Twitterを眺めていたら、なんともまあ腹立たしい内容を見つけた。
わたしの性的志向は異性に向いているので、同性婚訴訟の当事者ではないのだが、国の主張に絶妙にイラっときたので意見することにした。
※わたしの、家族に対する嫌悪感というかトラウマというかモヤモヤというか・・・そういう話題も出てきますので、そういう家族の話が苦手な人は読み進めないでくださいね。
「結婚」について思うこと
まず、幾度となく自分のブログで書いてきた考えだが、そもそも結婚はしてもしなくてもいいものだと考えている。
これはわたしが合理的というか達観しすぎというか、わたし特有の価値観かもしれないが、結婚したところでメリットが得られるわけでもないよ。二人の関係を公的に証明する紙切れ一枚が「ある」ってだけ。
メリットと言やあ「配偶者控除」とかが浮かぶけど、そんなん共働き世代が当たり前の今、頑張って稼げるならあってないようなもんです。
ただね、結婚したい人ができないってのは違うよね。
「メリット大してない」みたいなこと言っちゃったけど、二人の関係を公的に証明する紙切れ一枚でできることもあるし、その紙切れ一枚がとんでもなく二人の心を幸せにしてくれることもある。
だから、したい人はすべきだし、したい人はできるべきだと思うんだ。
で、問題の記事に話を戻すと、このご時世、結婚に限らず多様な考え方ってのが浸透しつつあるわけであって。そんな中「結婚は子を作って育てるためのもの」なんてよう言えたな!と思ってイラっとした。
どういう風に好きな人と一緒にいたいかなんて、考え方は人それぞれ違うんだから、ほっとけよ、このヤロー。
「子を作って育てるためのもの」ならわたしの結婚ってなんなの?
ハフィントンポストの記事の流れをザッと説明すると、
- 同性婚訴訟を受けた国は、過去の文献を引用して「認めないよ〜」と説明
- 弁護士の意見1「異性婚であっても、子を生まない・生めないカップルもいる。同性同士で子を育てるカップルもいる」→家族が多様になっている現実を指摘
- 弁護士の意見2「過去の文献の続きには、“現在は当事者同士や個人を尊重するようになっている”といった趣旨の文章が続く。都合のいいところだけを国は引用している」
- 同性婚訴訟メンバー「私たちの相手を思う気持ちと異性同士のカップルに何の違いがあるの?」
という感じ。
わたしはこの記事を読んで、「じゃじゃじゃじゃあ!わたしの結婚ってマジでなんなの?」と思った。「子を作って育ててないんですけど?!子供を育てている同性同士のカップルのほうが、よっぽど“結婚”してますけど?!」と煽りたくなった。
もちろんね、投書された意見を何でもかんでも「いいよ〜改正するね〜」と受け入れるわけにはいかないのも分かる。何でもかんでもOKじゃ、ルールもクソもへったくれもない世界になってしまうのは分かる。この問題に限らずね。
でも、もし「子を作って育てる」を重視したくて頑なに同性婚を認めないのだとしたら、異性婚の人が子を作って育てやすい環境をつくりあげたうえで、説得力のある反論をしてほしいものである。
そもそも「子を作って育てる」が簡単なことだとでもお思いか?!
重量たっぷりの脳みそをもち、社会性のある生き物なわたしたちが、子を作って育てるには、お金と時間と愛情が必要だと思うんだ。子をたくさん作って、その中で大人になれるのは一握り・・・みたいな弱肉強食な世界とは違うでしょ。
生み、育てるのにはお金と時間がかかる。愛情たっぷりに育てるには、親が子をどれだけ思えるか、あえていうけど心の余裕がどのくらいあるかが重要なんであって。
うん・・・同性婚訴訟メンバーの一人の発言にある通り、「生殖できないから」って線引きは完璧に差別じゃんね。想い合う気持ちに、マジでそんな差があるとでも思ってんの?!
