【忘備録】「男性彫刻 コレクションによる小企画」とある彫刻との出会い

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2020年11月25日〜2021年2月23日まで、東京国立近代美術館で開催されている企画展「男性彫刻 コレクションによる小企画」。

先日「眠り展」について書いたが、正直なところ、「眠り展」以上にワクワクしていたのが企画展「男性彫刻」である。というのも、私は男性の体躯に魅力を感じるので、男性の彫刻だけをピックアップした企画展に期待を抱いていたのである。女性の体躯ももちろん魅力的だが、男性の筋肉!骨!な体つきは「動物」としての人間を感じ、素敵だなあと思うのだ。

 

男性彫刻

www.momat.go.jp

 

20世紀初頭から1940年代にかけて日本で生み出された、男性をかたどった彫刻を紹介します。会場は3つのコーナーに分かれます。右に進んだ広いスペースには、筋骨隆々の男たちが並びます。「強い男」の一群です。その奥に続くのは肖像彫刻を中心とする作品たちです。「賢い男」と言っていいでしょう。さいごの部屋には主に老人像を並べています。「弱い男」です。それぞれのコーナーには、男性への同じような視線をもつ絵画も一緒に展示しています。  

引用元:男性彫刻|東京国立近代美術館 展覧会について

 

私が心惹かれたのは「強い男」と「弱い男」のコーナーである。

まず「弱い男」。上記説明にもあるように「弱い男」のコーナーには主に老人像が並んでいるのだが、老いを「弱さ」として捉えているだけで、展示されている彫刻がもつ力は強い。

関谷充氏による「伝五郎老人」のモデルは90歳だという。生きてきた時間を感じるしっかりと老いた体で、その歪んだ体にヨボヨボな体という印象を抱く人もいるだろうが、その立ち姿は凛々しく、勇ましさもある。

「弱い男」に並ぶ展示からははっきりと老いを感じるが、作品背景やモチーフとなった物語を知れば知るほど、ただ「弱い」のではない、と感じた。

そして「強い男」のコーナーで、私はずっと眺めていたくなる作品に出会った。

朝倉文夫氏の「山から来た男」だ。

ルーブル美術館にある「サモトラケのニケ」は、私が身動きできなくなった女性彫刻だが、「山から来た男」は男性彫刻版のそれである。一目見て、動けなくなった。

腹から腰にかけてのラインは艶かしいのだが、首、背中、腕、腹、腿、の肉の盛り上がり方は「男」であり、表情の無骨さもまた「男」であり、その艶かしさと「男」の絶妙なバランスに色気があって、その色気に「『息を呑む』という表現はこういうことか…」と納得するぐらいに息を呑んだ。

あまりの色気に心臓がバクバクし、後日、もう一度彼の姿を拝むためだけに足を運んでしまうほどだった。

そして今はあの感動を留めておくために、また自身の感情を表現する練習として、彼を描き留めている真っ最中である。まあ、ほんとに、何度言っても飽き足りない。とにもかくにも美しいその姿。恋した、彼に。ほんと。驚いた。

 

ムサビ通信で進学許可が降りたら、次学年では彫刻の授業を取ろうと考えているのだが、「男性彫刻」でお気に入りの彫刻作品に出会ったおかげで、今からワクワクである。早く、立体やりたい。

 

◆本日のおすすめ◆

東京国立近代美術館の所蔵作品も掲載。

日本彫刻の近代 (日本語) ペーパーバック – 2007/8/1