スマホをやめられないから、「つまらなくする」ことから始めた

気づいたら、スマホを見ている。「やるべきこと」や「やったほうがいいこと」がある中で、ダラダラとスマホを見ている生活はなんとなくバツが悪い。自分は意志が弱い、また時間を無駄にしてしまったなど、自分を責めたくなることもあった。

見たかったわけではないのに、なんとなく画面を開き、SNSや動画、ニュースを眺めているうちに時間が過ぎていく。見終わったあとに特別元気になるわけでもない。むしろ疲れや罪悪感だけが残ることもある。

とはいえ、気持ちが落ち込んでいるときや、生活するだけで精いっぱいのときは、仕方のないことのように思えるし、何かこう、今はそれがやりたいんだって強く思うときもあるが、やっぱ、ちょっと手放したい、というときにはスマホを「つまらなくする」のが効果的だった。

「スマホを使わないように頑張る」ではなく、スマホを少しずつ「つまらないもの」にしていくのだ。

 

なぜスマホを見続けてしまうのか

スマホを見続けてしまう理由のひとつは、終わりが見えにくいことである。

SNSを少しだけ見るつもりだったのに、次の投稿、その次の投稿へと進んでしまう。動画を1本だけ見るつもりだったのに、自動で次の動画が再生されてしまう。ニュースを確認するだけのつもりが、関連記事をいくつも読んでしまう。スマホの中には、区切りのない情報がたくさんある。

スマホから表れる情報の多くは、こちらが積極的に探さなくても流れてくる。自分で選んでいるようでいて、実際には「次に見るもの」を画面側から差し出されていることも少なくない。

疲れているときほど、この受け身の状態は非常に楽。自分で何かを決めなくていいから。深く考えなくても、目の前の画面だけを見ていれば時間が過ぎていく。

しかし、この手軽さが、スマホから離れにくくする一因でもある。

ドゥームスクロールってやつもあるね。

gigazine.net

 

スマホは気分転換の道具になる。つらいことを考えたくないとき、不安をまぎらわせたいとき、退屈や孤独を埋めたいとき、スマホはすぐ手に取れる逃げ場になる。それ自体は別に悪くない。誰にでも、何かで気をそらしたい時間はある。

ただ、逃げ場であるスマホを見続けたあとに、必ずしも気持ちが軽くなるとは限らないのが厄介なところだ。むしろ、たくさんの情報に触れて頭が疲れたり、他人の生活と自分を比べて苦しくなったり、気づいたら夜更かししてしまったりすることもある。付き合い方が難しいのだ。

だからこそ、使うか使わないかの二択ではなく、まずは長時間見続けてしまうのを「避ける」状態をつくることが大切。

 

「使わない」より「つまらなくする」が続けやすい理由

ときどき「明日から使わない」「SNSを全部やめる」「夜は絶対に触らない」と決めたくなることがあるが、気力が少ないときに厳しいルールを作ると、守れなかったときに心がきつい。決めたことを守れなかった自分を責めてしまうから。

そこで、「使わない」ではなく「つまらなくする」という考え方をおすすめしたい。

スマホをつまらなくするとは、スマホそのものを禁止するのではなく、開いたときの刺激を減らすことです。すぐにSNSが見られないようにする。通知で呼ばれないようにする。画面を開いても、わくわくするものが目に入りにくい状態にする。

すると、意志を使わなくとも、スマホに長くとどまりにくくなる。

生活を整える工夫は、自分を罰するためのものではない。しんどい日を少しでも過ごしやすくするためのものなのだから、最初から大きな変化を目指さなくても大丈夫。

 

スマホをつまらなくする具体的な方法

まず試しやすいのは、ホーム画面から刺激の強いアプリを外すこと。

SNS、動画、ニュース、ショッピング、ゲームなど、自分が長く見てしまいやすいアプリがある場合は、ホーム画面の目立つ場所から移動させる。そう、削除しなくてもかまわない。フォルダに入れる、2ページ目以降に移す、検索しないと開けない場所に置く。それだけでも、無意識に開く回数を減らしやすくなる。

 

