めちゃくちゃ面白かった。
マイケル・キートンがマクドナルドの"創業者"レイ・クロックを演じてるんだけど、彼の笑顔がまーいやらしくてね!(褒めてる)
マクドナルド"創業"の史実を基にした伝記映画なんだけど、この映画を誰かと一緒に見ると、「金>人で考える人」か「人>金で考える人」かで衝突しそう。
ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
概要
『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』は、2016年のアメリカ合衆国の伝記映画。監督はジョン・リー・ハンコック、主演はマイケル・キートンが務めた。マクドナルドを世界最大のファーストフードチェーンに成長させたビジネスマンであるレイ・クロックを描いている。
すべてを手に入れたい男
"創業者"を名乗るレイ・クロック。
映画の内容をざっくり明かしてしまうと、マクドナルド兄弟が始めたハンバーガー店をどんどんフランチャイズ展開して国中に広げる…とこまではまだいいんだけど、彼らが自分たちの店を主導できないようにしてしまう。
映画冒頭では、しがないミキサーの販売員でしかないレイ。でもミキサー販売中に出会ったマクドナルド兄弟に、「この商売はすごいよ!」って話を持ちかけて、どんどん経営を拡大していく。
ほんと、そこまでは「野心があるなあ」ぐらいで済むんだけど、そこからのレイの表情がもう…狡猾でね!
「商売がすごいんだから広げようよ」的にはじまったフランチャイズ展開が、徐々に「もっと規模を大きく、もっと革新的に、そしてもっとお金を」みたいになっていく。
挙げ句、本当の"創業者"であるマクドナルド兄弟のことを置いてけぼりにして、勝手に事業を進めていくわ、"創業者"を名乗るわで、ま、やりたい放題ですわな。
しかも映画終盤で印象的なのは、マイケル・キートン演じるレイがサラッと「出会ったときからこの店を狙ってた」って言うの。
ビジネスで大事なのは「執念」ってドヤ顔で言うの。
確かに「執念」が成功を導くことはある。わたしだって、フリーランスになって、日々の過ごし方はゆるゆるしてるかもしれないけど、ライターとして画家としての執念は持ち合わせていると思う。だから、3年近くやってこれてるわけだし。
でも・・・マクドナルド兄弟が懸命に0→1で作ったマクドナルドを、レイは1→10、10→100、100→想像もできない規模に広げるために、言葉巧みに分捕った、横取りした、そんな風に見えた。
少なくとも、わたしはレイほどの野心を持ち合わせていないから、「横取り」に見えたんだ。
ほしいものは全部手に入れる。そのためなら、誰かに嫌われようと、敵視されようと全く構わない。
「執念」だとは思うんだけど・・・やり方が汚え!!!と思ったね。
それから、ローラ・ダン演じるレイの奥さんに対するしうちも酷だった。彼女は、家庭も顧みず、仕事第一な彼を、一度は浮気までした彼を、献身的に支えていたのに。
レイはふっつーに人の奥さん横取りして、自分の奥さんと離婚する。"創業者"の物語が主軸だから、浮気の決定的な現場も、2人の仲に亀裂が入る瞬間も、具体的には描かれないけど…何が起きたかは平気で予想がつく。
役者であるマイケル・キートンに罪はないけど、底意地の悪い表情を見て、何度「こいつ…いけ好かねえ!」とキレかけたことか。
ただ…レイ・クロックの仕打ちは腹が立つけど、マクドナルドを世界的な大企業に仕立て上げたのは他でもなくレイ・クロックなわけであって。
これがまた腹立つけど、現実なんだよね。
レイの仕打ちに腹が立つけど、彼の野心に投資する人、助言する人もたくさんいたから規模が大きくなるんだもの。
まあ、それでも、マクドナルド兄弟の、ジョン・キャロル・リンチ演じるマック(兄)とニック・オファーマン演じるディック(弟)の表情が忘れられない。彼らの口から「彼(レイ)には勝てない」って出たとき、彼らは完全に敗北したんだって思わされる。
そんな茫然自失な彼らを踏み台にして、レイが見せるドヤ顔の、なんと憎たらしいことか!!!
しかし鑑賞してからというもの、本作が作り上げられた背景が気になっている。
レイ・クロックの伝記映画には他ならないんだけど、レイの仕打ちを見せたかったのか、それともレイの華麗なるビジネス拡大術を見せたかったのか、どっちなんだろう。
レイの凄さが主題なのか、マクドナルド兄弟に起きた悲劇が主題なのか。これだけが、実はいまだに捉えられていない。
ただ、とにかく面白い映画だった。
では。
◆本日のおすすめ◆
まずは『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』ね。
それから悪役顔マイケル・キートン、おすすめ映画3選。
(↓)マイケル・キートン株だだ上がり映画
(↓)やっぱり悪役顔だなーって思う
(↓)なんでヒーローやってたんだ、この人