【1000字コラム】わたしにとってのアイドルは、文章を綴る楽しさを教えてくれた“彼”だ。

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 アイドルとは、

1 偶像。
2 崇拝される人や物。
3 あこがれの的。熱狂的なファンをもつ人。「アイドル歌手」

出典元:小学館 デジタル大辞泉

と定義されている。

 「アイドル」と聞くと、ダンスや歌を披露する、可愛らしい女性の姿や容姿端麗な男性の姿が思い出される。

 日本の芸能界の定義によれば

『成長過程をファンと共有し、存在そのものの魅力で活躍する人物』

出典元:アイドル - Wikipedia

を指すらしい。

 だが、わたしが「アイドル」と聞いて思い浮かべたのは“彼”だった。学生時代、わたしは“彼”に憧れていた。“彼”の自分を貫いて生きる姿勢と、心優しい一面に魅了された。わたしにはないものをもっていたからだ。

 わたしは“彼”の大ファンだった。

 当時のわたしは“彼”への思いを「恋愛感情」だと捉えていたが、卒業し、疎遠になってもなお、“彼”に抱いていた思いは鮮明に思い出される。それは“彼”を、どこか貴いものとして捉えていた思いだ。今思えば、「好き」以上に強い「崇拝」があった。

 実は、わたしが今物書き業をしているのも、“彼”の影響だと考えている。

 というのも、“彼”の文才にわたしが夢中になっていたからだ。“彼”の書く文章はちょっとした長さのものばかりだったが、読む者をその世界に引きずり込む力があった。

 “彼”が書いた文章はわたしの脳裏にしっかり刻まれており、時々ふっと思い出しては笑ったり、ゾッとしたりしている。そんな憧れの“彼”の文章が好きで、大好きな読書がよりいっそう好きになったことを覚えている。2人で、文章の話が、したくて。

 “彼”が文章を綴る楽しさを教えてくれた。

 もちろん、わたし自身、読むのも書くのも想像するのも想像するのも元々好きだった。だが、それをより強固な思いにしたのは、憧れの存在であった“彼”のおかげだと思っている。

 アイドルの力はすごい。

 日本の芸能界が定義する「アイドル」も、ファンの心をひとつにする力を持つ。時に強すぎる思いから行き過ぎた行動をとるファンもいるようだが、それもまた「アイドル」の凄まじい影響力によるものだろう。

 と思うと、“彼”もまた凄まじい影響力をもったアイドルだ。

 わたしの物書き業の根底に、わたしの生き方の根底に、“彼”の存在が確実にあるのだから。

 今、“彼”が何をしているのかは知らないが、あなたはアイドルだよ。

 

今週のお題「アイドルをつづる」