2020年7月31日〜2021年1月3日まで、六本木・森美術館で開催されている「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」。
当初の目的は村上隆さんの作品だった。
“世界が認める現代アートのトップランナー6名”のうち、草間彌生さんと奈良美智さんの作品は観たことがあったのだが、他4名の作品と出会ったことがなく。父がプレゼントしてくれた村上隆さんの著作「芸術起業論」に心をボッコボコにされてから村上さんのファンになったのだが、作品は一度も観たことがなかった。
これはチャンス!と観に行った。
まー、やられました。
STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ
本展では、この間に日本という枠を越えて広く国際的に活躍し、今日、多様な地域や世代から高い評価を得るアーティスト6名を選び、その活動の軌跡を初期作品と最新作をつなぐかたちで紹介します。彼らの実践は世界からいかに評価されてきたのか。国境や文化を越えた普遍的な課題の追求、伝統や美学、テクノロジーやサブカルチャーなど、日本固有の社会的、文化的、経済的背景をふまえて探ります。
実際に作品を前にして私が「う、うわー!!!」と興奮したのは、やはり村上隆さんの作品なのだが、「う、うわー!!!」「こういうの好きー!!!」と心射抜かれたのは宮島達男さんの作品だ。
お二人の作品について感想をば。
村上隆
「STARS展行かなきゃ!」となったのは、2020年に制作された、サイズが500×2,125 cmな《チェリーブロッサム フジヤマ JAPAN》を観たかったのと、初めてその作品を知ったとき、えぐすぎてドン引きした《Ko²ちゃん(プロジェクトKo²)》(1997年)、《ヒロポン》(1997年)と《マイ・ロンサム・カウボーイ》(1998年)を観ることができると知ったからだ。
会場に着くと、いきなり《Ko²ちゃん(プロジェクトKo²)》が私たちを出迎えてくれる。この作品は2次元のキャラクターを3次元化したものなのだが、ゾッとするほどデフォルメされた胸、腰、足のインパクトがすごい。違和感がすごい。美術解剖学の課題で動物や人の全身骨格をじっくり観察したからか、余計違和感がすごい。
正直、《ヒロポン》にも《マイ・ロンサム・カウボーイ》にもなんとも言えない嫌悪感を抱いていたのだが(露骨に性的だからね)、唯一無二の存在感を放っていて、気持ち悪いのにずっと見ちゃっていた。とても面白かった。
宮島達男
宮島は「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」というコンセプトに基づき、1980年代半ばからLEDを用いて1から9までの数字が変化するデジタルカウンターを使ったインスタレーションや立体作品を中心に制作を行っています。0(ゼロ)は表示されずLEDは暗転しますが、これは死を意味し、生と死が繰り返されることが表現されています。
“生と死が繰り返されることが表現されています”の一文に強く心惹かれた。
会場で展開されていた《「時の海—東北」プロジェクト(2020 東京)》は、あらゆる速度で1から9までカウントされるLEDと水の音が印象的な作品で、暗い展示室の中で時を刻むLEDを眺めながら水の音を聞いていると、とても穏やかな時間が流れる。一緒に見ていた夫にも伝えたが、私はこの空間にずっといられると本気で思った。
ものすごく「時間」を感じた。
理論上30万年以上の時を刻むことができる《30万年の時計》(1987年)も最高だった。30万年以上、それを見続けることは叶わないけれど、「永遠に続く」を感じ続けられたらいいのに…と思った。
◆本日のおすすめ◆
森美術館は夜遅くまで入場できるので好き。
表紙のパンチが強すぎるけど、とても面白い。
時の海プロジェクトのURLも貼っておきます!