『 特別展ミイラ 〜「永遠の命」を求めて』行ってきた/人の遺体を見つめる不思議な空間。

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出典元:特別展 ミイラ《公式》 (@miira2019) | Twitter

国立科学博物館で開催されている『 特別展ミイラ 〜「永遠の命」を求めて』

ミイラ…歴史的、文化的に重要なものとはいえ、ぶっちゃけそれらは「ご遺体」である。ご遺体がガン見できる機会なんてそうそうない

ってことで行ってきた。

 

※ネタバレというか、みどころをガンガンにお話しているので、事前情報なしに楽しみたい方は読まないことをおすすめします。

 

 

特別展ミイラ 〜「永遠の命」を求めて

www.tbs.co.jp

開催概要

ミイラには人々を惹きつける力があり、その根源にあるものは、昔に亡くなった人の「姿」がそのまま残っていることに対する驚きではないでしょうか。

本展では、世界各地のミイラとその背景にある様々な文化、科学的に明らかになったミイラの実像、そしてミイラに関わる多くの人達の活動を紹介しています。

引用元:開催概要|特別展「ミイラ」

開催期間は2019年11月2日(土)~2020年2月24日(月・休)。

当たり前だけど、ミイラしかいないよ(最高!)!

展示を観た帰り道、向こうから来たお母さんが子供に「ミイラは別に(見なくて)いいよね」って言ってたけど、あんな至近距離でミイラを見つめられる機会ないよ!!!

 

文化の違いを感じるミイラ

特別展「ミイラ」の展示は全部で4つの章に区切られている。

  1. 南北アメリカのミイラ
  2. エジプトのミイラ
  3. ヨーロッパのミイラ
  4. オセアニア・アジアのミイラ

それぞれ、とーっても「人」な、ダイレクト「人」なミイラが鎮座しているわけだが、文化やその地域の環境によってミイラの捉え方、姿形が異なるのがとても面白かった。

南北アメリカのミイラ

南北アメリカのミイラは儀式的だったのが印象的。もちろん次のエジプトも十分儀式的なんだけど、エジプトの上位階級感とは違って、すべての民にその死生観が向けられているように感じた

可愛らしい装飾の布で大切に包まれたミイラ。1つだけ、布からミイラが出ちゃってるやつが展示されてたんだけど、なんかものすごく穏やかなポーズでミイラになってる。

大切に大切に埋葬されたんじゃないかなー。

ミイラ眺めてると不思議な感覚になる。ダイレクトに生と死を見つめている感覚

エジプトのミイラ

エジプトのミイラはメジャーなミイラであって、かの有名な包帯グルグル巻きミイラの作り方とかを知ることができる。

面白かったのは、時が流れ、他の民族の流入(というか侵略)が進むと、棺とかの外装に力が入るようになる代わりに、ミイラづくりが簡単なものになるってところ。

ミイラと棺の保存状態が逆転する瞬間が面白かった。もうね、後期になると、ミイラの保存状態が全然違うの。棺はしっかり残ってるのに、前期に比べて、ミイラに人の原型がなくなるの。

ヨーロッパのミイラ

うってかわってヨーロッパのミイラは、なんだか血なまぐさくて嫌な気分になった

南北アメリカやエジプトのミイラは、人工的につくられたものが多いんだけど、ヨーロッパは自然にミイラができあがったパターン。

しかも大体が暴力を受けた痕があって、要するに生贄とか処刑の遺体がミイラになった結果なんだよね。絞殺に使われた紐がつきっぱなしのミイラとかあって、結構げんなりするエリア。

オセアニア・アジアのミイラ

オセアニア・アジアになると、「高温多湿な環境だから、そんなに積極的にミイラ文化はなかった」って説明がある。

でもね、アンガ族のミイラはやばい。かっこよすぎてやばい!!!

自分の「死生観」を見つめ直す機会になるほど、美しい文化でショッキングな文化だった。亡くなった人へのとてつもない敬意を感じる文化だ。

ナショナルジオグラフィック提供の動画をあの場で観てほしいけど、あまりにもかっこよすぎるミイラなので、ナショジオのリンク貼っとくね!

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

日本のミイラ、執念すごすぎ

そんでだ。

最後に日本のミイラが目の前に現れるんだけど、日本のミイラ、他の国のミイラ以上に「人間」の面影があって、正直一瞬ヒヤッとした。

本草学者」のミイラは実物を見てほしい

公式HPでは、その姿があえて伏せられているけど、今の時代、探せば画像で出てきちゃう。でも、画像で見れちゃうのを耐えて耐えて、実物に会いに行ってほしい。

彼は「学問的な探求で、自らミイラになった」人。その凄まじい執念が伝わってくるミイラが鎮座していた。

すごい生々しい表情してるから、見つめ合ってほしい

即身仏の「弘智法印 宥貞(こうちほういん ゆうてい)」の、仏として生き続ける姿にも圧倒される。

穏やかに祈りを捧げているミイラなんだけど、即身仏になったんだと考えると、その執念に頭が上がらない…。

 

ご遺体を見つめる不思議な空間。

それが特別展「ミイラ」。

科学的な展示だし、真面目~に鑑賞したわけだけど、心が落ち着く不思議な空間だった。死生観について深く考えたい人におすすめしたい

 

お土産ミイラを買ってしまった

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魔の空間、ギフトショップ。

出会ってしまったんだ、南米アメリカのミイラエリアにあったチャチャポヤのミイラと同じサイズ感の枕を!!!(上の写真)

「ミイラを抱きながら眠れるってどういうことだよ!?」と半ギレしながら買った。今はミイラを抱きながら熟睡する毎日。幸せ。「永遠の命」を抱きながら寝るって、字面や響きだけで見るとめっちゃヤバいね(笑)。

しかし、ほんとに、すごく感銘を受ける展示だった。非日常な空間が広がっていて、素敵な時間を過ごせたと思っている。

2020年2月までやってるんで、ぜひ実物に会いに行ってみてねー!

では。

 

◆本日のおすすめ◆

書肆ゲンシシャ』で購入した1冊。この本もまた、死生観を考えさせられるものだった。