【忘備録】『ゼロ・ウェイスト・ホーム ごみを出さないシンプルな暮らし』

ゼロ・ウェイスト・ホーム ーごみを出さないシンプルな暮らし

「できない」「そこまでやるの?」そう思う人もいるかもしれない。

でもこの本のおかげで、ごみ問題への“気づき”が得られるよ。

 

小学生の頃、総合的な学習の時間で、わたしはいつも「環境問題」について勉強していた。地元は自然が豊富な場所だったから、山と森と川がとても身近で、だからすごく「環境問題」には興味があった。

「環境問題」にはいつだって興味があって、だからこそ環境活動家グレタ・トゥーンベリさんやパッケージフリーのシャンプー等々が目に入ると「問題に立ち向かわなきゃ!」「わたしも当事者にならなきゃ!」と思うのだけれども、だからといって「ごみゼロ」暮らしができているわけではない。

かつ、地元ではごみの分別がかなり厳しかったのだが、今住む都市部は、プラと可燃は分別なしで燃やされる。で、このギャップにガッカリしていたら、「可燃として燃やしたほうが効率がいい」派の夫とプチ口論になった記憶がある。

とまあ、こんな風にごみのことを考える機会が多分人よりはあって。そんなわたしが出会ったのがゼロ・ウェイスト・ホーム ごみを出さないシンプルな暮らしだった。

 

著者ベア・ジョンソンは、ゼロ・ウェイスト、日本語で「ごみゼロ」な暮らしを実践している。本の帯には片手で持てるサイズの瓶に詰まったごみの写真が載っており、その横には“家族4人、1年間のごみはたったこれだけ!”と書いてある。

「そんなこと出来んのかよ」が、この本の第一印象だった。

しかし著者も、そして訳者も述べているように、彼女の「ごみゼロ」な暮らしをそっくりそのまま実行する必要はないのだ。それはこの本の目的ではない。

出るごみの量がどのくらいかなんて、実は重要ではないのです。大切なのは、自分たちの消費の力が地球環境に及ぼす影響を理解すること、そして、その理解の上に立って行動することです。誰しも、その人なりに、できる範囲で暮らしを変えていけるはずです。そして、持続可能な暮らしへの一歩は、それがどんなに小さな変化であっても、私たちと地球と社会に必ずプラスの影響をもたらすのです。

引用元:ベア・ジョンソン著 服部雄一郎訳, 『ゼロ・ウェイスト・ホーム ごみを出さないシンプルな暮らし』22ページ, 2016年9月17日, アノニマ・スタジオ

この本は、普段の何気ない消費活動が、どのように地球環境に影響を及ぼしているのかを理解するためのものだ。

 

この本には、さまざまなジャンル(台所編、洗面所編、掃除編、旅行編等々)のゼロ・ウェイスト実践例が紹介されているが、全部をチャレンジするのは不可能に思える。というか、わたしの場合、不可能だった。

歯磨き粉をゼロ・ウェイスト・ホームの観点から選んだとき、わたしにとって「理想的だ!」と思える取り組みをしている商品を見つけたのだが、それは防犯の事情から、せっかくの紙パッケージにそれはもうグルッグルにラミネート加工がしてあった。

それはわたしにとっては、望まぬ、ごみ。

でも、そんな「望まぬ、ごみ」に出会うことが日常茶飯事だったとしても、ごみに関心を抱き、ごみを生み出さないためにはどうしたら…と考えるようになれば、何気ない消費活動が何気なくないものになる。

それがこの本の狙いなのだと解釈している。

 

なおわたしは、「第1章 5つの『R』と、ゼロ・ウェイストの暮らしのメリット」で、著者が引用した言葉に痺れた。

そりゃあ簡単さ−テレビの前に座って、好きなもの食べて、全部ごみ箱に投げ入れて、道に出して収集トラックに持って行ってもらえばね。でも、そのごみは一体どこに行くって言うんだ?

マグナ(元・リオデジャネイロ・ジャウディン・グラマーショ廃棄物処分場のごみ拾い人)
ドキュメンタリー映画『ヴィック・ムニーズ/ごみアートの奇跡』より

引用元:ベア・ジョンソン著 服部雄一郎訳, 『ゼロ・ウェイスト・ホーム ごみを出さないシンプルな暮らし』26ページ, 2016年9月17日, アノニマ・スタジオ

「〇〇を捨てる」と言っても、それはごみ収集の人が持って行ってくれるからわたしたちの目の前からいなくなるだけの話であり、その存在自体が消滅するわけではない。どこかでそれは処分され、場合によってはそれの生産以上に費用をかけて処分されている。

それって…バカバカしいよね。

そう思うのと同時に、でもそのようにしてごみを生み出しているのは紛れもなくわたしたちなのだと思い知らされる

そういう気づきが、随所に記されている。

もちろん訳者による解説ページにもあるように、日本と海外の事例は違う。先で書いたように、わたしにとっては理想的な歯磨き粉にまかれたラミネートがごみでも、その店にとっては大切な商品が盗まれないための防犯用具であり、ごみではない。

そういうこともあって、「考え出したらキリがないよな…」とやや弱気になる瞬間もあるかもしれない。

でも著者の事例集を眺めていると、意外にも「ん?これ、やれるな」みたいなのがたくさんある。ホント、全部やる必要はない。やってみたいこと、やれそうなこと、それを少しずつ実践するだけで変わるのは事実。

紹介されている“5つのR”。

  1. Refuse 断る
  2. Reduce 減らす
  3. Reuse 繰り返し使う
  4. Recycle 資源化
  5. Rot 堆肥化

“この5つのステップを順番に実行するだけで、ごみをゼロに近づけられます!”ってあるけど、まあ、1をすっ飛ばして2から始めたり、「4と5は若干難しそうだけど2と3ならできそう!」でもいいのだよ。

やれそうなこと、やってみれば。

 

どこから読んだって問題ない。やれそうなジャンルから取り組んだっていいし、一通り読んで「ははは、無理!!!」と苦笑するのもありっちゃありだと思う。だって、それは読み手の大事な感性だからね。

でも、とにかく、ごみへの“気づき”は生まれると思う

やりすぎな部分に苦笑するのも楽しいよ。

では。