はじめに
まず結論から。
物語は「オタク、がんばる!」映画であり、画としては「ゲームのストーリーモード2時間半」って感じだった。なんだかんだうまくいく主人公のオタク少年に嫉妬したりもしたけれど、「なんかすげー」映画である。
スピルバーグ恐るべし。
レディ・プレイヤー1
あらすじ
2045年、荒廃した世界に暮らす人々はVR空間「オアシス」に希望や理想を求めていた。
「オアシス」の創設者であるジェームズ・ハリデーは亡くなる前に「オアシスに3つの謎を残した。謎を解いたものに、全財産とオアシス全てを授ける」という遺言を残す。
世界中の人々がよりいっそう「オアシス」に夢中になり、そこには主人公ウェイドの姿もあった。ウェイドは仲間とともにその謎を解き明かしていくが、巨大企業IOI社もハリデーの謎を追い求めていて・・・
起承転結がわかりやすい
「ここがすごいよ、スピルバーグ!」と思ったのは、起承転結が非常に分かりやすいところ。ゲームの世界観をそのまま映画化したようなものなので、一見すると物語が散り散りに広がってしまいそうなものなのだが、2時間半を感じさせないストーリー展開に驚く。
- ゲーム少年がヒントを得る
- 仲間と共にゲームをクリアしていく
- 現実世界で命を狙われるも
- 人々を奮い立たせ、見事ゲームクリア!
すごく簡潔に説明すると、本当に上記のままである。細かなストーリーや設定はあるものの、いわゆる起承転結が美しく展開される。
画がごちゃついてるのに見やすい
映画『レディ・プレイヤー1』30秒予告【HD】2018年4月20日(金)公開
予告編ではじめて映像を見たときは、「なんだかしっちゃかめっちゃかな画だなあ」と思っていたのだが、いざ映画をみてみると予想以上に没入できた。
1つ目のゲームであるカーレースの映像は、そこかしこで車がクラッシュし、めまぐるしく画が変わるので目が疲れるのも事実だが、視点がコロコロ変わるわけではないので精神的に疲れることはない。
4D映画ではないにもかかわらず、思わず体が動いてしまう。4Dで観ても楽しかったかもしれない。
映像演出にものすごく時間をかけたのではないかと考えている。
昔のゲームや楽曲に戸惑う
1点戸惑ったのは、2045年の設定にも関わらず、使用楽曲がスピルバーグ映画全盛期の音楽だったことだ。スピルバーグ全盛期の映画を「その時代の映画」として観ている私からすれば、近未来感が薄れるBGMだったのでかなり戸惑った。
ハリデーが用意した謎解きの世界も「2045年の若者が果たしてピンと来るだろうか?」というぐらい古い世界観だったので、「観客である私たちは興奮するけど、ストーリー上しっくりこなくない?」と言いたかった。
とはいえ、主人公がバリバリのゲームオタクだったので、2045年であってもインベーダーゲームに興奮することはあるのかもな・・・と思ったり。
ストーリー展開がスピルバーグ
難点なのか安心できる点なのかよく分からないが、いかにもスティーブン・スピルバーグっぽいストーリー展開である。美しい起承転結により「主人公は絶対うまくいく」という安心感が生じる。それがハラハラドキドキの邪魔をしているようにも思えた。
主人公ウェイドのハッピーエンドが目に見えている感じに安心しきってしまったのだ。大どんでん返し系の映画が飽和状態にあるから、そう考えるとかえって新鮮なのかもしれないが。
しかし映像美に集中させたかったのであれば、このシナリオはありか・・・いずれにせよ、私は「少し構成がきれいすぎる」というワガママを言いたいのだ。
巨匠をバカにできない映画だった
映画レビューなので色々こちゃこちゃ言わせてもらったが、なんやかんやでスティーブン・スピルバーグはまだまだ「巨匠」なんだということを思い知らされた。
「エンターテイメント映画として文句のつけどころがない」と思うぐらい、楽しんだから。私たちは彼をバカにすることができないのだ。楽しそうに笑うニコニコ顔のおじいさんを、バカにすることはできない。
映画のはじめ、あまりにもゲームの世界観すぎて「普段ゲームやらないし、ついていけないかも」と思った私は、映画の終わりには「た・・・楽しかった」と口にしている。ゲームのストーリーモード2時間半の画と表現したが、映画として純粋に楽しかった。
ちなみに私のおすすめのセリフは
「俺はガンダムでいく」
です。
ガンダム観たことないのに興奮したんだけど、なんでだろう。ガンダム、観た方がいいですかね。
では。
◆本日のおすすめ◆
スピルバーグ映画で好きなのは、硬派なやつ