フリーランスこそ知っておきたい医療費控除・セルフメディケーション税制〜確定申告でヒィヒィ言わないために〜

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 「確定申告でヒィヒィ言わないために」シリーズ、最終章である(現時点では)。わたしは20歳のとき”がん”になり、身体的にも金銭的にもヒィヒィ言わされたことがあるのだが、医療費控除によって金銭的ヒィヒィが緩和したという過去がある

 本記事でご紹介する医療費控除・セルフメディケーション税制は「申告するほど病んでねえよ」ってのが一番理想的だが、自他共に認める健康体・・・ではないわたしだからこそ紹介すべきだろう。

 

 

医療費控除・セルフメディケーション税制について

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医療費控除ってなに?

 国税庁が示す「医療費控除」の定義を引用する。

その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記3参照)の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

引用元:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

 簡単に説明すると「ある条件下で計算された金額分は、所得控除を受けさせてあげますよ〜」という制度である。なお医療費控除は税法上の仕組みだ。

 医療費控除とは別に、病気等で多額の医療費が必要になった場合役立つものに「高額療養費」がある。こちらは健康保険制度の仕組みであり、

思わぬ入院等によって、加入者の方々が一定の金額(自己負担限度額)を超える医療費を支払った場合、申請することで、その超えた部分を払い戻しする

引用元:「高額療養費」と「医療費控除」ってなんだろう? | 都道府県支部 | 全国健康保険協会

とある。雑なイメージとしては「わー・・・病気大変だったね〜。申請してくれたし、この分払い戻すよ〜」という感じ。

 なお医療費控除で受けられる所得控除額を計算する際、高額療養費として払い戻しされた金額は除かれる。医療費の負荷を減らす金額(保険金等)が発生した場合も、その分は除かれる。制度をフルに活用しても、ある程度はお金を払わなければならない(当たり前だが)。

 しかしそれでも、病気になったときの金銭的負担は軽減する

 

セルフメディケーション税制ってなに?

 厚生労働省のホームページには(医療費控除の特例)と書かれている。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。

引用元:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html

 医療費控除は言い方は悪いが・・・「THE・病気、THE・ケガを負った人」しか所得控除が受けられないような印象がある。

 一方セルフメディケーション税制なら、健康維持や病気予防に取り組む個人でも、ある条件下で所得控除が受けられるのだ

 ここで登場するスイッチOTC医薬品だが、ドラッグストアなどで販売されている市販医薬品や購入後のレシートを見ると「セルフメディケーション税控除対象」のマークがあるはずだ。

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出典元:知ってトクする セルフメディケーション税制

 スイッチOTC医薬品かどうかはこれで見分けられる。

 

所得控除が受けられる条件

 控除を受けるには条件がある。

 医療費控除の場合には、

  • 1年間で支払った医療費の合計が10万円以上
  • 総所得が200万円未満の場合、総所得金額等の5%

 セルフメディケーション税制の場合には、

  • 健康維持、疾病予防のための一定の取り組みを行なっている
  • スイッチOTC医薬品の1年間の購入金額が12,000円を超える

となる。

 

 医療費控除の場合、1月1日〜12月31日までの1年間に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合に所得控除が受けられる(↓)。

控除対象額=支払った医療費ー保険金など受け取った金額ー10万円

 なお医療費が10万円を超えていなくても申告できる場合もある。

 その年に申告する総所得金額が200万円未満の場合には、上記式の”ー10万円”の部分を総所得金額等の5%に置き換えることもできる。例えば総所得が150万円だった場合にはその5%である75,000円が医療費控除の条件額となる。

 

 セルフメディケーション税制を受ける条件の中に”一定の取り組み”とあるが、これは

  • 特定健康診査
  • 予防接種
  • 定期健康診査
  • 健康診査
  • がん検診

などを指す。会社員であれば、会社で受けられる健康診断のことであり、自治体で受けられる健康診査、がん検診も対象だ。所得控除を受けられる条件として、この取り組みを行なっている証明が必要となるので注意したい

 

必要書類について

 医療費控除を受ける場合、「医療費控除の明細書」が必要になる。これは確定申告書類作成ページ等で作成できる。記入項目には

  • 医療を受けた人の氏名

  • 病院・薬局など支払先の名称

  • 医療費の区分

  • 支払った医療費の額

  • 支払った医療費の額のうち生命保険や社会保険などで補填される金額

がある。これを書くことで「医療費の領収書」の提出が不要になった。ただし、控除の内容を確認されることもあるため5年間は領収書を保存してほしい

 

 セルフメディケーション税制で必要になるのは、

である。なおわたしは”一定の取組”に値する検診は受けていないので、セルフメディケーション税制は利用できない。レシートちゃんと取ってあるけどね。

 

※注意点いくつか

 医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないセルフメディケーション税制は「医療費控除の特例」であり、どちらかを選択して所得控除の申請を行う必要がある。

 またどちらかを選択して確定申告書を提出した際、更正や修正申告を求められたときに「セルフメディケーション税制→医療費控除」「医療費控除→セルフメディケーション税制」への変更は不可である

 

なぜ知っておいてほしかったか

 冒頭でも伝えたが、これら制度(特に医療費控除)を使わずに済む「健康体」でいることが一番大事だ

 が、そうはいかない人だっている。わたしだってつい最近まで、3ヶ月に1回は病院に通っていた。がん治療後の経過観察ではあるが、まあまあなお金がかかっていた(CT検査があると9,000円はかかる)。

 フリーランスなりたてでまだまだ所得が少ない人の中には、健康管理等で発生する金銭的負担で身を削ってる人もいるんじゃなかろうか。健康第一だが、生きるにはお金も必要だ

 

 セルフメディケーション税制という、健康意識の高い人に対する所得控除の仕組みができたのは喜ばしいことだと思う。健康体の人も、今はまだ健康体ではない人も、健康への意識を高めつつ、税制を受けられるのはありがたい。

 知っておいて損はないと思う。

 でも何度でも言うが、まずは健康第一フリーランスとしての生活は決してラクではないが、体と心を壊すのはおすすめしない。これら制度を活用する必要がないくらい、健康でいてほしい。

 では。

 

◆本日のおすすめ◆

楽しく読めるコミックエッセイだが、健康や自営業の未来について考えさせられる。 

 

参考文献

www.nta.go.jp

www.nta.go.jp

 

No.1131 セルフメディケーション税制と従来の医療費控除との選択適用|国税庁