友人に誘われて、初めてワタリウム美術館で作品を鑑賞した。ワタリウム美術館の存在は知ってたが、建物の前を通るばかりで中に入ったことはなく(ミュージアムショップは1回だけ入ったような気もする)、作品を鑑賞するのは初めてのことだった。
ジャッド|マーファ展の主役、ドナルド・ジャッドのことは知らなかった。館内に展示されていた作品のうち1つは見たことがあったけれど。
20世紀を代表するアーティストとして知られるドナルド・ジャッド(1928-1994)は、1970年代にニューヨークを離れ、メキシコにほど近いテキサス州の町マーファに移り住んだ。そこで彼は町に残る建物を、生活の場、制作の場として作り変え、さらに自身の作品やダン・フレイヴィン、ジョン・チェンバレン、イリヤ・カバコフなどの作家の作品の恒久的な展示スペースを作るためチナティ財団を設立した。
(中略)
本展は1950年代に制作された初期の絵画作品、1960〜90年代の立体作品に加え、ジャッドがマーファに残した空間について、ドローイング、図面、映像、資料を通して紹介する。
私は結局のところ、言語で表現するのが得意なようで下手くそなので、あまり伝わらないかもしれないが、感想として「抽象的な作品に見えるが、解説文や本人の言葉、批評家による言葉をもとに鑑賞すると、とても明確で捉えやすく、楽しみやすい」。
作品を鑑賞し(抽象的ではあるのでまずは味わい)、展示された解説文を読み(決して難解には書かれていない)、もう一度鑑賞すると、本人のやりたいことがよくわかる。
やりたいことがわかる分、作品を保護するために引かれた「ここから先に入ってはいけません」という境界を示す灰色のテープの存在が、ジャッドが理想とする作品と空間の関係を少し崩してしまうもののようにも思えて、それはキュレーションを担当した人も悔やんだんじゃないか……と思ったりもして。
彼の有名な作品は3次元の立体作品、私も知っていたのは黒色の四角い立体が絶妙な間隔を空けて天井に向かって10個並んでいる作品、だが、展示の最初には彼の初期作品である平面作品も置いてあった。この平面作品もまた、かっこいい。
何がどう、かっこいいのか。何が描かれているのか。どうしてこれを描いたのか。そういう問いへの回答が明瞭なわけではないけれど、平面作品でもしっかり圧倒される。立体作品よりは苦しそうだったけど、やりたいことは変わっていないような気もして。
生活空間と展示空間が一体化したインスタレーションも良かった。作品を鑑賞するスペースにどかーんとベッドが置いてあるのだ。すごい。リラックスしながら作品を鑑賞する、鑑賞するというか、生活と一体化するというか。発想になかったので感動した。
会期が延長し、7月12日(日)までやっているようなので、興味があればぜひ。