ルールにもっと関心を。青木高夫『ずるい!?なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか』(ディスカヴァー・トゥエンティワン・2009年)

ずるい!? なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか (ディスカヴァー携書)

父から借りた本のうちの1冊。

義父から、義父が読み終えた文藝春秋を譲り受けているので、自分の父の視点で選ばれた本を読んでみたいなと思い、父が私に勧めたい本があれば貸してくれと頼んでみた。そうして選ばれたうちの1つである。

 

スポーツやビジネスの場で、欧米人がリードする部門(委員会など)がルールの変更をすると、日本人の中には「ずるい」という気持ちが湧く人がいる。私にもその経験があった。

本文中にも登場するスポーツだが、たとえば柔道で、ルール変更や「柔道」という競技の在り方を考えさせるような出来事があった時に、私は「これでいいのか?」「これは“本当に”柔道なのか」と思ったことがある。

それはおそらく、当時の私(中学生・高校生)が「礼に始まり、礼に終わる」剣道の姿勢に痛く感動し、それを志として剣道部の活動に励んでいたからだろう。

著者曰く、そもそも日本人と欧米人ではルールのとらえ方が異なる。本文ではプリンシパル(principal、原理)と表されているが、日本人と欧米人では何を美徳とするかが違う。

最もわかりやすかったのは以下の例だ。

欧米人の考えるルールというのは、利害関係者間での決めごとであり、闘いの一部といってもよいものです。したがって、彼らにとってルールを変更して闘いを有利に運ぶことは自然な行動であり、決してずるいやり方ではありません。

引用元:青木高夫『ずるい!?なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか』p.39(ディスカヴァー・トゥエンティワン・2009年)

 

本書で面白いと思ったのは、「第3章 ルールを変えれば本当に勝てるのか?」というルール変更後の“その後”を検証するものである。

ルール変更に「ずるい」と感じたとしても、その後もルールを変更した側が有利になるとは限らなかった。

本書では決して、日本人も欧米人のようにルール作りをすべし、とは書いていない

もちろん、「お上」と「下々」といった感覚を持ち合わせているがゆえに、日本人がルールづくりに無関心な傾向にあるということは好ましくないと説くが、著者が最も伝えたいのは、時に我々が苦い思いをするような変更も生じるルールの中で、いかに成長すべきかである。

 

文化の違いや思考の違いに興味のある人が読んでも面白い本かもしれない。