続けている。「が・・・がんばれ」と応援したくなるようなトラブルの連続に、観ているこちらはハラハラさせられ・・・ない。笑っちゃう。
そう、「ONE CUT OF THE DEAD」の面白さは、トラブルによるミラクル連発で生じていたものなのだ。
なだれ込むように観客の心を揺さぶる笑い(トラブル)の数々。良い意味での嫌な予感を待ち望んでいた観客の、「あ〜あのシーンってもしかして・・・」が的中したときに起こる笑いが最高潮に達する。観客が一丸となって笑う。
”表”で感じた”違和感”はすべて笑いで解決され、観客はもう大盛り上がり。
そしてラストシーンは、1つの作品をつくりあげた達成感や清々しさを観客にまで感じさせてくれる。
観客の結束力が強くなる映画だった。
観客からすれば
- 「カメラは止められない!」
- 「カメラは止めてはならない!」
- 「カメラは回し続けろ!」
と言いたくなる。
またこの映画をものすごく深読みすると「その作品を観てくれる存在を含めて1つの作品なんだな・・・」と感じさせてくれる深い映画だった。やー、面白かった。
カメラを止めるな!で話題になった問題
一時期この映画に関する話題のひとつに「盗作疑惑」が浮上していた。「上映中止になるのでは」とまで言われていた重たい話題。
でも全国公開になっているし、わたしが観に行った回もほぼ満席であるから、双方同意が得られた・・・ってことで良いんだろうか。
「解決した」という記事がてんで見つからないため、監督そして「原案ではなく原作と書いてほしかった」と主張した原作者の間がギスギスしていないことを望むばかりだ。
関連記事
映画「カメラを止めるな!」について|rookey|note
原作者のnote(↑)
映画「カメラを止めるな!」は「パクリだ」と週刊誌報道、弁護士の見解は?
「カメラを止めるな!」盗作騒動の法的な論点 | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
たくさんの人の目にとまってほしい
夫と共に「カメラを止めるな!」を観たのだが、映画鑑賞前に出会った女性2人組が印象的だった。その2人は「これ話題作なんでしょ」と話していた。
わたしはそのとき、映画を観る理由が
- 映画が好きだから
- ある映画が観たいから
とは限らないことを思い知らされた。「話題だから」という理由で観てくれる人の存在をすっかり忘れていた自分を恥じた。
そしてこう思った。
「話題だから」という理由で観てくれる人が、口コミを広めて、もっともっとたくさんの人の目に止まる映画になると良いな。
この映画がきっかけで、映画って面白い!って思ってもらえると良いな。
まだ観ていない人はぜひ劇場で。
では。
◆本日のおすすめ◆
観終えた人だけね!観終えた人だけ!!