自分には子どもはいないが、教育分野には興味があるし(大学時代、中学理科の教員免許を取得した)、結婚をきっかけに甥っ子と姪っ子が8人でき、彼らの教育事情も目にしていたから読んでみた。
あと純粋に、コロナ禍のSNSで見かけた草野絵美さんのツイートが面白かったというのもある。
この本は確かに子育てを主軸とした本であるが、大人の生き様や現代社会ならではの学びのあり方などを知りたい人にもオススメしたい。
「第2章 知的好奇心のアンテナを伸ばす」で紹介されている教育エンタメ(動画やボードゲーム)は、実際いくつか体験して、「へえ!?」「楽しい」「ためになる」と思えるものばかりだった。この本の話題は決して子育てや子どもの教育に限定されるものではないのだ。
草野さんは「はじめに」の中で、「親になってまず驚いたのは、子育てに関して非論理的な通説が多いことでした」と述べているが、この本はそんなことを感じた草野さんが執筆したものだからこそ、非常に論理的で、それでいて子どもの教育に対する大人の不安に寄り添う姿勢がある。
個人的には、亡くなった母に読ませたかったなと思った。
彼女が親としてではなく、1人の人間として過ごす環境をつくったっていいんだってことを、伝えられなかったことが私の後悔になっていると改めて感じた。
子どもは子どもで別の人間である、ということは別に「子ども」に限らず、自分は自分、他人は他人って話にもつながるわけであるし。母にもっと、母ではない、1人の人間として生きたっていいし、もう少し手放しで子育てしたってよかったんじゃないかってお話ししたかったな。