次に、通知を減らす。

通知は、こちらがスマホを見ようとしていないときにも、意識を画面へ引き戻してくる。そのため、すぐに確認しなくても困らない通知は、思いきって通知を切ってみるのがおすすめだ。SNSの反応、ニュース速報、通販アプリのお知らせ、ゲームの通知などは、なくても生活に大きな支障が出にくいものが多い。

なお、通知をすべて切る必要はない。家族や仕事、必要な連絡だけ残して、それ以外を少しずつ減らしていけば十分だ。

 

画面を地味にすることも効果がある。

たとえば壁紙をシンプルなものにする。わたしのスマホの場合、ロック画面もホーム画面もただの真っ黒な壁紙だ。情報の多い画像がわたしの目を煩わすことはないし、ロック画面にいたってはもうシンプルに「時計」でしかない状態だ。

たとえば表示されるアプリの数を減らす。色の強いアイコンが並ばないように整理する。可能であれば、スマホの表示をグレースケールにして、画面全体の刺激を弱める。グレースケール、モノクロ設定は、本ッ当にスマホがつまらなく感じられるので、一度はやってみてほしい。

こうした工夫をすると、スマホを開いたときの楽しさが少し落ちる。

 

ほかにも、よく見るアプリからログアウトしておくのもひとつの方法である。毎回パスワードを入れる必要があると、無意識に開く流れが一度止まるため、その間に、「今、本当に見たいのかな」と気づけることがある。

アプリを削除するよりも、開くまでの手間を少し増やす。これくらいの距離感から始めると、取り組みやすいはずだ。

 

心がしんどい人向けの、さらに小さな工夫

気持ちが重いときは、スマホの設定を変えることさえ負担になる場合がある。そういう日は、ほんの小さなことをする。

たとえば、SNSアプリをホーム画面の端に移動する、だけ。通知を1つだけ切るだけでもいい。寝る前の30分だけスマホをベッドから少し遠い場所に置くだけでもいい。疲れているときに、完璧に整える必要はない。

それから、スマホを減らしたあとの時間に、「行動を取ろう」としなくても大丈夫。たとえば「読書をしなければ」、「運動しなければ」、「勉強しなければ」みたいな。こういうことを考えると、それもまた負担になってしまう。

スマホを見ない時間にできることは、もっと小さくてかまわないのだ。水を飲む。窓を少し開ける。部屋の明かりを落とす。目を閉じる。音楽だけ流す。布団の中で深呼吸する。「何か有意義なことをしなければ」と思わなくても、刺激から少し離れるだけで十分な日もある。

また、スマホを見る時間を減らせなかった日でも、自分を責めなかったなら、それはあなたにとって「前進」だ。

生活を整えようとすると、つい結果だけを見てしまう。何分減ったか、何時間使ったか、何日続いたか。もちろん、それは目安にはなるが、精神的にしんどい時期には、数字で自分を追い込みすぎないことも大切である。

今日はスマホを見すぎたかもしれない。でも、必要以上に自分を責めなかったなら、昨日より少し早くアプリを閉じたなら、通知をひとつ切れたなら。それで十分。

 

スマホとのいい距離を見つける

どうしても動けない日、何もする気になれない日、スマホを見ることくらいしかできない日もある。そういう日にスマホを見てしまったからといって、その日が全部だめだったわけではない。

スマホとの付き合い方を考えるとき、「ゼロか百か」にしないことはとても大切。完全に使わない人になる必要はない。毎日理想どおりに過ごせなくてもいい。

スマホは便利な道具である。連絡を取る、音楽を聴く、必要な情報を調べる、支払いをする、写真を撮る。生活に欠かせない場面もたくさんある。

ただ、画面の中にある刺激が強すぎるときは、少しだけ距離を置く。見続けてしまう自分を責めるのではなく、見続けにくい環境をつくる。そう考えると、スマホとの関係は、距離感は、ちょうどよくなるのではないか。

まずは、スマホを少し「つまらなくする」。それで、そのあと、見終わったあとに自分を責める時間を減らす。

その小さな工夫が、わたしの場合だけど、しんどい日の生活をほんの少し軽くしてくれたのだった。