はじめに
アートイベントに参加したことのあるハンドメイド作家さんであれば、「売れない、でも作りたい」という思いに共感してくれる人はいるのではないだろうか。
わたしはできるだけ在庫を抱えたくない。
だがイベントでお客さんと接する中で「こういう商品、必要かも」と思える商品に出会うことがある。特にデザフェスなどのイベントでは、お客さんが購入しやすい「グッズ」に力を注ぐべきだな〜と思うことがある。
が、個人的な話、自宅のクローゼットに入りきらないものは捨てたくなる性分のため、大量の在庫を抱えたくない。グッズをつくるなら大量に注文したほうが安いことも分かっちゃいるが、それより何より在庫を抱えたくない。
そんなわたしは、作品管理と在庫の悩みにようやっと折り合いがついた。
デザフェスvol.49(2019.5.18〜5.19)で6回目の出展となるが、試行錯誤を繰り返したおかげで、ようやっと折り合いがついた。
そこで、同じように悩み、「売れない、でも作りたい」ジレンマに陥っている人のために、わたしのやり方をお話しする!
といっても、人それぞれ「売れない、でも作りたい」度合いは違う。あくまでも「へ〜そんなやり方、考え方もあんのか」程度に留めていただけるとありがたい。
「売れない、でも作りたい」
※この写真に関する失敗談は下記にて
そもそも売りたいと思ってる?
「売れない、でも作りたい」に悩む人にまず聞きたいのが、あなたはそもそも作品を売りたいの?それとも売“れ”たいの?という問いである。
「売“れ”たいと思ったことない」なんて人はいないと思う。
そりゃ、売“れ”たら嬉しいに決まっている。「名を馳せたい」という思いは悪ではない。絵だろうが音楽だろうが文章だろうが、自分の作りだしたものが評価されることは嬉しい。
が、「売りたい!売る!」って姿勢で臨まないと、まあ、まず売“れ”ない。
「売りたい!売る!」って姿勢なしに作品が売“れ”る人もいるだろうが、彼らは他人から評価されるソレをコツコツ愚直にやり続けている努力の人だ。だから売“れ”る。
少なくとも、わたしのような凡人は「売る気で売らなきゃ売れん」のだ。サラリーマンだろうがフリーランスだろうがアーティストだろうがなんだろうが、結局は目の前の目標に愚直に取り組んだもん勝ち。
漠然と「売れたいな〜」「全然商品売れないな〜」では何も変わらない。
- なぜ売れないのか
- なぜ大量の在庫が残るのか
- あなたは何を売りたいのか
- お客さんは何を欲しているのか
分析オタクかってぐらい、自分の経験を活かして試行錯誤を繰り返さなければ売れない。
もしあなたが、分析やら営業やらが得意で「売ることが全然苦じゃない」なら、わたしの話はかっ飛ばしてハンドメイド作品をバンバン売ればいいと思う。
そうじゃない人は、もう、トライ&エラーするしかない。
失敗から学ぶしかない。
※失敗談を紹介。写真は2017年11月、デザフェス出展3回目のもの。原画を購入してもらえるよう、背面パネルへの展示ではなく、手にとりやすい机上に展示。その際、作品タイトルと“価格”が書かれたカードを配置した。が、通りかかる人は作品をチラと見てもすぐに立ち去ってしまう。その原因はデカデカと書かれた“価格”。近づいてくれる人に「10,000円か〜」と思わせてしまっていたようだ。思い切って価格カードを取り除き、原画に興味を抱いてくださった人にだけ価格を伝える方式に。すると、ブースに来てくれる人が増加。もちろん価格だけが理由ではないだろうが、このとき、ようやくデザフェスのお客さんが求める商品や価格帯を理解したのである。
在庫数を決めておく
とはいえ、新しい作品・グッズ制作にがむしゃらに取り組んでもそれが完売するとは限らない。「トライ&エラーじゃ!」とがむしゃらに作った結果、在庫の山・・・となっては、わたしが今回、作品管理と在庫について話す意味がない。
あらかじめ在庫数を決めておこう。
どのくらい在庫するかを決めるとはいえ、具体的な数を決めているわけではない。
わたしの場合、「デザフェス用に用意したスペース以上の在庫は持たない」というルールをつくった。あるスペースからモノがはみ出すようになったら、生活用品も在庫もまとめて整理整頓し、場合によっては断捨離してしまう。
このルールをつくったことで、「作品、グッズはいいもの作ろう」と意識が高まるし、「新しい作品をつくるために、イベントでは売るぞ〜」と気合が入る。
それから、在庫数を決めておくと「どうしたらお客さんにウケるか」という意識が働く。がむしゃらに制作するのではなく「戦略的にやらねば・・・」という意識が。
