こんにちは、齋藤吐夢です。
ず〜っと気になっていたコミックエッセイで、初めて本屋で立ち読みをした時から「いつか買っちゃうんだろうな・・・」と思っていた。案の定、私は買った。最近出た『ニューヨークで考え中(2)』と共に買った。理由を以下に述べる。
なぜこの本を買ってしまったのか
なぜ「いつか買う」と思い、実際に買ってしまったのか。手元に置いておくべき本だと私自身が認識したのか、それを考察してみると、なんだか合点のいくゆるやかな理由が現れた。
ニューヨークへ行ってみたくなる
まあ、まず少なくとも「ニューヨーク」という有名大都市への憧れがある。
正直何があって、何がそんなに魅力的なのかは実は全く分かってないが笑、「ニューヨーク」というだけで「行ってみたい」と思わされるのだ。
そしてそこに住まう日本人女性の話となれば、興味がそそられるのも無理はない。また作者・近藤聡乃さんの暮らし方はツンケンしていないのだ。ゆるやかにそこに暮らしているだけ。
憧れのニューヨークで、ゆるやかに暮らす彼女のような体験をしてみたい。そう思ってしまったのだ。
”アーティスト”の生活を垣間見る
かつ彼女はアーティストである。
油絵作品も描けば、漫画も描く。アートに身を置く彼女の生活を垣間見えるとなれば新鮮だ。アートの世界は好きだが、アートに従事する彼女らの生活を垣間見える機会はほとんどない。
彼女自身が、彼女自身の生活を描いた作品とあれば、アーティストが普段どんな風に生活し、どんな風に製作しているのかを知ることができる。もちろん100%ノンフィクションだという確証はないけど。
もっとリアルな製作風景ともなると、写真家・久家靖秀が撮影した『Atelier』という写真集が好きだ。会田誠や村上龍、草間彌生など有名なアーティストのアトリエを切り取った作品で、どちらかというと生々しい。
ただ淡々とした日常が逆に新鮮
憧れのニューヨーク・憧れのアーティスト、という点で「いつか買うかも」と思ったのだろう。
ただ購入に至った理由は、描かれている日常が予想以上に淡々としていたからだと思う。
ニューヨークやアーティストという横文字に、少なからず憧れを抱く私だが、描かれている内容は、言うなれば私やその他大勢のような”普通に”生きてる感しかない。
それが新鮮だった。
NYも職業も関係ないのだ
近藤聡乃さんはニューヨークに住んでいるし、アーティストだけど、登場人物のほとんどがアメリカに住む人々だけど、ただそれだけってだけだ。
このコミックエッセイは、「ニューヨークにもアーティストにも興味がない」って人ですら楽しめる。
彼女のようなゆるやかな日常を送るのに、土地も職業も関係ないのだ。
ただゆるやかなスタンスで、生きようと思えば彼女のようになれる。誰だってなれる。それを実感するために、穏やかな気持ちで、私はこの本を買い、手元に置き、好きな時に読むのだと思う。
ほのぼのとは違う、淡々エッセイ
ただし、このコミックエッセイは「ほのぼの系か?」と問われるとそうではない。
決してほのぼのとした、ほんわかとしたストーリーではないと思う。絵柄はほんわかしているが、内容は非常に淡々として、冷静だ。
だからこそ、日常の日常”らしさ”が際立って感じられるのだと考えているし、何度読み返しても飽きることなく楽しめるのだと思う。
人の日常を垣間見る楽しさ
私はエッセイが好きで、それが文で書かれていようがコミックで描かれていようが、結構エッセイが好きだ。
その理由は、人の日常を垣間見ることができるから。
自分と違う生活を見るのは楽しい。新しい発見があって、楽しい。
『ニューヨークで考え中』は舞台がニューヨークだし、彼女はアーティストだし、人によっては浮世離れしているように感じるかもしれないが、ぜひ読んでみてほしい。私達の送る”普通”の生活となんら変わりなく、それでいて他人の物語だ。
どこから読んでも面白いコミックエッセイなので、本屋で見かけたらパラリと試し読みを。
では。
◆本日の一冊◆