子供をつくりたくないわたしの話
「結婚とは生殖と密接に結びついて理解されてきているので、異性間のものであることが前提だ」
という国の発言を読んで、わたしは愕然とした。「結婚とは生殖と密接に結びついて理解されてきている」、か。「うわ、生きづら」と思った。
現段階では、わたしに「子供を生み、育てる」気はない。
「家族」というものにまあまあな嫌悪感を抱いていて、それは時々夫にも話しているし、夫も理解してくれている。夫は子供に前向きな人なので、子を生み育てることにネガティブなわたしは、時々申し訳ないと思っている。
でも、経済面でも精神面でも、今のこの世の中じゃ「よーし、ポンポン産んだるでー」なんてわたしは思えない。
まず経済面。わたしは自分の働き方をポジティブに捉えているけれど、わたしの年収はざっくり勘定で200万円ほどであり、手取りでいうと年収200万円~250万円の人が低所得者に該当するらしい。わたしじゃねえか。
それから、精神面。これはわたしが自分の家族に対して思い続けてきたことが関係している。
父が会社員、母がパートタイマーの家庭に育ったのだが、母は父の無意識な「男は外、女は内」思想に不満を抱いていて、しょっちゅう愚痴を言っていた。
「わたしだって働きたくないわけじゃないのに。父が選んだ住まいに住んでいなければ(都心からまあまあ遠いところが実家です)・・・父は当たり前のように「働いてもいいんだよ」って言うけど、なんでわたしだけ仕事と家事の両方をやる前提なの?なんで当たり前のように、家事をわたしに振り分けるの?」
それが母の言い分だった。しかし生活もある。娘もいる。経済面を考えてパートタイマーとして勤めていたのだろうが、いかんせん田舎は給料が安い。母は仕事ができるため、正社員から仕事をふられる。でも給料は全然上がらない。
愚痴も増える。
まあ、これはわたしが過剰に相手の気持ちを読み取りすぎる&考えすぎるのが原因なのだが、わたしは本気で「わたしがいなければ母は幸せだったんじゃないか」と思いながら生きてきた。
「過去に戻れるなら何したい?」という質問に、「生まれる前に死にたい」と本気で考えた。
こんなことを思いながら家族と過ごし、母を看取ったわたしは、自分が母親になるのがものすごく怖くなってしまった。母がイライラしている理由が分かっていたからこそ、自分も子と夫に、そのイライラをぶつける可能性がある。生まれてきた子供が、わたしと同じような思いをするぐらいなら、生まないほうがマシだと本気で思っている。
母と一緒にいる時間が長すぎて、すなわち、父親の愚痴を聞きすぎて、父が全面的に悪だとは思わないのにどうしても好きになれない部分があるのも理由の一つだ。
親族との関係も決して悪くないのだが、どうも「家族」に怒りが込み上げてくる瞬間がある。
なんで夫や家事に対して愚痴を言うのがデフォなの?
なんで家事に見向きもしないで過ごせるの?
なんで家族は一緒にいなくちゃいけないの?
実はこんな疑問を、小学生の頃から抱えながら生きてきたもんで、でも「家族」を悪く言うわけにもいかなくて、でも好きになれるわけでもなくて、そんなモヤモヤを抱えっぱなしで大きくなったら、わたしは「結婚しているのに子を作らない人」になっていた。
生殖と結びつけるんだったらさ、わたしの結婚に口を出せや、この野郎。
同性婚訴訟に協力したい
とりあえず「同性婚訴訟 力になりたい」で出てきた署名キャンペーンに署名した。
わたしにはこれしかできないけれど、幸せになりたい人を応援しないわけにはいかない。っていうか、え、今のご時世って、幸せになることは許されてないんですか?
好きな人と一緒にいたい人を支えられたらいいな。
では。
◆本日のおすすめ◆
ちなみにわたしの性的志向は異性に向いていますが、「自分自身はジェンダーフルイドでありたい」と願っていることをこの本で知りました。