2020年4月、武蔵野美術大学造形学部通信教育課程に2年次編入。
絵画コース(油絵)に進む人の学習記録。
絵画1
通信課題、そして新型コロナウイルスの影響で、2020年度のみ特例で実施された「課題研究」(スクーリングの代わりに通信課題に励むもの)共通のテーマは「静物を描く」。
モチーフとして選んだものの「造形的性格」を知ろうとしたり、構図や構成を練ったり、一見シンプルそうで、思い返すとまあまあ考えさせられた課題。
通信課題では
課題研究では、指定されたモチーフ「紙風船」が自宅に送られ、
が提出課題となった。
通信課題
モチーフに小さな空き瓶とドライフラワーを選択。
取材した中の1枚。空き瓶とドライフラワーに「寂しさ」「空虚感」を感じ、これらを組み合わせた表現がしたいと思いたつ。
どのような色を置いたら印象に残るのか。自宅の壁をそのまま描くとどんな感じなのか。
色や形を省略するなどの工夫でどんな印象になるのか。そんなことを考えながら取材した。
目に映る色を補色にするとこんな感じだった。
デッサンでは視点を少し変えてみた。
油彩前の下書き。この構図と配色をもとに油彩することにした。
提出したのがこちら(↑)。
ムサビ通信学習記録を書いている今となっては、画面を横にしたり、もっと空間や背景に工夫を凝らしたり、筆のタッチを意識的に変えたりすべきだったのでは?!と思うのだが、とはいえ、この潔い、空き瓶とドライフラワーの周りに何もない感じも好きだったりする。
指導教員の方のコメントには「デッサンの背景にあるスイッチは本当にいるのだろうか」「スイッチと机のパースが狂っている」「アクリル絵の具で描いたエスキースはやや単調」とあった。「油彩で描いた背景の紫と黒の効果は出ているよ」ともあった。
課題研究
紙風船がモチーフとして送られてきた。
その時ちょうど大学時代の先輩が旗揚げした劇団の公演に参加しており、奇遇にもその戯曲が『紙風船』だった。「運命的!」と感じ、舞台に登場するモチーフや一つのテーマとなる「夫婦関係」を意識して描くことにした。
モチーフに選んだのは、紙風船、毛糸、新聞、そして「永遠の愛」など結婚にまつわる花言葉を持つアイビー。
配置を変えてみたり、
紙風船をつぶしてみたり。
構図を決め、鉛筆デッサン。一度くしゃくしゃになった紙風船の表面にこだわった。
紙風船のくしゃくしゃとした表面の描写を油彩でも。紙風船を主役にするため、毛糸と新聞はぼかすようにして描き、アイビーは手前にあるように見せるため、やや厚めに絵の具をのせた。
指導担当の方からのコメントでは、静物画を描く際の視点について指摘された。「上から見下ろすような構図だと遠近感が出にくい。毛糸と新聞の描写に苦労されたのでは?」……全くもってその通りだった。指導してくださる方々は全てお見通しなのだ。
感想
正直、通信課題の静物画にはひたむきになれなかった。静物にどう向き合えばいいのか戸惑いまくりながら描いたから。でも課題研究で、参加していたお芝居とモチーフに共通点が生じたことで、静物画に思いを込めて描くことができたと感じた。もちろん、技術的にはまだまだだけど。
静物画は何かのタイミングで自主的にリベンジしたい。
そんな感じ!
では。
◆本日のおすすめ◆
幼年期以来触ってこなかった紙風船。お芝居がきっかけで、手にとって遊ぶ機会を得たのですが、楽しかったです。
こっちの『紙風船』は夫婦の描写がすげー戯曲です。