出典元:https://twitter.com/SpidermanfilmJP/status/1147112897161510913
はじめに
マーベル・シネマティック・ユニバース作品をずーっと追い続けてきた。
2019年、『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ:エンドゲーム』の2作でこのマーベルユニバースに1区切りついたように思える。
が、一応『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が、マーベルユニバースの「フェイズ3(第3シーズン)」の最後を飾る作品なんだとか。
正直な話、わたしはイライジャ・ウッドが主演を務めた『スパイダーマン』シリーズや『アメイジング・スパイダーマン』シリーズが大の苦手だ。スパイダーマンの醍醐味は「主人公がナヨナヨしている」ことなのだが、わたしはそれがものすごく苦手だ(同様の理由で、映画としては好きだがエヴァンゲリヲンの主人公・碇シンジが苦手だ)。
なので、トム・ホランドが主演を務める『スパイダーマン:ホームカミング』もさほど期待していなかったのだが、これが、まあ、よかった。
思春期らしく悩みを抱えているだけの懸命な少年が主人公なもんだから、みていてイライラすることもなく。そこからはトム・ホランド版スパイダーマンのトリコである。
で、だ。
今回の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』。何が一番よかったって悪役のミステリオだ。彼のおかげで、今までのスパイダーマンシリーズが苦手だった理由もわかった。
スパイダーマンは「親愛なる隣人」である。ミステリオは、スパイダーマンの愛称である「親愛なる隣人」をひしひしと感じさせてくれる悪役だった。
※ミステリオに関するネタバレが含まれています。ネタバレNGな人はこの先を読まずに、映画を観に行っていただけると幸いです。
あらすじ
『アベンジャーズ:エンドゲーム』の少し後の世界。
スパイダーマンことピーター・パーカーは、2週間のヨーロッパ研修旅行の間に、想いを寄せているMJに告白しようと決意する。なお、そんなピーターには『アベンジャーズ』シリーズでおなじみのニック・フューリーから何度も電話がかかってくる。が、夏休みを満喫したいピーターは電話を無視。
そんなピーターは旅行先で正体不明の存在に襲われてしまう。ホテルにスパイダーマン・スーツを置いてきたピーターは思うように戦えないが、そこに「ミステリオ」と呼ばれる謎の男が現れ、正体不明の存在から人々を守った。ミステリオは異世界から訪れた存在なのだという。
フューリーはピーターに「E.D.I.T.H.」という人工知能を宿した眼鏡を渡し、トニースターク/アイアンマンの後継者に指名されたことを伝え、ミステリオと共に異世界から現れた存在と戦うよう指示するが、ピーターはその申し出を断り、夏休みの旅行に戻ってしまう。
ミステリオ最高
ジェイク・ギレンホールが見た“スパイダーマン”の素顔、トム・ホランドの魅力熱弁https://t.co/cZFy9POy3v
— 映画ナタリー (@eiga_natalie) 2019年6月27日
#スパイダーマン #ファーフロムホーム #マーベル #トム・ホランド #ジェイク・ギレンホール pic.twitter.com/7qaYvgNafB
(↑)右のお兄さんね。
ジェイク・ギレンホールがミステリオを演じると知ったとき、同時にミステリオがスパイダーマンシリーズの人気悪役のひとりだということを知った。
が、予告編を見る限り、ミステリオはスパイダーマンに協力的な雰囲気を醸し出している。
それが、今作の悪役の魅力である。
ぶっちゃけると、ミステリオはぜーんぜんスパイダーマンの味方じゃないんだよね。うまーくスパイダーマンを丸め込み、利用する。人を使ってうまーいことやってのける、超、超、技術の高い「ただの」人間なんだよね。
それがまあ、よくて!!!
親愛なる隣人に見合った敵
今作のおかげで、歴代のスパイダーマンが苦手な理由がよーくわかったんだけど、今までのシリーズに登場してきた悪役って、変な能力を宿した人ばっかりなんだよね。もちろん「グリーンゴブリン」も「ドクターオクトパス」も、元はただの人間なんだけど、どこか人間を超越しちゃってたんだよね。
ところが!