・・・もうちょっと正直に話す。
在庫数を決めておいたほうが、自分では「イケる!」と思った作品がダダすべりしたとき(全然売れなかったとき)のショックが少ないのだ。
自分が自分の一番のファンであったとしても、全然売れないのは正直きつい・・・。売れ残った作品に囲まれて生活するのはショックが大きい。なので「ショック<反省」ぐらいの衝撃で済むよう、あらかじめ自分の心を守っております、はい。
在庫を処分するときには
大量の在庫ができてしまうこともある。
「これは自信作だ!」として売り出しても、お客さんの心にうまく引っかからないことだってある。買うかどうかを決めるのはお客さんだ。こればっかりは仕方がない。
わたしは在庫数(スペースからはみ出さない)を決めているから、デザフェスでグッズ販売するときの損切りは早い。反応のよくなかったものは早い段階で引っ込める。
ただし、引っ込めた在庫をただ処分したりはしない。なぜ売れなかったかを必ず考える。商品が悪いのか、展示方法が悪いのかを考察し、調整する。
売れなかった原因がわかってから、そのグッズの行く末を決める。
※裏話を紹介。時々、お客さんからの反応が悪いだけでなく、自分でも「微妙だな・・・」と思う作品が手元に残る。そんな
- お客さんからの反応が悪い
- 自分でも納得していない
という作品は、自戒を込めて下地で塗りつぶす。そして同様のことが起きないよう、気合を込めて新しい作品を制作する(あんまり、こういうことをやっている人はいないと思うけど)。
表をつくると作品管理に便利
「売れない、でも作りたい」に悩む人の最終目標は、
- 売れるようになる
- 作りたいだけ作る
なのではないだろうか。
作品が売れれば(=在庫を抱えずに済む)「作りたい」を我慢する必要はない。
となれば、作品管理は欠かせない。
作品を自分の手で管理できれば、在庫まみれになることはない。作品の人気・不人気が分かれば、価格の調整もしやすい。
なお、以下の項目を表にすると管理がラクだ。
-
作品名
-
作品の画像
-
サイズ
-
素材
-
仕様
-
販売価格
- 在庫数
特にサイズや素材、仕様は記載しておくと、オンラインで販売する場合にラクになる。オンラインでは対面販売と違い、その場での商品説明ができない。「大きさは?」「素材は?」という問いに答えるためには、具体的な数値で表すしかないのだ。
そんなとき、毎回毎回商品を広げてサイズを調べるのはめんどくさい(つい最近までこうやって対応してた・・・)。
なので、あらかじめ管理表をつくっておくとラクなのだ。
収支管理もしっかりと!
イベントで発生する収支も管理しよう!
お金の話を切り離してはいけない。
やりたいことを存分にやるためにはお金がかかる。
わたしはデザインフェスタの前に写真(↑)のような商品表をつくっている。表をつくり、イベント当日に持参。商品が動くたびに数を記入している。どんな作品・グッズが人の心を捉えるのかも分かるし、当日のお金の動きもよく分かる。
なお先述した項目で
わたしのような凡人は「売る気で売らなきゃ売れん」
と書いた。「売る気で売らなきゃ売れん」という気合を入れるために、イベント出展でかかる費用も書いておこう。
かかった費用を書いておくと「このぐらいは販売せんと赤字」という意識が働く。イベントへの気合が入るのでおすすめだ。
失敗経験を活かそう
「売れない、でも作りたい」に悩む人のために、自分の失敗談やらイベント前にやっていることやらを赤裸々にお話しした。
わたしは「超人気作家」なわけではない。いまだに試行錯誤を続けているし、たまにガッツリ失敗する。でも、自分で言うのもアレかもしれんが、作家活動を続けていく才能はあるようだ。だからこそ伝えられるものがあると思って、書いた。
つってもアレだよ。
自分がどうしたいかを大事にしてね。
例えばわたしは、
- 「売れない」と悩む人は、売るためにはどうすべきか考えればいい
- 「売ることを意識しすぎて、自分を見失うのは嫌!」という人は覚悟を決め、自分の作品を純粋に「好き」と言ってくれるお客さんに出会えるまで、描き続ければいい
- 「在庫が増えても全然いい!とにかく描きたい、作りたい!」って人はガンガン作品を作ればいい。
と思ってるけど、結局は自分がどうしたいかが一番大事。
そして、とにかく行動することが大事。
それが意外と難しいってのも分かるんだけど・・・行動しないと何も始まらないよ。
悩みながらも、まずは行動しよ!
では。
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