大好きな映画ライターさん達がこぞって絶賛していた『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』。前作『ゴジラ』(2014)が普通に面白かったので、今回もきっと面白いんじゃないかって期待して観に行ったら、わたしはハマらなかった。
※1 一部ネタバレあり。ネタバレNGな方は、鑑賞後に読んでいただけると幸いです。
※2 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を「面白かった」と感じた人が不愉快に感じる可能性があります。個人的な意見ではありますが、反対意見を読みたくない場合には読むのをお控えいただけると幸いです。
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
あらすじ
世界は前作から5年後の世界。5年前、ゴジラとムートーという怪獣が戦ったことで、怪獣の存在が公になった。怪獣の調査を行ってきた秘密機関「モナーク」は、政府や世論から怪獣への対応や被害の責任について問いただされている。
その頃、中国・雲南省にあるモナーク基地で、怪獣モスラの幼虫との交信を試みる実験が行われていた。「オルカ」と呼ばれる装置を使えば、怪獣と交信することができる。
だが、テロリスト達が基地を襲撃。「オルカ」で実験を試みていたエマ・ラッセル博士と娘のマディソンを人質に、「オルカ」を強奪する。
テロリスト達の目的は、南極の基地にいる“モンスター・ゼロ”を目覚めさせること。事態を把握したモナークの科学者・芹沢や元モナークのメンバーで、エマの元・夫マークらが人質の救出、オルカの奪還を試みるのだが・・・
人間味もたせやがって!!!
と、丁寧にあらすじ(↑)を書いてみたものの、鑑賞中のわたしの心情を表すと、
- 怪獣いいなあ。
- あれ?なんか画がうるさい?
- エマ、うぜえなあ
- 怪獣集結なのに、なんかうざい?
- ・・・人間味もたせやがって!!!
と「段階的に」本作から心が遠のいていったのがわかる。
はじめっから心が遠のいたわけじゃないんだ。小学生のときに『モスラ』に一目惚れして、シリーズ3作品をちゃんと観ていたわたしにとって、「怪獣☆大感謝祭」みたいな本作に、はじめのうちはちゃんと興奮していたんだ。
でもね、わたしがどうしても許せなかったのは、怪獣達が「人間」のような振る舞いをしたことなんだ。
が本作のメイン張ってる怪獣なんだけど、映画終盤のバトルシーンでいちいち「人間味」が垣間見えたのが本当に許せなかった。
わたしは「怪獣」同士が争うのを観にきたんだよ!!!
ゴジラがキングギドラの首をむんずと掴んで投げ飛ばすシーンは、もはや人間のプロレス技。「いや、怪獣VS怪獣だろ?!『パシフィック・リム』のイェーガーVS怪獣ならまだしも、今の描写はねえだろ」と思った。
ラドンVSモスラに至っては、『BLEACH』の「なん・・・だと・・・」みたいな描写で描くんじゃねえよ!!!と思った。
トドメを刺そうとしてたラドンが背後からモスラの尾で貫かれる。そのときの演出が、まるでモスラが「フッ・・・油断したな」みたいな描かれ方してるんだけど、しねえよ!そんな顔しねえよ!!モスラはただの人間に友好的な「蛾」だぞ!!!
ゴジラがキングギドラの圧倒的な力で負けてひれ伏したときも、ゴジラの体を這い上がるようにしてモスラが出てきて、「俺は・・・負けない・・・!」みたいな描写したの本当にいらんかった!
違うんだよ、獣VS獣が観たいんだよ!
いやね、もちろんね、昔の怪獣映画なんてさあ、ツッコミどころ満載なのはわかるよ。バリバリスーツアクターやんけ!!!みたいな描写だらけなのはわかるよ。
でもさあ、天下のハリウッドがめっちゃくちゃお金をかけて作った映画の演出に「スーツアクター入ってます」みたいなのいる?!?!
主人公家族に感情移入できない
わたしがこの映画を「つまらない」と感じてしまった最大の原因は「主人公家族に感情移入できない」ことだった。
エマもマディソンもマークも言ってしまえば「自己中すぎる」。全員が全員「自分が正しい」みたいな顔して行動するからすごくイライラしてしまった。
ダントツで受け入れられなかったのはエマ。
「生命のバランスを整えるの、人類を救うの」みたいな顔をしてベラベラベラベラベラベラベラベラと持論を展開するエマ。マディソンを大事にしてるのかしてないのかわからない描写。
最後の決心も本当にいらない。っていうか、死を選択するなよ!!!娘と共に生きろよな!!!前半の「息子を亡くした母親」像との関連がものすごく薄っぺらく感じた。映画の都合上、死んだって感じがして。
彼女の「家族と人類を命をかけて守りました」描写はあまり好きではない。
ていうか登場する人物全員が「『オルカ』があれば分かり合える」みたいな顔するの、やめてくれない?!なんで全員が全員、ゴジラとモスラに期待しまくってんだよ。「味方」かもしれねえけど、あいつら「脅威」だぞ、「脅威」!!!
ゴジラVSキングギドラが勃発してる中、そんな近くで見てんなよ、巻き込まれて死ぬぞ?!
モンスター描写が嫌いなわけじゃないけど
と、振り返れば振り返るほど、口汚くなってしまうわたしだが、モンスター同士のバトルが嫌いだったわけじゃない。「人間味」さえなければ完璧だった。
モンスター同士のバトルは画がうるさくて「観づらいなあ・・・」とは思ってたよ。でも、あの巨体と巨体がぶつかり合う感じは最高。
キングギドラが強すぎて、全く歯が立たない感じとか、特にラドンの「旋回しながら戦闘機を叩き落とす」描写は本当に最高だった。重量感もあったし。
モスラの神々しすぎて姿が全然見えない演出もよかったし、相変わらずアメリカ版ゴジラの「首太!!!」「顔、ゴリラやん!!!」みたいなマッチョ描写も嫌いではない。
でもやっぱり、ゴジラと触れ合えちゃったり、目と目で想いが通じあったり、的な描写が本当に受け付けなかった。
相手、怪獣やぞ?!神やぞ?!神が人を救う確証なんてあるかーい!!!・・・と思ってしまうわたしは多分、怪獣映画に向いてないんだろうな。
「画」が撮りたかっただけなのかも
画はものすごくかっこよかったんだ。モスラ、ゴジラ、キングキドラ、ラドンが登場するシーンではものすごく興奮したんだ。
でも、画「だけ」だったのがとても悲しい。
脚本・演出が荒いと思った。映画としては全然楽しめなかった。登場人物はうぜえし、画は激しすぎて観づらいし、緩急ないし、怪獣だっつってんのに人みたいな表情するし。
ただ、やっぱり「絶賛」の声が比較的多いのを見ると、そもそも怪獣映画は「画」が大事なのかもしれない。
「物語」として求めたわたしが間違っているのかもしれない、と思った。
でも・・・そんなにハマらなかったな。
では。
◆本日のおすすめ◆
わたし、「こっち」のゴジラ派だからハマんなかったのかもしれない。