トム・ホランド版のスパイダーマンの敵は、技術力があるただの人間ばかりなのがいい。だから敵は、スーパーパワーじゃなくてテクノロジーで勝負すんのよね。
もちろんトム・ホランド版のピーター・パーカーもクモに噛まれてはいるんだけど、その能力を駆使というよりは、その能力をテクノロジーで補完している感じがある。そんなピーター・パーカーと釣り合う悪役が登場するから、トム・ホランド版『スパイダーマン』が面白いのだと考察している。
『スパイダーマン:ホームカミング』の敵である「バルチャー」も、特製のウィング・スーツを身にまとっただけの「人間」だ。しかも根っからの悪じゃない。悪に落ちざる得なかった人だ。
今作の「ミステリオ」も、素顔のクエンティンはトニー・スタークに恨みをもつただの「人間」だ。だからこそ、スパイダーマンとの戦いに見応えがある。
正直、映画のスタートはちょっと不安だった。ミステリオが戦う相手の名称が「エレメンタルズ」で、異世界の地球「アース833」を滅ぼし、ピーターたちの住む「アース616」の侵略を始めた・・・って設定に「ダサすぎる!!!」と思ってたから。
そしたら、ほら、ぜーんぶクエンティンの嘘八百だったからさ、一安心。
そして「ミステリオ」が、ただの技術力のある人間だってわかったところから、テクノロジーVSテクノロジーみたいなバトルシーンが始まって、とっても胸熱なわけ。
原作のミステリオは「特殊効果のエキスパート」という設定でらしい。高度な映像技術とハイテク装置を武器に戦うキャラクターだから、スパイダーマンが見ている世界が嘘か本当かわからない・・・っていう追い詰め方をするんだけど、人間を超越した特殊能力じゃなくて全部技術で追い詰めてるってのがいい。
彼ら(バルチャーやミステリオ)のおかげで、スパイダーマンの呼び名「親愛なる隣人」はブレない。『アベンジャーズ:エンドゲーム』みたいに、スパイダーマンは責任感重すぎぃぃぃみたいなヒーローにはならない。
街の人を、いや、ピーター・パーカーが愛する人を全力で守る、それだけで『スパイダーマン』シリーズは十分なのだ。
それから、クエンティン率いる「ミステリオ制作班」の技術力、演出力がよかった。
だって3DCG技術とかドローン操作だけじゃなくて、衣装班と脚本・演出班まであるんだよ?!「人々はこういうヒーローを求めてる」つって台詞とか、それっぽい悪役を作り上げるんだから、抜かりなさすぎない?!
ジェイク・ギレンホールの二面性が最高
わたしと夫・アカ ヨシロウ(@AkaYoshiro)はジェイク・ギレンホールの大ファンである。特に夫はトチ狂ったかのようにジェイク・ギレンホールが好きだ。時々、ジェイク主演作『ナイトクローラー』を観ては「いや〜いい映画だな!」と嬉しそうだ(注:やばい映画です)。
夫が大好きな映画『ナイトクローラー』を観ると、ミステリオ演じるジェイク・ギレンホールがよりいっそう魅力的に見える。
今作の前半と後半で表情がまったく違うジェイク。「正義」という言葉の似合う凛々しいヒーローから、小賢しさ満点の悪役としての顔に。この変化がね〜、本当にたまらんのですわ。
自分の目的のためなら、人を騙すことも厭わないクエンティンの表情は、ずる賢いんだけど「人間そのもの」。というか、トニー・スタークへの恨みだけで生きてきたっぽい執念が本当に人間らしくて、嫌いになれないし、どこか悲しい。
魅力的な悪役とは、
- 善のカケラが全くない悪役(ジョーカーなど)
- 悪役なりの信念が見えて嫌いになれない悪役(サノスなど)
の大きく分けて2パターンだと思ってる。
で、これは個人的な意見だけど、歴代のスパイダーマンシリーズの悪役はこのどちらにも当てはまらない、
- 私利私欲型
- 自業自得型
- は?お前なんなん?型
だったように思う。なんだろう、普通にイラっとするっていうか、魅力0というか(言いたい放題)。
ミステリオは(あと前作のバルチャーは)「悪役なりの信念が見えて嫌いになれない悪役」だと思うのよね。まあ『アベンジャーズ:エンドゲーム』のサノスほどじゃないけど。
で、そんなミステリオをジェイク・ギレンホールは演じきった。ジェイクが演じるミステリオが見せた嘘の笑顔も、本当のしたり顔も、両方とも魅力的に見えた。
ミステリオはジェイク・ギレンホールにしかできなかった役だと思う。彼の今までの出演作『ドニー・ダーコ』とか『ノクターナル・アニマルズ』等々を見れば、絶対に納得できる。
人間の良い面も悪い面も演じられて、人に嫌われずに人をゾッとさせることができるのは、ジェイク・ギレンホールだけだ。
最高のエンターテイメント映画だった
ミステリオについてだけ語ったけど、映画全体とてもよかった。
ヒーロー映画というより、ヒーローの在り方に悩む少年を主人公にした学園ラブコメだった印象も強いけどね!とはいえ、テンポもいいし、役者の演技もいい。ハラハラドキドキとラブストーリーとコメディと、いろんな要素が適度に散りばめられているから、ワクワクしながら観れる映画だったのは確かだ。
では。
◆本日のおすすめ◆
『スパイダーマン:ホームカミング』の感想は「アイアンマン、めっちゃパパじゃん」です。
ジェイク・ギレンホールにハマった人はぜひ観て。