自然とつながる感覚を得る。土屋智哉『ウルトラライトハイキング』(山と渓谷社・初版2017年)

ヤマケイ文庫 ウルトラライトハイキング

 

表題の「ウルトラライトハイキング」はやっぱり基礎体力があったり、山の知識や経験値が高かったりするからこそできる技術なのかもしれない。

けど、“1泊2日(重量)5キロ以下!ローカットシューズでOK!マットは切って活用!”などといった軽さを味方につけるハイキング技術には「私もやってみたい」と思わせる魅力があった。

何より心惹かれるのはその哲学で、確かに軽い装備でハイキングをする技術ではあるけれど(本文では“歩き続けるための軽量化”ともある)、大事なのは自然とつながる感覚を得ることだという。

自然とつながる感覚を得る。

この感覚を重視するウルトラライトハイキングは、

ハイキング&キャンプスタイルそのものが環境に対してローインパクトであることをめざしています。

引用元:土屋智哉『ウルトラライトハイキング』p.30(山と渓谷社・初版2017年)

とあり、キャンプを行う際は“人が泊まる以上、その痕跡をゼロにすることは不可能かもしれませんが、その痕跡を小さくして立ち去ること”を提唱している。

この姿勢に私は惹かれた。

 

私はキャンプ経験なし、登山やハイキングは多少経験があれど、完全にインドア派だったから、登場するハイカーの名前やハイキングや登山、キャンプに使用する道具の名称には定期的に「?」となったものの、一通り読み終わった今は、分からない単語はそのまますっ飛ばしても何ら問題ないことを知る。

読み進めれば解説やイラストが出てくるので後で分かるものもあるし。

それに名称などが分からなくても、軽量化を図るための原則や、初心者や日本の気候では絶対に必要になる道具などについて丁寧な解説があるので、どんなに初心者でも「順を追ってアイテムを集めて、挑戦してみようかな」と思える。

私は体に負担をかけすぎないためのバックパックの背負い方や、軽量化を図るため、いわゆる自立するようなしっかりとした構造のバックパックではなく、フレームやパッドの省略されたバックパックを用いる際、本来あるべきだったフレームやパッドの代わりに野宿用のマットを丸めて入れるという技術に感動した。バックパック自体が重いな〜と感じた時があったから……。

追記:他の必要な荷物は、丸まったマットの内側に入れることで、バックパックの形が保たれるし、荷物は運びやすいという仕様。

 

靴の話、食事、キャンプで寝る時の方法とか、知りたい情報が詰まっていたおかげで、私は「死ぬまでにこれを参考にしてハイキングするぞ」と心に誓ったのであった。