出典元:https://twitter.com/SearchMovieJP/status/1051777550618251264
今作をまだ観ていない人に向けて、「あ、やっぱ観てみようかな」と思えるようなレビューを目指しているが、鑑賞後感じた魅力を伝えるために一部ネタバレがある。
「事前情報なしに映画を楽しみたい」「映画鑑賞前のネタバレ絶対NG」な人は、映画鑑賞後にぜひお越しを。
『search』
”全編PC画面でおくる”という設定自体は、実はそこまで新鮮味がないはずだ。
『アンフレンデッド』などホラー映画で、すでに活用されている。”全編〇〇画面で〜”は成功すればものすごく面白いし、駄作にもなりうる。PC画面ではないけど、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』とか『REC』ね。
そんな中、”全編PC画面でおくる”は覚悟が必要な設定だったと思うのだが、『search』はその覚悟を軽々と乗り越え、ものすごく見応えのある映画に仕上げてきた。
それだけで感涙ものである。
あらすじ
忽然と姿を消した16歳の女子高生マーゴット。行方不明事件として捜査が始まる。
家出なのか、誘拐なのかわからないまま37時間が経過。娘の無事を信じる父デビッドは、彼女のPCにログインしSNSにアクセスを試みる。
そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったはずのマーゴットとはまるで別人の、自分の知らない娘の姿があった。
娘の行方を心配するお父さんの顔が全面に映し出される1時間42分。「しかめっ面のお父さんの顔を1時間42分も観るのはきつそうだな・・・」と思っていたわたしが間違っていた。
全編PC画面なのに飽きがこない
全編PC画面だけで映し出されるのは事実。
しかし定点カメラで映し出されるわけではない。「映画」でしかできないカメラワークがあり、時にそれは過剰な演出を感じさせたりもするのだけれど、全くもって飽きさせない。
「全編PC画面に気がとられて、物語が頭に入ってこなかったらどうしよう」なんて不安は愚問である。全編PC画面であることをすっかり忘れる・・・ということはないが、全編PC画面がごく自然な演出として成り立っていることに気づく。
特に父親がPC画面を使って会話するシーン。
父親が見せる視線は自然そのものであり、わたしたちは彼らの事件を垣間見ているような感覚に陥る。友達のPCを覗き見ているような感覚で、物語に没入することができる。
全編PC画面なのに緊張感がすごい
それからそもそもシナリオがよかった。
もちろんサスペンス映画にしては「黒幕が誰なのか」がわかりやすかったような気もするが、それでも、主人公である父親が自分の知らない娘の姿を知ってしまったときの緊張感は十分楽しい。
娘を探すため、娘のパソコンを開き、それゆえ知ってしまったさまざまな秘密には、サスペンス映画になくてはならないドキドキ感に満ちている。
1時間42分の没入体験を経験していただきたいので、あまりネタバレしないが、主人公の弟と娘とのメールのやりとりはヒヤッとするのでぜひ楽しんでいただきたい。
お父さんの頑張りを応援してしまう
そして不安だったお父さんのしかめっ面。
むしろ、しかめっ面が最高だった。
というのも「不安で不安で仕方ない」といった表情が、娘を探して頑張るパパそのものだったからだ。ジョン・チョーのしかめっ面は、めちゃくちゃリアルなパパの表情そのものだと思った。
パパ頑張る映画はいっぱいある。
リーアム・ニーソンの『96時間』はその代表例と言えるだろう。
でも物語に現実味があって、同じような事件が起こり得ないとは言い切れなくて、全国の親子が「ああ〜無事で良かった〜」と鑑賞後に泣きかけるのは、多分『search』のほうだ。
そう、今作は導入はサスペンス映画なのだが、徐々に親子愛を描いた作品だと気づかされるのだ!
涙しかける、泣きかけるって書いてるけど、わたし、映画館でちょっと泣いた。
夫には言ってない。
『search』ナメてました
【👤#第三者の証言】
— 映画『search/サーチ』公式 (@SearchMovieJP) 2018年10月29日
👧🏻マーゴットが毎週通っているはずのピアノ教室🎹
父デビッドは担当の先生に連絡を取るが…
先生「娘さんは半年前にやめました。」#サーチ #全編PC画面#誰もが怪しい #マーゴット行方不明 pic.twitter.com/gvE5X9NXgy
映画鑑賞中「いや〜・・・お願いだから、そういう展開にはいかないでよ〜?!」「いや、こいつは怪しい」「お父さんをこれ以上いじめないで!」など、映画に対してツッコミを入れまくるほど(もちろん心の中で)作品に没入していて、我ながら笑ってしまった。
めっちゃ楽しんでるじゃん!!!と。
「おっさんのしかめっ面なんて観て何が楽しいんだ」と思っていた、鑑賞前のわたしの頭を全力ではたきたい。めっちゃ面白いじゃん!!!と。
もともと興味のある映画ではあったのだが、大好きなライター兼ブロガーのけいろーさんが絶賛していたのもきっかけである。けいろーさんによるレビューはこちら(↓)。けいろーさんの仰った通り、Google先生大活躍映画でもあった。
素晴らしい映画に出会えたなあと思った。
やっぱり映画はこうでなきゃ!である。斬新かつシンプルな手法にドキドキしたい。その夢を叶えてくれるのが『search』である。
サスペンス好きと親子の絆を描く映画が好きな人は絶対見逃せない。
では。
◆本日のおすすめ◆
夫による『search』レビューもぜひどうぞ。
これはわたしが好きなだけだが、ぜひ「searching〜♪」と歌いまくるロイ・エアーズの楽曲も聴いていただきたい。